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「師匠、いつの間にこんなの作ったんだ?」
「う、うむ、お主達が出掛けている間、暇だったのでな」
「最近はハニービー達も増えてたので助かります」
「き、気にするな。儂もハチミツは欲しいからのぅ」
なんだろう、会話は合ってるんだけどおじいさんが目を合わせずにいるから話してる事がなぜか嘘に聞こえてくる。
「教えてくれれば良かったのに」
「お、驚かせようと思ってたんじゃよ」
驚いてるのはおじいさんだよね!?
やっぱり何かあるのかな?
じーーーーーーーっ
顔をそらすおじいさんに妹ちゃんが正面に回り、おじいさんを見つめ出した。その後もおじいさんは目をそらそうと顔をあっちこっちに振るのだが妹ちゃんが面白がっておじいさんの顔の正面に立ち続けた。
そして、何度も繰り返すとおじいさんの良心が耐えきれなかったのかハニービー達の巣を拡大した理由を話し始めた。
「欲しければシュウに言えば良かったのに」
「孤児院の子達も欲しがるけど全部は多いものね」
「はちみつみんなでたべるの!」
簡単に言うとハチミツ酒用にキープしておきたかったらしい。それにおばあさんにも内緒にしていたようで気まずそうにしている。
まぁ、新しい花畑を見つけてくれて、新しく巣箱も作ってくれたので少しは協力してあげようかな。
「じゃあ、ここはおじいさんがサクヤちゃんの為に作ったって事にしておこうか」
いわゆるサプライズというやつだ。前におじいさんがたくさんハチミツを持っていってしまったので妹ちゃんやサクヤちゃん、孤児院の子供達はがっかりしていたからきっと喜ぶだろう。
妹ちゃん達も喜ぶサクヤちゃんを想像し皆でビックリさせようと乗り気だった。
数日後、皆でサクヤちゃんを新しい花畑に連れていくとハチミツも新しい花畑も喜んでくれて楽しい一日だった。おばあさんも新しい花畑を内緒にしていた事は気づいていたようだけれど、サクヤちゃんを喜ばせたから怒られずにすんだようだ。
ハチミツの方も花畑が二つになったので収穫量も増えおじいさんも子供達も大満足である。
……しかし、おじいさんは忘れているのだろうか? これ以上ハチミツを持っていっても作れる量に限界があるから作ってもらえないということを……。
今日は久しぶりに龍王山の向こう側に来ている。おじいさんに旅の事を相談したら馬を捕まえる手伝いをしてもらえることになったのだ。場所はいつもの草原で草食系のモンスターがたくさん暮らしているところだ。
「うおおおおおおっ」
「にゃあああああっ」
「ワゥッ」「ワフッ」「ウォンッ」
比較的おとなしいモンスターが多いのでクルスくん、妹ちゃん、子狼達は元気に走り回っている。今回の目的はステップホースなのでミルホーンやビッグコッコを見つけても無視する事になる。というか、これ以上増やしたら牧場が大変な事になる。チーズの村へお土産にする手もあるが、それなら直前に捕まえればいい。
ということで皆で走り回ってステップホースを探しているのだ。ここらで強いのはファイティングブル位なので、見つかったらここへ誘導し皆で倒すことになっている。お肉は美味しいからね。
ちなみにクイーンは港町の子供達や新しく増えた狼達の修行で来れなかった。クイーンも走りたいだろうし今度連れてきてあげたいな。
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