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25 三次元(現実)に興味のない俺は念願の二次元へたどり着いた。やったぜ、今日から俺はチート系主人公だ!

前書き



『真・主人公登場(笑)』

「破廉恥です!」

 イヤフォンの音量を最大にして、スマホで深夜アニメを見ていただけだった。

 だがその音は俺の予想に反してかなり大きく、イヤフォンを突き抜けて教室中に聞こえていた。


 その瞬間、凍てつくように時が止まってしまった教室。

 クラスメイトの中の女子が、まるで汚物を見るかのように冷たい目で俺を睨み付ける。男子たちは気まずさのあまり、俺の方を見ようとすらしない。

 もともと、集団行動スキルが壊滅している俺に、友達と呼べるほどの人間はクラスにいなかった。別のクラスに同志と呼べる仲間が2人存在したが、クラス内では完全ボッチでしかない。

 そんな俺は、その日以降「キモ沢」というあだ名を頂戴した。


 別にオタクだから構わない。

 女子から蔑まれるような目で見られても……気にしない。


 どのみち俺は、三次元に興味がない。

 嫁(彼女)は、2.5次元まで。それより上の次元の女なんて、女じゃないのだ!



 それが俺、沢西健二(にしざわけんじ)の信念だ。



 そんな俺は平々凡々。クラスの人間の輪に溶け込むことなく、いつもスマホをいじってクラスの片隅で生息している。

 誰にも迷惑をかけていないし、誰からも相手にされることもない。至って平凡な、17歳男子だ。

 二次元の世界があればそれだけでよく、授業の成績が悪かろうが関係ない。

「ああ、二次元に行きてぇー」

 それが俺の持っている、唯一の夢(願望)だ。



 ところでそんな平凡な俺だが、俺の周囲でおかしなことが起こる。

 クラスメイトのヤクモ・スミルギと志藤光(しどうこう)が、突然行方不明になったという。


 志藤光はイケメン男で、クラス内はもとより学校内でも女子から人気がある。つまり、誰からも相手にされず、女子から話しかけられることすらない俺から見れば、絶滅されてしかるべき生物だ。

「世のイケメンよ、全てくたばれ!」

 いや、なんだ。三次元の女に興味などないが、イケメンと言う存在がいるだけで、世界は間違っている。奴らは人類の中から、駆逐されなければならない害虫だ!


 そしてヤクモ・ミスルギの方は、父親が東ヨーロッパの人間というハーフの帰国子女。

 おまけに才色兼備。

 ――あなたは我々と同じ人間ですか?しかも男ですか!?

 そう叫ばずにいられないスーパースペック人間だった。

 あれで中身まで本物の女だったら、ヤバイ。

 大体銀髪美女なんて、俺の知っている限り二次元の住人だろう。いや、ゲームもあるから、2.5次元までの存在だ。

 ――きっと、どこかで本物の女になるフラグがあるんだ。

 俺は心の中で固く信じている。


 ただ、奴のスーパースペックぶりは見た目だけでない。

「全国模試で全問正解とか、どこの超人ですか!?」

 頭脳においては学内はおろか、日本中の同年代の人間の頂点に君臨している怪物だ。

 そんな怪物の成績に担任は、「ヤクモくんだったら東大だって余裕だね」と、褒めた。

 そりゃそうだろう。全国模試で頂点に立つ傑物なら、当然すぎることだ。

 もっともそれに対するヤクモの返答は、その場にいた担任どころか、クラス中の人間全員がひっくり返りそうになった。


「先生、東大はただの滑り止めですよ」


 待ってください、ヤクモ大先生。

 東大って、日本で一番の難関校ですよ。

 そこがただの滑り止めって、あなたどんだけ優秀すぎるんですか?

 海外?もしかして、海外の大学に進まれるのですか!?


「……俺の友達、三浪しても東大いけなかったのに……」

 ヤクモの答えに、担任は小さな声で呟いていた。


 ドンマイ、三浪した担任の友達。

 人間関係が存在しないボッチな俺でも、思わずそんなことを思ってしまった。


 ただ、ヤクモはいい奴だ。

 少なくとも、彼女……じゃなくて彼は、俺のことを「沢西くん」と呼んでくれる。

 クラスの中に友達のいない俺は、ヤクモ以外に誰も名前を覚えてくれていない。

 よくて、「キモ沢」。

 下手をすると、「あんな奴クラスにいたっけ?」の扱いだ。

 もっとも、ヤクモとだってそんなに話したことがあるわけではないが……




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 そんな俺だったが、ある日目が覚めるとなぜか家の天井でなく、白い天井が見えた。

「ここは、どこだ?」

 起き上がり周囲を見渡すと、白い壁に囲まれた空間が続いていた。

「ようこそ、異世界からの来訪者」

 部屋の中に、俺以外にもう一人いた。


 金色の髪と青い瞳。ナース服を思わせる白の服を着た美女だった。多少胸の膨らみが小さいものの、コンパクトにまとまっているので体とのバランスはかなりいい。

 ただ胸が小さいなら、いっそロリの方がいいなと俺は思った。


 いや待てよ。

 この人は、今なんて言った?


