―閑話 ~オルデン・クリーガの喜び~-
今回も長めです。
執務室でルダート副団長と昇格試験の事で話し合いをしていると、パトリック王太子殿下とその護衛の1人であるフランツ殿が訪れた。
今時分に訪れる内容などはなかったと思うが、フランツ殿の趣味で何かをまた発見されたのだろうか?
「パトリック王太子殿下・フランツ殿どうかされました?」
「1つ頼みたい事がありまして。宜しいでしょうか?」
「何で御座いましょう?」
「実は、クリーガ騎士団団長かルダート副団長のどちらかに模擬戦をして頂きたいのです。」
「私かルダート副団長でですか?その者は実力者なのでしょうか?」
「実力を計って頂きたい相手なので、実力者かどうかは不明ですね。
相手は8歳の少女で、ヴァグナーク隊長の娘さんです。」
「ミーナちゃんですか。それはまた何故でしょうか?」
「彼女を鳥籠から出してあげようかと思いましてね。まぁ、ヴァグナーク隊長が陛下に直談判に来られた時に、その場に私が居合わせまして、その件を私がお引き受けしたのですよ。
で、どうでしょうか?」
「…畏まりました。お受けします。力加減はどの程度にしますか?」
「お任せしますよ。
それと、ネイルソン隊長にも模擬戦の相手をしてもらいます。
模擬戦は全部で3戦してもらいます。1戦目がクリーガ騎士団団長かルダート副団長、2戦目がネイルソン隊長、3戦目がクリーガ騎士団団長かルダート副団長とネイルソン隊長のコンビ行って貰います。
すべて1日で終わらせますので、その事も念頭に置いておいて下さい。
日程や場所は、おってご連絡しますね。
では、私はこれで失礼しますね。」
嵐のように来て去って行きましたね。一緒に話を聞いていたルダート副団長が固まってますね。
当たり前ですかね。何せ初めて怖がらずに懐いてくれた子供ですから。
これは、私がやるしかないでしょうね。
「ルダート副団長、私がミーナちゃんの相手をしますね。貴方じゃ余計な手加減をしてしまいそうですから。」
「それは助かる。ミーナちゃんが自由になるための模擬戦だったとしても、相手するのは気が引ける。嫌われたくないし。」
「ふふっ、知ってますよ。
もしかしたら、私自身が久しぶりに楽しめるかもしれませんしね。何せハンスが3歳の頃から訓練していますし、最近は相手するのも手こずると言っていましたからね。」
「あのハンスがか!?
あぁ、俺の天使がどこに向かってるんだ。俺がそばで守ってやるのに。」
「それは、ミーナちゃんがかわいそうでしょう。」
「どういう意味だっ!」
「そんな厳つい顔のおじさんがいたら、恋も友情も育めないでしょう。」
「っぐ。それよりも昇格試験の話に戻すぞ。」
ここは大人しく、話をそらしてあげましょうか。興味もないですし。
それよりも、ミーナちゃんとの1戦が楽しみですね。いつやるのでしょうか?
結局、1ヵ月も模擬戦まで待たされてしまいました。
あぁ、今日やっとミーナちゃんと戦えるのですね。楽しみですね。早く模擬戦をやる予定の森へ移動したいものです。
森に着くとミーナちゃんはワンピースの姿のままだが、それで戦うのですか。面白いですね。男の私からしたら、スカートなど動きにくい邪魔なものでしかないのですが。
陛下達がミーナちゃんの服装に納得されたので、いよいよ開始ですね。
取り敢えずいつもの戦闘時の様に、眼光を鋭くしたら、ミーナちゃんがそれを返してきました。
凄いですね。私の戦闘時の眼光は、大の大人でも怯み人によってはお漏らしをしてしまう程なのですから。やはり、ミーナちゃんは将来的に騎士団に欲しい人材ですね。初めて会った時の勘は間違いないですね。
イヴォール大臣の開始の合図で、5割程度の力を出し動き始めます。ミーナちゃんに迫りながら、剣を突き出すと、いとも簡単によけました。この力加減でも大概の人は動けないのですが、ここは流石と思っておきましょう。
私の剣を向かって右側によけてそこから剣を振りかぶってきます。予想通りの動きですが、予想よりもスピードが速いですね。取り敢えず剣を戻して防ぎましょうか。
ですが、剣を最後まで振り切らずに止めて、バックステップを踏み私から距離をとります。
何がしたいのでしょうか?すると、ミーナちゃんがニヤッと笑いながら何かを投擲してきました。しかもご丁寧に時間差をつけて3つもです。
ですが、これぐらいでは油断しませんよ。と思っていましたが、今までの動きとは比べ物にならないスピードで迫り、下から左肩をめがけて振り上げてきました。こんな技を持っているとは予想外です。ですがこれくらいでは私を負かすことはできませんよ。
➖カンカンカン、ガギーーン➖
ハンスも中々いい鍛え方をしているようですね。自分の長所を最大限に活かせる様にしているとはね。でもこれはハンスが教えた技では無く、ミーナちゃんが自ら編み出したのでしょうね。悔しそうな顔をしてますね。恐らくハンスには所見では有効な手立てだったのでしょう。
楽しいですね。どこまで力を引き上げましょうか?
