第15話:主導権
「……少しマシになったね」
玲奈の言葉が残る。
USD/JPY。
149.80
150.10
149.70
「……来るわね」
東條凛が言う。
「……ああ」
恒一は短く答える。
「……仕掛ける」
「……?」
「……今度は“先に動く”」
チャートを見る。
150.20
150.80
151.60
「……」
上げ。
だが。
「……これは起点だ」
「ロング」
「……!?」
凛が驚く。
「早くない!?」
「……ここから流れが始まる」
チャートが伸びる。
152.20
152.80
+2000万
+4200万
「……」
「……来たな」
だが。
止まる。
152.90
152.80
「……」
空気が変わる。
「……来るぞ」
「……?」
「……見てる」
「……?」
「……あいつが」
その瞬間。
逆。
152.20
151.40
「……!」
落ちる。
+1500万
+300万
「……」
「……ここからだ」
「ショート」
ポジションを切り替える。
「……!?」
「主導権は、もうこっちにある」
チャートが崩れる。
150.40
149.60
148.90
「……!!」
一気に落ちる。
+4000万
+8200万
+1億2000万
「……」
完全に流れを掴む。
「……ここで利確」
結果――
+1億3000万。
「……」
凛が息を吐く。
「……取ったわね」
「……」
恒一は、わずかに首を振る。
「……まだだ」
「……?」
「……これは“途中”だ」
その時。
モニターに表示。
「やるじゃん」
「……」
玲奈。
「……」
恒一が答える。
「……そっちもな」
玲奈。
「……でも」
少し間。
「これ以上やると、入るよ」
「……」
空気が変わる。
「……分かってるだろ?」
「……」
恒一は、わずかに笑う。
「……ああ」
「……ラインは近いな」
玲奈。
「……止まるか、壊れるか」
「どっちにしても面白い」
表示が消える。
「……」
凛が小さく言う。
「……本当に来るの?」
「……」
恒一は画面を見たまま答える。
「……来るなら」
「最大のタイミングで来る」
チャートを見る。
151.80
152.40
「……」
その目は、すでに次を見ている。




