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ジークフリート(2)。

「メルクーア嬢と殿下が婚姻関係にあるときに、貴女は殿下と仲を深めていましたよね?」


低音で告白するギルベルトにヒルデは怯んでしまう。


「自分のことを棚にあげるのは、いかがなものかと」

「ご自身の想い人と共にすることになったのだから、こちらに干渉しないで頂きたいんだけど」


ため息を溢すジークフリート。その視線は冷たくて、こちらまで背筋が凍ってしまう。


「で、でもっ」

「その言葉がそっくりそのまま天下にも刺さってしまうのはご存知ですか?」


ギルベルトがヒルデを詰めていく。

上がって行った顔はどんどんと下がっていく。隣にいたルートヴィヒが彼女を庇うように立つ。

お互いが対立するような形となり、野次馬たちが楽しみを堪えきれてないようだった。


「ヒルデを責めるのはやめてくれ、ギルベルト。それに…どうして君がそっちにいるんだ」

「メルクーア嬢を悪く言うからだろ?俺は昔の君が好きだった。今の君は…好ましくない」


はっきり言ってのける彼に、ルートヴィヒは口を閉じてしまった。

心当たりがあるから余計に何も言えないのだろう。


「ジークフリートの傍にいようが俺の勝手だろ?」

「……」


彼の一言で遂に何も言えなくなったようだ。


「…ありえない…ありえない。メルクーアは嫌われる人物のはずなのに…」


ヒルデの言葉に、ジークフリートの背中から顔を出す。

もしかして…彼女も私と同じ元の世界の人物なのだろうか。少しだけヒルデに興味が湧いてしまう。

だけど彼女は気が狂ったかのように、独り言をぶつぶつ呟いている。それを見て怖くなって。再び彼の背中に隠れた。


彼女が元の世界の住人なら納得がいく。

あれだけ仲が良かった私とルートヴィヒとの間に入って来て、私たちとの仲を悪くするなるように色々動いていたのだろう。


「ルートヴィヒ、ヒルデ嬢を連れてここから去りなさい」

「父上っでもっ」

「これ以上…醜態を晒さないでくれ」


小さく息を吐くように陛下が告げる。

そして彼は、招待された貴族たちも退席するようにし、私たちだけ残す。


「今日は…大変申し訳なかった」


立ち上がった陛下は、深々と頭を下げる。


「後日、伯爵家には謝罪を送らせてもらう。私が立ちあったから、君たちの婚姻を認めよう」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます、陛下」

「そして…ギルベルト。君は、ジークフリート殿に着いていくのに…自分の意思なのか?」

「はい。自分の意思です。残念ながら、今の殿下に仕えたいと思えません」


陛下はギルベルトの言葉に”そうか…”と呟く。

そして彼は私たちにも去るように伝えた。


◇◆◇◆◇◆


三人で王宮を出ると、クラウスハール家とシュテルンベルガー家の両家が出迎える。


「えっと…お父様…お母様…ごめんなさい」


一応、王太子の婚約者を破棄されてしまったから。

別に私が悪いってわけじゃないけど、何故か申し訳なさを感じてしまう。

両親はこちらに近づくと、”気にしないで”と声をかけてくれる。


「メルクーア、君は今日から自由だよ。今まで我慢させたね」


父からの労いの言葉に目頭が熱くなる。

ジークフリートの人差し指が、目に触れたから自分が泣いていることを理解する。


「早く解放させてあげるべきだったね…」


私は父に駆け寄って、今まで耐えていた分の涙が零れる。身近とは言えど、周囲に人がいるため、声に出さずに抑えて涙を流す。

父は落ち着かせるために、背中を叩いてくれる。幼い頃を思い出して、落ち着いてきた。


「あの殿下のことは気にしなくていいからね」

「ありがとうございます…お父様」


ようやく離れた後はようやく一息つく。


「今日から新しいメルクーあの人生を歩むんだよ」

「はい…」


頷きながらジークフリートの方を向く。彼は静かに首を振る。


「シュテルンベルガー伯、今まで以上にメルクーアのことを幸せにします」


そう宣言して、もう一度片膝をつく。

そうして私の手を取って口づけをした。


「メルクーア、僕は君のことを愛している。これから生涯をかけて君を護ると誓おう」


()()なんてそんなたやすく言うものじゃない…なんて言えなくなる。


「絶対…護ってよ?」


涙声で答えてしまう。

やっぱりこう言ってもらえると、心が暖かくなる。


「あぁ…約束しよう」


今日から私はジークフリートと共に生活していくことに決めた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

クライマックスになるので、しばらくお待ちください!

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