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「な、なんだ!?」

「ちっ、狼どもの仲間か!?」

「「「「「グルルルルッ!」」」」」


突然の何かの鳴き声? に領主軍はこちら側の増援かと警戒し、クイーンや他の従魔達は自分達以外の存在に周囲を警戒し始めた。

一触即発だった状況が何かの鳴き声に警戒しこちらも領主軍も動きが止まってしまった。


「「「「「グキャオオオォォォン!」」」」」


すると、今度はさっきよりもハッキリと何かの鳴き声が聞こえてきた。声は遠くから聞こえたのだがなんとなく空から聞こえた気もする。領主軍だけでなくこちら側の冒険者組やギルド関係者達も不安そうな表情で周囲を見回した。


「くそっ、なんの鳴き声なんだよ!」

「ん? なんだ、あれ?」

「あん? 雲だろ?」

「ちげぇよ、鳥だろ?」

「ば、ばかやろぅ! あ、ありゃワイバーンだ!」


領主軍の一部から「ワイバーン」との声が聞こえたので、その声に反応した人は皆上を見上げた。すると上空を何かが飛んでいるように見えた。確かにシルエットは鳥に見えるが鳥にしては大きすぎる気がする。ワイバーンはおじいさんがたまに狩っているので俺達を含めて孤児院の子達も見たことはある。だからか近くの冒険者組からは「本当だ、ワイバーンだ」などと呑気な声が聞こえてきた。


しかし、ギルド関係者は違う。彼等はワイバーンの恐ろしさを知っているからだ。冒険者組はワイバーンの死体、というか素材しか見たことがなく、生きたワイバーンを見るのは初めてだ。まぁ、ギルド関係者の中にも初めて見る人はいるだろうがギルド関係者はきちんとワイバーンの恐ろしさを知っている。というか、竜の森近くに来る上でワイバーンの恐ろしさを知らないわけがない。

しかし、孤児院の子達はおじいさんが何度もワイバーンを持ってくるのでいまいちワイバーンの恐ろしさを知らなかったのだ。むしろ「弱いのでは?」と思っている子もいるかもしれない。そこにワイバーンを見た時の反応に差が出たのだろう。


「おいっ、なにしてる! 逃げるぞ!」

「えっ? えっ? 逃げるってなんで!?」


焦った様子でギルド関係者は避難を促すが孤児院組はなんで逃げるのかわからず戸惑っていた。


「なんでって、ワイバーンに襲われたらここにいる連中は全滅するぞ!」


ギルド関係者や護衛の先輩冒険者からの声にワイバーンの恐ろしさを理解した孤児院組は慌て出す。


「おいシュウ、早く逃げようぜ」

「おにいちゃん、はやくいこう!」


クルスくんや妹ちゃんもまわりに影響されて急いで逃げようとしていた。避難するならばクイーン達も避難させようと指示を出そうとしたのだが、気づくとクイーン達は警戒する対象を領主軍だけにしていた。どういう事かわからないが最も警戒すべきワイバーンを見ようと空をみるとワイバーンの影が10以上に増えていた。確かに鳴き声は複数聞こえていたので一匹ではないと思っていたが、これだけの数のワイバーンが現れるとは……。

というか、なんでクイーン達はワイバーンを警戒しないんだ!?


クイーンに確認しようとしたら、そのタイミングでワイバーン達が降下してくるのが見えた。


「皆、逃げろー!」


誰の声かはわからないが迫るワイバーンに妹ちゃんを抱きしめて伏せるだけで俺は精一杯だった。

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