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どうせ俺はもう可愛くないし  作者: 葉藻ごま油


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3/3

3 疑似じゃない恋愛関係

 俺と笹山さんが付き合ってるという誤解が解けると、宗雪は俺をポイ捨てする前の宗雪に戻った。


 休み時間のたびに蜜に吸い寄せられる蜂のように俺のもとを訪れては、そわそわと髪の毛を整えながら、たわいもない話をする。


 そもそも宗雪は、俺を捨ててはいなかったのだ。俺に笹山さんという彼女ができたと勘違いし、潔く身を引いたつもりでいたようだ。それがあの会釈からの立ち去りという一連のムーブの正体であった。


 すれ違いの原因だった勘違いが解消した俺と宗雪はお互いに『もうお前しか見えない状態』となり、笹山さんの怒りは頂点に達した。


 始業式から三日後の昼飯時、怒れる笹山さんは爆弾を投じた。いつも弁当を共に食う、俺と宗雪を含む数人の顔ぶれの中には彼女もいた。


「ねえ、このチアガールのコスプレしてる女の子みたいな子が桜くんって本当? バスケ部の先輩にいじめられてこんな格好させられたって聞いたよ? 桜くん、かわいそう……それと今は高身長だけど、中学の時はかなり背が低かったんだね」


 スマホの画面を俺に突き出し、でかめの声で笹山さんは言い放った。


 どうやらあの先輩は、俺のチアコス写真をこっそり保存していたようだ。俺と笹山さんのバズったカップル写真を見て、笹山さんとお近づきになるきっかけにこれを使ったのだと思われる。


 教室は静まり返り、ものすごい空気となった。こうなっては女王の笹山さんとて100%無傷とはいかない。それは彼女もわかっているのだろう。


 だが狙っていた宗雪が俺にしかメロつかないのが相当腹に据えかねていたのか、笹山さんは自分のパブリックイメージを下げてまで俺を落とす道を選んだ。刺し違えてでも俺を道連れにしようという覚悟に『思い切ったな、笹山さん』と感心してしまった。


 彼女になんと返そうか俺が言葉を選んでいると、宗雪がバンッ! と机に激しく手をつき立ち上がった。 


「あいつっ……! 目の前で写真消させたのに、バックアップ取ってやがった……! しかも、それ流出させるとか絶対許せねえっ!」


 俺の前でそわそわする以外は常にダウナーな宗雪が怒りを露わに叫ぶものだから、皆かなり驚いていた。


 俺はそんな宗雪に胸を震わせていた。宗雪がまた、俺のために怒ってくれている……!


 気づけば俺は、彼の制服の裾をつんと引いていた。


「いいんだ、宗雪。俺の女装写真なんて探せばネット上にごろごろ転がってるよ。毎年文化祭で女子の制服着て色んなやつに撮られたからな。……そんなことより、俺……お前に言いたいことがあって……」


 俺がもじもじしていると、憤っていた宗雪はスッと真剣な表情になった。


「桜ちゃん……俺も桜ちゃんに言いたいことがあるんだ。けどそのために、どこか静かな場所に移動したい」

「うん。移動しようか」


 俺と宗雪は食べかけの弁当を包み直すと「俺ら別のところで食べるから」と、一言ことわりを入れて教室を出た。


 俺の隣で弁当を食べていた田辺は『こいつら今から告白合戦するんだな』と思ったそうだ。笹山さんのことが頭からすっぽりと抜け落ちていたほど、その時の俺達には相手のことしか頭になかった。




 校舎裏の人気の無い場所までくると俺が告白する前に宗雪から告白され、俺達は恋人同士になった。


「両想いだったなんて……早く告白しとけばよかったな。俺の背がでかくなって可愛くなくなったから、宗雪は俺に興味がなくなったんだと思ってた」

「最初は確かに桜ちゃんが女の子みたいに可愛いくて気になったけど、誰にでも塩対応の桜ちゃんが俺の前でだけもじもじ恥ずかしそうにするのが堪らなくて、どんどん桜ちゃんに夢中になったんだよ、俺。それに、桜ちゃんは今も可愛いっていうか……背が伸びたら美人になったよな」



 俺達は週末にデートする約束をした。映画を見てご飯を食べて買い物して、最後はド◯キに立ち寄る。


 宗雪があの先輩にキレたのは、実は宗雪も俺のチアコスをめちゃくちゃ可愛いと思っていて、それを先輩の前で披露した嫉妬も含まれていたそうだ。だからド◯キでは、宗雪の前でだけ披露するコスプレ衣裳を二人で一緒に選ぶ予定なのである。



おわり


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