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公爵家の息子と公爵家の娘④

伯爵家のパーティに参加した日、ギルベルトに気持ちを伝えられた。彼の気持ちは薄々気づいていたし、彼が夫人と話しているのを見てモヤモヤしていた。自分がギルベルトに気持ちが揺らいでいるのは確かだった。

少し…嫉妬してたんだろう。

彼に触れられたところが熱くなった。そこからふわふわした気持ちになって、テラスで告白されたのだ。

悪い気はしなかったし、公爵家とは無縁な生活だった私にそう言ってくれるのが嬉しかった。

だから自然と首を縦に振ってたんだ。

ギルベルトが軽々と持ち上げてたとき、思わず彼の首に抱きついてしまった。


「ニーナ、やっぱ君…最近ソワソワしてるね」

「ジーク様もそう思います?」

「え?あぁ…まぁね


彼の部屋を掃除していると、この前と同じ言葉を投げかけられる。

余裕の笑みで対応すると、ジークフリートは目をパチパチ動かしている。


「もしかして…ソワソワの原因って後ろにいるギルベルト?」

「…へぇ?!」


ジークフリートの目線の先には、書類を手にしたギルベルトが立っていた。私はいきなりの登場に動揺してしまう。

バタバタと忙しない音を立ててしまい、主人から視線を向けられてしまう。


「やぁ、ニーナ嬢大丈夫?」

「だ、だ、だいじょ…ぶです」


ギルベルトは持っていた書類を主人に手渡すと、私の手伝いをしてくれる。

その時に黄金の瞳とぶつかった。それに見惚れていると、彼の手が私に手を重ねる。

触れた場所が徐々に熱を帯びてくる。ぼんやりしていると、ギルベルトの顔が近づいてくる。

あぁ…キスされる。

と思い目をつぶる。こんなところで…なんて思うけど、湧き立つ欲望を抑えきれない。

だけど、待てと暮らせどギルベルトの唇が触れることはない。


「ギルベルト、流石にこの場で盛るのは僕が許さない」

「…いっったっ」


目の前から鈍器か何かで殴られたような、重い音が聞こえてくる。驚いて目を開けると、本を手にしたジークフリートと、頭を抑えているギルベルト。その本は手にするには重すぎる。

私は小さく悲鳴を漏らしてしまう。


「ジークフリートっ、お前は加減を知らないのかっ」


立ち上がったギルベルトは、不貞腐れたような表情でジークフリートで立ち向かう。


「上司の部屋で欲情するからだ」


彼の言葉は的を得ている。


「だったら、ここじゃなければいいんだな。今日はニーナ嬢を連れて行ってもいいか?」

「どうぞお好きに。ニーナ、後で片付けるから気にしないでいいよ。お互い気が済むまでお話ししておいで」


上からの了承を聞き終える前に、ギルベルトは私の手を掴んで廊下を歩く。

出会う人たちは微笑ましい表情で見てくる。

恥ずかしい…。

人気が少ない場所へやってくると、お互い呼吸を整える。


「…ごめんなさい」

「私こそごめんなさい。本当に…反省してる」


先ほどまでの出来事をお互い反省する。猛省したところで、ギルベルトが口を開く。


「改めて…仕切り直してもいいでしょうか?」


顔を赤くして改めて言うものだから、声に出して笑ってしまう。

百戦錬磨のギルベルト・リーシュが一人の女に戸惑ったりするのは面白い。しかも、それが全て私に向いてると分かったから…少しだけ…いや優越感でいっぱいだ。


「毎日、クラウスハールに来たいくらい…ニーナ嬢のことを思っている」

「……嬉しい。ありがとう…ギル」


彼のことを愛称で呼ぶと、両手で顔を覆う。そんな彼が愛おしすぎて、額にかかっている紙をかき上げてキスをする。


「……君は…ずるいよ」

「ギルの方がずるいわ。私だって…毎日のように貴方に会いたいのよ」

「休日は遊びにおいで。両親に紹介するよ」


それは…少し早いんじゃない?!


「俺の大切な人だって。ニーナ…」


熱を帯びた目を見つめられて、今度こそ目を閉じる。


「君はニーベルンゲンの公爵の長女だ。そんな君も好きだけど…俺は仕事に懸命な君も好きだ」


そう言うと、彼は私の唇と合わせる。

…クリームをくれたのは貴方なのね…ギル。

私はなんて幸せものなのかしら。


「百戦錬磨のギルベルト様も余裕があって素敵だと思うけど…私はありのままの私が好きよ」

「……そうか。ありがとう、ニーナ」


小さく“必ず幸せにする”と呟いた。

今でさえ幸せなのに、これ以上幸せになったらどうするのだろうか。

でも…ギルベルトがいればそれはそれでいいかもしれないわ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ギルベルトとニーナのお話は後ほど続きます。


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