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「しかし、本当に冒険者の数が増えたなぁ…。」


今日もギルドの依頼をこなすため、竜の森にやって来た俺達。

いつものように街道から繋がる森の入口を避け、俺達の狩場、採取場へ向かう道すがら、冒険者を多く見るようになった。


「ほんとだよな。シュウ達と狩りをし始めた時はこんな方まで冒険者はいなかったもんな~」


冒険者になった二人の言うとおり、他の冒険者を避けるために離れた所で採取をしていたのに、いつの間にか俺達の採取場の方まで冒険者が来るようになっていた。


どうやらいまだに冒険者が増え続けているらしいのだが、領主の息子が集めている冒険者はランクが低いのが多く、本来であればランクアップした冒険者が増え、森の奥へ開拓するのだが、それが出来ずに森の外縁部を探索するようになっていた。


「確かに最近増えてきたわね」


「こうなると少し考えないとダメかもね。」


「ん?考えるって何をだ?」


「増えてきたのってガラの悪い冒険者でしょ?町でならまだしも、森で会ったら絡まれるかもよ?」


「あ~、そういうことかぁ~」


「じゃあ、どうするんだ?」


「おじいさんに相談しないとだけど、こっちの方の採れる物を全部採ってこっちに来るのを諦める。それで、今後は小屋の方を中心に活動する。かな?」


「じゃあ、いつも師匠の所に行くことになるのか!」


「それで良いんじゃない?」


「うん、でも問題もあるんだよね~」


「問題?」


「街道を挟んで採取場と小屋の方に別れるでしょ?こっちは果物や薬草なんかが豊富なんだけど小屋の方はあんまり無いんだよね。逆にモンスターは多いみたいだけどね。」


「そういえば向こうで果物は見なかったな。」


「花畑はあるけどね。」


「はちみつ!」


「そうだね、向こうはハチミツが取れるね。」


妹ちゃんはハチミツを思い出し甘々な顔をしていた。


「どっちにしろこれからも冒険者が増えそうだから採取は採り尽くすつもりでやっていこう。アイテムボックスに入れておけば腐ることはないからね。」


この日から俺達は果実や薬草、野菜等を採れるだけ採っていった。


その後一ヶ月程かけて採取場の素材を採り尽くした。と言っても季節じゃない果実や未成熟な薬草類は採取出来なかったが…。



「それじゃあ、おじいさんこれからはここ中心に活動させてもらいますね」


「「「「「お願いします。」」」」」


「あぁ、かまわん。」


「そういえば、こっちの方には冒険者は来ないんですか?」


「お主達が心配しておる低ランクの冒険者は来んじゃろうな、ハニービーを飼いだしてから結界を強めたからのぅ。よほどの冒険者でなければこちらには来れんはずじゃ。」


「そうなんですか!?じゃあひとまず安心ですね。」


「でも、こっちに来ると果物が採れないのは残念よね…」


「果物無いの…?」


俺達の事をあまりわかってなかったサクヤちゃんがイリヤちゃんの言葉に反応した。


「うん、これからは今まで果物を採りに行ってた所へは行けなくなりそうだから今ある分しか無いんだ。」


俺が説明するとサクヤちゃんは悲しそうな顔をし、つられて妹ちゃんも泣きそうになっていた。


「それなら自分で育てれば良いじゃろ!」


おじいさんの一言で皆の視線が集まった。


「花畑辺りに植えればそのうち実がつくじゃろ。魔力も豊富じゃし普通よりは早く育つじゃろうし、受粉なんかはハニービーがするじゃろ。」


確かにいい考えかも。少し時間はかかるだろうが人は来ないし好きな果物が育てられる。


「ならついでに畑も作ろうかな?」


「そりゃいいな、土地もあるみたいだしな。」


ということで、俺達は冒険者ギルドの依頼を最低限こなしながら新たに農作業を始めることになった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 他の冒険者がくるからと自分勝手な理由で故意に採取資源を枯渇させようとするとか、主人公らのほうが余程ガラの悪い傲慢で身勝手な存在ですね
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