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成り行き天文部員牧田君の日常 〜愉快なセンパイを添えて〜  作者: 甘木 


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一難去って胸騒ぎ!?

「こんな感じでどうかな?」


 モニターの前に座って作業をしていた幸田部長が顔を上げた。


「なんだか観測していた時よりもキレイに見えるね〜」


「うん、見やすい様に少し明るさとかを調整してあるからね」


 パソコンの画面上だから大きく映し出されているのもあるけれど、接眼レンズで見ていた時よりも、確かに細かい部分まで、よく見える。


「写真もいいが、やっぱり自然の空気の中が1番だな!!」


 遠山先輩はいつものアウトドア好きなだけみたいな気もしたけれど、みんなでレンズを覗き込みながら語り合った観測の時の空気感は、確かに体験しなければわからなかった事かもしれない。


「この写真達って私達だけのプラネタリウムみたいだね」


「愛純、来年は僕達がやるんだから、やり方の方もしっかり覚えてね」


「私はプロデュース係だからっ」


「そんな役職無いから」


 矢口君と高塚さんのやりとりも観測会以来だな。


 久しぶりに賑やかな部室、今日は展示用の写真と、みんなが準備していた解説原稿の最終確認をする為に、部員全員が集まる事になっていた。


「このチェックが終わったら、プリントアウトして、展示用のパネル作りですよね」


 さすが大山君、どうやら佐藤先輩から去年の流れを聞いて、手順の確認をしてくれていたらしい。


「うん、倉野さんが今、写真部の方に確認に行ってくれているから」


 なんで写真部? 


「料理部も時々お願いしているんだよ〜」


「体育会系の試合写真もやってるな!!」


 宮前先輩と遠山先輩の説明によると、結構あちらこちらの学校行事に引っ張りだこなんだとか。


 最初は不思議に思ったけれど、色々な部活の活動記録や、広報用の写真を撮る為に呼ばれたり、印刷用に高画質のプリンターが備えられているのだとか。


「去年は松井先輩も居たし、今年は僕と佐藤君が機材を使えたからね」


 幸田部長が言うには、過去には天文部と写真部を掛け持ちしていたOBも珍しくは無かったとの事だった。


「ただいま、みんな揃ってる?」


 ちょうどそんな話を聞いていると、結星先輩の声が聞こえた。


「こんにちはー」


 と、同時に知らない声。


 振り返って、入り口の方を見ると、結星先輩の隣にもう1人、知らない姿があった。


 制服を着ているから生徒なんだろうけれど、見覚えが無いから先輩なのかな。


「島本君、久しぶり。今年もよろしくね」


「ああ、任せてよ」


「紹介するね。こちらは写真部副部長の島本君」


「よろしく」


 幸田部長から紹介された島本先輩は軽く会釈をした。


「島本先輩、よろしくお願いします」


「そんなに固くならなくていいよ、こちらこそよろしく」


 他の部活との交流なんて今まで体験してこなかったし、先輩という事で少し緊張したけれど、良い人そうで良かったな。


「あ~あ」


 そんな事を考えている僕のそばで、小さなため息が聞こえた気がした。


「倉野さん、それで今回の写真は?」


 ため息には気付かなかったのか、島本先輩は結星先輩にそのまま話しかけているけれど、ちょっと距離感が近すぎないかな?


「こちらのPCよ」


 そう言って案内する結星先輩の後ろで、宮前先輩が微妙な顔をしているのが見えた。


 もしかして、さっきのため息は宮前先輩だったのかもしれない。


 なんだか気になるけれど、とりあえず島本先輩が画像のチェックをしている様子を見守る。


「待ってる間にみんなの飲み物買ってくるね〜。ちょっと愛純ちゃん手伝って〜」


「はーい」


 そう言って宮前先輩は高塚さんを連れて外へ出ていった。


「ふーん、去年より点数多めだね」


「今年は特別な観測会も有ったから」


「そうなんだ、僕も参加出来れば良かったな」


「機会があったらよろしくね」


 親しげに会話を続ける結星先輩と島本先輩。


 ただ画像をチェックしながら普通のやり取りをしているだけなのに、少しずつ落ち着かない気持ちが膨らんでいく僕だった。


 

次回『ひとりぼっちの百面相』は17日(金)21時頃更新予定です

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