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77話

目が覚めると、薄暗い洞窟に横たえられていました。

周りには人の気配がせず体の下には厚手の毛布が敷かれ、体の上には薄手の毛布が掛けられていました。さらに近すぎない距離にはたき火が灯されています。

ここは一体……。

体を起こそうとすると、首筋に痛みが走ります。

そうでした。私は戦場で治療中に魔力枯渇を起こしている最中に、不覚を取りリガーフェルに攫われたのでした。

そうするとここは、帝国の拠点の1つなのでしょうか?

それにしては、人の気配もありませんし、なにより戦場の音が全く聞こえません。ここは一体どこになるのでしょうか?

私は周りを注意深く観察しながら、闇に目が慣れるのを待ちます。いくらたき火が灯してあっても、薄暗いので目が慣れない事には見えないところも多いですから。

目が慣れ観察が多少は楽になりましたが、ここが洞窟であると言う事以外は分かりません。仕方ありませんが、見張りが戻ってくる前に、ここから逃亡する事にしましょう。

立ち上がり、自分の装備を念の為確認してみると、全て取り外されていました。

流石に全部あるとは思っていませんでしたが、全て無いとは思いませんでした。

一旦服を脱がせて、下着姿にしないと全て取り外す事など出来ない筈ですが…。

全て取り外す為に、下着姿にされたのでしょうか。女性としてすごく嫌ですし、意識が無い間にそんな事をされたのかと思うと虫唾が走ります。母様が殺された場面を思い返してしまい、吐いてしまいました。


「やぁ、目が覚めたようだね。」

「リガーフェル…。」

「顔色が悪いね。大丈夫かい?

目覚めてからどれくらい経つか知らないけど、逃げられなくて残念だったね。」

「……………。」


吐いて気分が悪くなったのを落ち着けている内に、リガーフェルが戻って来てしまいました。これで逃げ出すタイミングを完全に失ってしまいましたね。

これからどういう行動をすべきでしょうか。ダンさんは無事でしょうか?

なるべくリガーフェルを視界にいれない様に自分の位置を調整します。


「警戒して可愛いね。大丈夫、今はまだ何もしないから。」

「…一体私をどうするおつもりですか?ここには帝国の兵が居ない様ですが。」

「いなくて当然だよ。帝国の連中はプランツェ王国と戦争中なんだから。」

「貴方は帝国側の人間なのですよね?」

「利害関係が一致してたから、協力しただけだよ。

あんな国は亡ぶべきなんだから。」


この男は一体何故そんなに王国を恨んでいるのでしょう。

確かに前国王陛下のやり方は、強引な所も多々ありましたが、この男も元は王族。あの前陛下と親戚関係にあったのだから、恨みを持つ前に何らかの手を打てばいいと思うのです。それをせずに恨みを募らせ亡国を臨もうなどと…。

それよりも、私をどうするつもりなのかの返答はもらえませんでしたね。今はまだ何もしないと言う事は、その内何かをすると言う事です。

この男の目を盗んで武器になるようなものを探し、所持しなければ。ただ、この男には隙がありそうで全く見当たりませんから、そんな芸当が出来るのかが不安ですが…。


「……もっと明るい話をしようよ。

折角、王国から解放してあげようと思ったのに。」

「どう言う事ですか?」

「うん?だってミーナは産まれてから今まで、本当の自由を与えられた事は無いでしょ。

その瞳の色の所為でね。

あの木偶の坊の事だから、警戒ばかり強めて自由を与えない様な指示を出したでしょ。ミーナの家族はあの木偶の坊の臣下だから王命には逆らえない。

そして、力が判明したとたん、囲い込む。ミーナやパトリックの思惑をまるっきり無視をしてね。

だから、あの木偶の坊が退場出来る様に色々影から動いてあげたのに、最終的にはパトリックもミーナの力を利用する事にしたみたいだから、国ごと潰す事にしたんだよ。

もし、ミーナを戦争に利用しなければ、私が責任を持って帝国を潰してあげたんだけどね。」


この男は一体何がしたいのでしょうか。今の言動はずっと王国を支配する事が出来た立ち位置に居たと言っている様なものです。帝国に対してもですが。

この男が何をするにしても、私は私の出来る事をするまでです。今最優先でする事は、ここがどこで今はあれからどれくらいの時間が経っているかなどの現状把握をするべきですね。

そうと決めれば、行動あるのみです。この男と会話するのは嫌ですが仕方ありませんが。

この男に遠回りに聞いても、話を逸らされそうなので、直球で1つ1つ質問をしましょう。


「ここは帝国の支配地ではなさそうですが、王国のどこかですか?」

「…はぁ、明るい話をしようと言ったでしょう。

それにしても直球で聞くことにしたのですか?まぁ、先程までもほぼ直球でしたから大差ありませんけどね。

それと、その質問には答える義理はありません。

何故わざわざ情報を提供する必要があるのですか?簡単にそんな情報を相手に与えるのは馬鹿のする事ですよ。」

「……………。」


馬鹿で悪かったですね。思った以上に精神をやられてしまいます。もう、情報収集を諦めて、地道に隙を狙う事にしましょう。


「そうそう、余り馬鹿にし過ぎると可愛そうだから、他の事を教えてあげるよ。

ミーナを気絶させてから、大体丸2日程経ってるよ。それほどまでに力を使って、体を酷使していたみたいだね。

あと、護衛に就いていた彼の事だけど……。」


=ガン・ガン・ガン…ドガン・ドガン……ドガ―――ン=


「…どうやら、到着したようだね。」

いつもお読み頂きありがとうございます。


日・月は掲載お休みさせて頂きます。次回は火曜日の掲載予定です。

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