ミーナちゃんの次の手は双剣をするようですね。独特な動きは捉えどころが無く、それでいて優雅ですね。まるで踊っている様です。
ですが、動きがスピードを重視しすぎている為か、私相手では読みやすいですね。ここは要改良が必要ですね。
こちらがスピードをあげれば対応出来ていない物もありますが、致命傷になるものは、きちんと防いでますね。審美眼もお持ちですか。
関心しながら、次をどうするのか観察していると、今まで左で振るっていた小型の剣が顔めがけて飛んできました。
その剣を叩き落して、ミーナちゃんを見ると、右に持っていた剣を左で持ち、またどこかからか出してきた鎖を操っています。その鎖が私に迫っていたので弾き飛ばします。
一瞬隙が出来たので、その隙に喉元に剣を突き付けました。
ミーナちゃんが剣を手放し、手を上げかけたので油断してしまいましたね。まさかまだ武器を隠し持っていたとは、恐れ入りますよ。その武器を私の腹に突き付けてきたのですから。
全力で無かったとはいえ、まさか8歳の少女に引き分けるとは。悉く私の予想を上回りますね。
皆の予想を上回っていたミーナちゃんに、困惑したイヴォール大臣が休憩を入れる事にしたようですね。
さて次は腹黒と名高いネイルソン隊長とですね。どの様に健闘されるのでしょうか?
こちらでも、飛び道具に先程とは違う独特の動きをして翻弄しようとしていますね。先程の動きと比べてもこちらの動きは読みづらいですね。
しかしネイルソン隊長も直ぐに次の手を打ってきているので近づけない様です。
どうするのかと見ていれば、先程の鎖を再度出し今度はブンブンと振り回し始めました。何がしたいのでしょうか?
しばらくは只振り回しているだけでしたが、少しスピードを落として石礫を狙い打ちし始めました。
石礫を破壊しながら、ネイルソン隊長に近づこうとしていたのですね。最初の振り回しは勢い付けだったのでしょう。少々無意味に回しすぎでしたが。
しばらくは、石礫を順調に打ち落としていましたが、空振りするようになってきていますね。腕が限界に近いのでしょう。
その後直ぐに鎖を捨て、剣を盾に使い出しました。
確かにそれで防御が出来ますが、周りがあまり見えなくなっているのではないのでしょうか。
そう思っていると、やはりネイルソン隊長の土魔法で拘束されてしまいましたね。
どうやら、お互い決め手が無かったようですが、経験でネイルソン隊長に分があったようです。ですが、あの年齢でここまで出来るとは。
次はコンビでの戦闘ですが、大丈夫でしょうか?
手は出し尽くしてしまっているのではないでしょうか。今度はあっさりと終わりそうで残念ですね。
そんな予想を裏切り、休憩後の1戦も中々楽しめましたよ。
一体どこにそんなに武器を隠し持っているのやら。これは騎士団でも取り入れてみたいですね。特に第5騎士隊あたりに。
こちらは2人掛りなので、今度は楽に死角に入り込めます。
さあ、そろそろ幕引きですよ。
ミーナちゃんがまたこちらに何かを投げてきますね。
そろそろそれには飽きましたよ。
しかし、油断した訳ではありませんが、1つくらってしまいましたね。
こうでなくちゃ。
そして、剣を捨てて私たちにそれぞれ飛び道具を投げつけてきます。
その飛び道具を処理していると一気に小型の剣でこちらに迫ってきました。
ですが、スピードだけの重みの無い剣ですので簡単に弾き飛ばせます。
さて、これで本当に終わりですよ。
しかし、私の鳩尾に1発見まわし、距離をとられます。そんな事も出来るのですね。楽しくて仕方ありません。
ネイルソン隊長が足止めをしてくれたので、最後は本気を出させて頂きますよ。
もう、一切油断をしたくありませんからね。こちらとしても、8歳の少女相手に8割の力をだして、この有様なのですから。
その後ミーナちゃんに本気のスピードで一撃を加え気絶させましたが、本気を出したのに、1時間程度の気絶で済んでしまうのはどういう事ですかね。
一体ハンスはどんな鍛え方をしているのか気になります。
ですが、これからは私が鍛えていきますよ。こんな原石中々手に入りませんからね。
こちらを睨んでるハンスを説得して、私の弟子にしましょう。
これから楽しみが増えますね。
お読み頂きありがとうございます。
クリーガ団長の戦闘狂感は出ていたでしょうか?
そして、ミーナの脳筋…戦闘狂?感も薄っすらと出ていたらいいのですが。
次回も閑話になります。
次回の緩和で第2章も完全に終了になります。




