流星団攻略 1
昨日投稿出来なくて済まない……
BAは、主とする戦闘距離によって大きく三タイプに分けられる。
加速力が高く小回りが利き、格闘を主体とする近距離型。
大型コアによる安定した大出力によって敵を殲滅する銃撃主体の遠距離型。
バランスを重視した機体設計であらゆる戦況に対応できるオールラウンダーの中距離型。
一部の例外もあるが、大半のパイロットはこの内のどれかを専門とし、生涯同じタイプの機体に乗り続ける。
バートの愛機であるジャガーMkⅡは生粋の近距離型であり、バートも格闘を得意としている。
つまりバートにとって戦闘開始時真っ先に行うべきは自身の攻撃範囲に敵を捕らえることであり、差し当たってブースターは機体を敵集団に突入させるため唸りを上げた。
敵集団の規模は中隊相当で、三十強の機体が確認できる。
視界を埋め尽くすほどの弾幕が瞬く間に形成されるが、バートは構わずそこに突っ込んだ。
理由は単純。
ビーム兵器では、バートのジャガーMkⅡに傷一つ付けることは出来ないからだ。
金属製の車に落雷があっても人にダメージが無いように、BAは表面に施された伝導層がビームのエネルギーを受け流し内部への影響を殺す。
強襲機として設計製造されたジャガーMkⅡの伝導層は、一般的な機体の三倍もの厚みを持っている。
様子見の攻撃など、いくらもらっても構わない。
バートはまばらに飛んでくる実弾だけを避けながら、どんどんと敵集団との距離を詰めていった。
攻撃をものともせず進む様子をみてバートの相棒の性能を察した相手は、近距離戦に方針を切り替えたようでこちらへ加速してくる。
バートの機体と敵集団までの距離がさらに詰まる。
接触まで残り十秒。
こちらを包囲しようと敵機の半分が進路を逸らす。
接触まで残り五秒。
格闘に備え敵機が減速を始める。
接触まで残り一秒。
停止し錐形に陣を組んだ敵集団に、むしろ加速しながらバートは飛び込もうとする。
接触まで残りコンマ一秒。
目前まで迫った敵機に衝突する寸前。
――――――――!
空間が歪んで見えるほどのエネルギー塊がビームとなってバートの眼前を流れ、奥に控えていた機体を含め五機を塵とする。
ジンの放った極大出力ビームライフルである。
一分を超えるチャージを必要とする対艦兵器をバートを囮にして準備したジンは、ここ一番のタイミングで撃ち、バートの道を開いたのだ。
ジンの援護を期待していたバートはその一撃に驚くこともなくそのまま敵集団に突っ込んだ。
両腕に装備されたアンカーを射出し四機の敵機に打ち込む。
それをブレーキ替わりにして、敵集団の裏側に抜けたところで機体を止める。
アンカーケーブルに電流を流すと、アンカーに伝導層を突破されていた二機が電子機器に異常をきたし行動を停止した。
その二機のケーブルを巻き取って盾替わりに実弾銃撃を防ぎながら、背面ヒートシンクを展開する。
八枚の薄い金属翼が機体の熱を蓄え紅く光を発し始める。
発熱対策を済ませたバートはコア出力を第二段階に上げた。
戦闘用の第二段階は、その熱量に機体が耐え切れずヒートシンク有りでも数分しか持たない。
バートは短期決着のため、常に移動を繰り返す高速戦を選択した。
既に半壊している二機からアンカーを外し残りのアンカーを巻き取る。
無傷の敵機は抵抗するがそれ以上のパワーで強引に引き寄せ、腰部レールガンを至近距離で放ちコアを破壊した。
そうして四本すべてのアンカーを回収すると、再び別の敵機に向かって射出する。
四本すべてを一機に集中させたため装甲を貫通する。
しかし今回は引き寄せることはせず、むしろ動きの邪魔にならないよう限界までケーブルを伸ばす。
そしてその敵機を放置し、別の機体に襲いかかった。
第一段階時の倍以上の速度にまで達したジャガーMkⅡの蹴りは装甲をひしゃげさせながら敵機を吹き飛ばす。
その勢いをアンカーケーブルを使ってコントロールし、更に別の機体に向かう。
三機固まった集団の中央機に突っ込み、脚を蹴るのではなく衝撃を殺すのに使うと、素早く相手の肘の装甲の隙間に手刀を滑り込ませ腕を切断する。
左右から殴りかかってくる二機の拳を、手首を掴んで軌道を変え、中央機に叩きこませた。
体勢を崩した二機の片方を掴んで右半身のブースターだけを点火し場所を入れ替える。
一直線に並んだ形になる二機をまとめてレールガンで撃ち貫き、機能を停止させた。
後ろからバートに接近していた一機をジンが打ち抜く。
アンカーケーブルに電流を流し放置していた機体を片付けると、すでに敵は半分ほどまで減っている。
第二段階の制限時間が近いバートがもう一度突撃しようとしたとき、敵の一機から通信が入る。
と同時に敵集団から一機がこちらに近づいてきた。
「流星団団長、ナッカー・シュートだ。一騎打ちを申し込みたい」
三十歳ほどだと思われる、低音の効いた渋い声が告げる。
その機体は明らかに他より大きく、何重もの装甲と補強された関節を見るに近接機のようだった。
「そっちが勝ったら後ろの奴らは見逃せって?」
「そういうことだ。あんたに喧嘩を売ったのはこっちの間違いだった。だが団長の俺には、こいつらを無事にアジトに返す義務がある」
「男気だな。いいぜ」
そう言って構える二機。
――――――――!
だがシュートの機体は、ジンの極大出力ビームライフルによって次の瞬間消滅していた。
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