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三人での話し合い。

「ギルベルト」


今朝の出来事に腹を立てたまま、例の人物がいる教室へ乗り込む。

彼は教室にいる令嬢たちと話しながら、目を見開いてこちらを見る。そばにいた令嬢たちは、小さく悲鳴をこぼす。

どうして青ざめた表情をしているんだ。ギルベルトは焦った表情でこちらに走ってくる。


「ジークフリート…君の今の表情…恐ろしいよ」


鏡があれば見せてあげたい。と言われた。今はそんなのはどうでもいい。


「で?鬼の形相をして何があった?」

「あの女が殿下のことを愛称で呼んでいたの、知ってるか?」


小声で話すとギルベルトは言葉が出ないようだ。彼もはじめて聞いたよう。


「それ、最近か?初めて聞いた。ルートヴィヒはあいつのことをなんて呼んでいる?」

「ヒルデ…と呼んでた」


彼は思案すると、僕の腕を掴んで教室を出ると狭い場所へとやってくる。


「あの二人、いつの間に仲良くなってるんだ」

「僕が知ってるわけないだろ」


いつの間にか距離が縮まっているからか、こちらとしてはそのタイミングかはわからない。


「メルクーア嬢、大丈夫か?」

「大丈夫だったら、ギルベルトに言わないだろ。メルクーアは段々と表情が抜けてきている」


先ほどの出来事を思い出しながら彼に伝える。

ルートヴィヒに対しての信頼はなくなっているだろう。彼女の彼に対する瞳に光が消えている。


「そこまで…?で、それを僕に言ってどうするんだよ」

「改めて、僕たちが味方だよってことを伝える」


彼女がいつ壊れてもおかしくない。

その前に救い出さなければならないだろう。


「ギルベルト、今週は予定ないだろう?」

「今週末…予定…が」

「入ってないな。じゃあ僕の家に集合だ」


◇◆◇◆◇◆


週末、メルクーアも予定がないとのことで、我が家に集合となった。

僕の世話をしてくれるメイドが、今日の会を用意してくれた。彼女はメルクーアのことが好きらしく、来訪した際には目を輝かせながら見ていた。それを目にしたメルクーアは、怖がるようにお辞儀をしていた。


「…ギルベルト様?どうして」

「お久しぶりです、メルクーア嬢。俺も貴女と同じでジークフリートに呼ばれたんです」


迷惑そうに話す彼に、小さく足を踏むと声を出して痛そうに声を漏らした。


「メルクーア、このメイドのことをは気にしないでいいから。ゆっくりしていって」


近くで準備をしているメイドは”酷い”と低い声で唸っている。

それを無視してメルクーアを手招きすると、彼女は警戒することなく近寄る。

そんな彼女に自然と笑みが溢れる。

不思議そうにしている彼女のドレスの首元についているブローチに触れる。僕の行動に驚いたのか少しだけ体を動かすものの、首を傾げながら目を見つめ返す。

彼女の空よりも碧い瞳は、宝石のように美しい。宝石と言われるのは、本人が嫌がっているけど。

それでも僕は宝石のように美しいと言いたい。

目を見つめ合って、照れるだけでもなく、自然な笑顔で笑うメルクーアが…愛おしい。


「ブローチ…つけてくれてるんだね」

「えぇ。ジークが毎日持っててっていうものだから…本当に大切なものなんでしょ?」

「命よりね」


なんて冗談めかしていうと、小さい声で”え?”と驚く。そして恐る恐るブローチに手をかけると、外そうとする。

そんな彼女の小さな手の上から自身の手を重ねる。


「俺のことを忘れて、二人の世界に入らないでもらえますか?」


小さなってを握ろうとすると、ふれくされたギルベルトがこちらを睨む。メルクーアは悲鳴をあげてしまった。


「もう少し待っていてくれても良かっただろ。空気を読んでくれ」

「時間を割いてるんだから、本題に入ってくれ」


本気で怒ってはいないだろうが、不機嫌なので本題に入るとしよう。二人をソファーへ座らせると、口を開いた。


「メルクーア、もし新しい国ができるとしたらついてきてくれる?」


前置きなんてせず、直球で彼女に訊ねる。

僕の横ではギルベルトが黙って聞いており、メルクーアは息を呑む。そして顎に手を当てて考えてから口を開いた。


「もし…の話だったとしても、私はこの国の王太子妃になる予定だから、ついて行くことはできないわ。一生をこの国で生活するの」


揺らぐことのない瞳に、こちらは何も言うことが出来ない。彼女の覚悟は固いようだが、そんな未来はこないだろう。

おそらくだけど、ルートヴィヒは優柔不断だからメルクーアを正妃にするだろうが、ヒルデを側妃ではなく側に置くぐらいはするだろう。

幸せにならないのなら、彼女を攫ってしまいたい。


「一生をこの国で生きるの?俺は将来性がないと思うけどね」

「……どういうこと?」


ギルベルトとメルクーアで勝手に話が進む。


「君だって気付いているはずだ。ルートヴィヒは八方美人すぎる」

「だから何?」

「今の国王みたいに政治に対して厳しいわけじゃない。きっと何かしらの圧に負けてしまう」


彼の言葉にメルクーアはついに黙ってしまった。

そしてそのまま顔色が青白くなっていく。


「きつい言い方になって申し訳ないけれど…それでもメルクーア嬢にはいうべきだと思っている」

「ギルベルト様はこの国を見捨てるの?」


彼女は顔を上げることなく下を向いたまま話を続ける。


「ジークフリートが建国するなら、喜んでついていくつもり。別にこの国を見捨てるわけじゃないけどね」


僕が建国するなんて一言も言ってないのに。勝手に置換するのは良くないと思う。

メルクーアは小声で”ジークが新しい国を作るの?”と呟いている。ほら、勘違いをしているじゃないか。


「俺が言いたいのは、ルートヴィヒとヒルデ嬢の関係のまま、君が王太子妃になるのは…心身ともに傷つくんじゃないかなって心配しているんだ」

「私の心配?」

「そうだよ。君に負担がかかりすぎる」


ギルベルトは”だよね、ジークフリート”と笑顔で訴えかけてくる。


「そうだね、僕だって心配するよ。君は大切な親友だから」

「ありがとう。でも、私はそこまでの覚悟はないみたい」

「今はそれでいいよ。僕もギルベルトも、メルクーアの味方だから」


僕とメルクーアが十年来の友人であるように、メルクーアとジークフリートも十年の付き合いがある。それを簡単になくすことはできないだろう。

しかも、彼女は将来この国を背負うことになるのだから。


「そうだね。メルクーア嬢の味方だ」

「いつでも僕たちを頼ってくれていいからね」


今回、三人での話し合いはさして進まなかったが、僕たちの思いを伝えることができたと思う。


いい結果になることを願うだけだ。

お久しぶりです❁¨̮

無事に実家から帰宅しましたので、投稿再開します!


前回の続きからです!

いつも読んでくださりありがとうございます(´˘`*)


もしよろしければ、下の☆☆☆☆☆を押してくださると嬉しいです!

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