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畑も完成し、出産ラッシュも落ち着いた頃冒険者二人にも動きがあった。
ゆっくりと依頼をこなしていたが、そろそろ7級へのランクアップが可能になっていたのだ。
ただ、試験等はないが早めに護衛依頼を受けた方が良いとの忠告を受付のお姉さんから言われたらしい。
確かに俺達は採取依頼や討伐依頼ばかりなので護衛依頼を受けるのもいいかもしれない。
ランクが低いうちは簡単な護衛依頼を受けられるから経験を積むなら早いうちが良いらしい。ランクが高いと払う依頼料が高くなり簡単な依頼が出せなくなるとも言っていたらしい。
「それで、今度護衛の依頼を受けようと思うんですけど、何か気を付けることはありますか?」
「護衛かぁ…。すまんが護衛はあまりしたことが無いんじゃよ。」
二人が先輩冒険者でもあるおじいさんに護衛について聞いてみたが、あまり良い返事を聞くことが出来なかった。
「おじいさん、それでよく三級冒険者になれましたね?」
「あ~、儂は高ランクモンスターばかり討伐しとったから討伐専門と思われたようでのう、護衛依頼はほとんどやらなかったんじゃよ。一つの所に長くいることも無かったから指名依頼もされんかったしのぅ。」
「えっと、つまり自分のランクに関係なくモンスターを狩ってたらランクアップしたと?」
「まぁ、そんなもんじゃな。じゃが、護衛をしたことが無いわけではないぞ?たまに気が合った行商人と旅をすることもあったからのぅ。依頼ではないがな。」
「あ~、じゃあ護衛の経験はあるって事ですね。」
「一応じゃがな。」
「それでも良いので色々教えてください!!」
「かまわんが、あまり役立つことはないぞ?まぁ、野営の仕方くらいは教えられるか…。」
「十分です!」
「よろしくお願いします!」
ということで、俺達はおじいさんから野営の仕方を教わることになった。
本来なら先輩冒険者に聞くのが普通なんだろうけど、俺達知り合いの冒険者がいないからなぁ…。
こんなことなら少しはギルドで知り合いを作っておけば良かったかな?でも、ガラの悪い冒険者が増えてるらしいしなぁ…。
野営の仕方を覚える前にまずは道具を揃える事になった。
そもそも俺達は竜の森にしか来たことが無いのでたいした道具を持っていないのだ。
おじいさんに確認したところ、野営をするなら
テント
寝袋又はマントやローブ
水
食料(保存食)
調理道具(鍋)
照明道具
が必要とのこと。後は護衛対象が馬車なのか歩きなのかや距離、人数で色々変わるらしい。
少なくともテント、寝袋、照明道具を持っていないので、作るか買うかしないといけないな。
水と食料は依頼内容の確認と受付のお姉さんに確認した方がいいな。
そういえば荷物を運ぶのにアイテムボックスは使えないけど小屋と同じように袋や鞄に空間魔法を使えばかなり便利じゃないか?
「それはやめておいた方がいいぞ。魔法の鞄は確かにあるが、王族や貴族、大商人、上級冒険者等しか持てん高級品じゃからお主らが持ってる事がわかったら狙われるぞ。」
「あ~、それは困りますね。でも、もったいないなぁ…。」
そうだ!ならバレないように作れば良いのでは?
例えばテントを見た目より少し広くするとか、鞄の内ポケットを広くするとか。
まぁ、手間が凄くかかりそうだけど、自分達で作るならなんとかなるかな?
後でおじいさんおばあさんに相談してみよう。