「異世界!?」

「はい、我々はあなたを異世界より召喚しました。ここはあなたが知っている世界とは別の世界です」

 金髪美女の言葉を聞いて、俺は思わず目を見開いた。


「異世界……異世界……異世界……」

 同じ言葉を繰り返す。

「やったー、俺はついに二次元に来た!お姉さん、俺の嫁になってくれ!」

 異世界と言うことは、つまり夢にまで見た二次元の世界にこれたのだ。

 あまりの感動から、俺は金髪美人のお姉さんに抱きついて告白した。


 だってそうだろう。

 二次元に来て、一番最初に現れた美女。

 きっと俺のハーレムの1人になってくれるんだ。


 そうだよな、これから俺が何をするのかは知らないが、三次元(現実)から二次元に来た俺は、チート能力を手に入れる。

 そして、そんなどうでもいい能力だけでなく、ロリや巨乳お姉さん、ツンデレ、ドロデレな彼女たちが、次々に俺の周りに集まってきてくれるんだ。


「よっしゃ、二次元最高!」

 そんな俺の顔面は、金髪美人お姉さんのグーに握られた拳にぶたれた。

「グヘッ」

 鼻血を出しながら情けない声を出して、床にぶっ倒れてしまう俺。金髪美女のお姉さんは、俺を汚物でも見るような目で睨んでいた。

 そう言えばこの目、クラスメートの女が俺を見るときの目と同じだな。

 もっとも、あれは三次元での話。ここは二次元なのだから、そんなことはどうでもいい。


 ――へへっ、いつもは蔑んだ態度でも、俺に甘えるときはすごくかわいい声を出してくれるんだろう。


 俺は金髪お姉さんが、ツンデレキャラなのだと確信した。





 さて、二次元に召喚された俺は、これからハーレムパーティーを結成して、魔王と戦わないといけないのか?

 それとも異能の力を持った集団がこの世界にはいて、超常的な力を使ったそいつらを、俺が1人ずつ倒していき、倒すたびにご褒美として新しい女の子たちと仲良くなっていくのか?


 しかし、金髪お姉さんにぶたれた俺は、不覚にも気絶してしまった。

 でも、きっと目が覚めた時には、金髪お姉さんが膝枕をしながら俺を介抱してくれてるんだ。それとも別のお姉さんが傍にいて、俺を心配な顔をして見つめてくれている。


 ……男がいた。

 気を取り戻すと、のっぺりとした表情のない男がいた。

 俺はその男に指示されて、なぜか知能テストをすると言われた。

 学校の試験勉強みたいに、テストだと?


 個室に連れていかれ、俺はそこで日本語で書かれているが、全く意味の分からない問題を次々に出された。

 ――何もわからん。

 もともと学校の試験で赤点を連発できるの俺の頭脳だから、仕方のないことだ。ラノベの男主人公どもと違って、俺のお(つむ)は中ほどの成績すら取れない。

 というか、底辺です。

 ――勉強はしたくないけど、助けてください。


 俺のあまりの実力(無能)ぶりに、のっぺりとした顔の男はたぶん呆れていただろう。


 だが見ていろ。

 すぐにチート能力を手に入れて、必ずお前を見下してやる!


 二次元に来たのだから、それぐらい出来て当然だろう。



 とはいえ、二次元世界に来てから俺は不安になったことがある。

 先ほどのテストは、紙の用紙でなかった。

 PCやタブレット端末ですらなく、ホログラムと言っていい。情報が空間の中に表示されて、そこにある問題を解いて行けと言われたのだ。


 ――ここってファンタジーの二次元だろ?

 SFは世界観に合わないぞ!


 まあ、多少奇をてらった二次元なのかもしれない。

 その時の俺は、そんな幻想を抱いていた。


あとがき



 さあ、本編の読後感とか、いろんなものをぶち壊す時間を始めましょう(そう言うのが嫌な人は、あとがきを読まずにスルーすることを強く推奨します)。




 ノーマルボーイが登場ですよ~

 チート系の人物なんて目じゃないぜ~

 ボッチ属性を甘く見るな~


 ビバ、二次元w






 と言うことで、沢西健二くんの活躍劇をお楽しみください。


「フフフフフ~」(by作者)

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