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柿太郎、暴れる

 柿太郎は誰よりも先に、おいじいさんとおばあさんに伝えなければと、谷からの道を急いだ。

 ピジョーが命を賭けて伝えた『征服計画書』を見せなければならない。あのシラミ騒動は「村の蚤ヶ島化計画」の始まりにすぎない。蚤ヶ島新政府は、資源欲しさにこの村を征服しようとしているのだ。そのためには村人を殺すこともいとわないという。その首謀者であり指導者がまさにおじいさんとおばあさんの実の娘であり、柿太郎の母親であった。

 かわいそうなピジョーを焼き殺したのは柿太郎の母親であった。

「おかあさんと戦わなければならない・・・」

 柿太郎はおじいさんの家へと無我夢中で走った。


 家には小汚い雑種のタローちゃんがいた。

「おばあさんたちは、どこに行った」

 柿太郎は声を荒げて聞いた。突然、詰問きつもんされたタローちゃんは、その勢いに圧倒されながらも答えた。

「分かりません」

「分かりませんじゃないだろう! お前は番犬でもあるんだぞ」

 タローちゃんは柿太郎の勢いに気圧けおされぶるぶると震え始めた。柿太郎はタローちゃんの首をつかみ何度か頬を殴った。

「キャン、キャン」

 弱々しい鳴き声を上げながらタローちゃんは言った。

「おじいさんはたぶん、八幡様のところです。おばあさんは、実は行方が分からないようで・・・。でもなんでそんなに怒るんですか」

「なに!」

 柿太郎はまたタローちゃんを殴った。

「柿さん、もう止めて!」

 ネコの和代が柿太郎の腕をつかんだ。

「なんだ! くそネコ!」

 柿太郎が今度はネコの和代に襲いかかる。全身が毛なのでどこが髪の毛かはっきりとは分からないが、とりあえず髪の毛を掴み和代を振り回した。

 柿太郎自身、事実を突然、目の前に突きつけられ悲しさと寂しさで混乱し、どうしていいか分からないのだ。この状況をどうしたらいい。そのうえ頼りにしていたおばあさんがいない。柿太郎のすべてが爆発していた。

「柿太郎、もう止めろ」

 そのとき弁天様の声がした。弁天様は柿太郎の腕を押さえつけて静かに言った。

「柿太郎、これが「もっこ」だ」

 弁天様の後ろには八幡様とおじいさんが立っていた。




(つづく)


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