29/29
解ける?
だいぶ失踪してしまいました……。すみません。
アイザはすぐに戻ってきた。どうやらすぐ近くにいたらしく、アイザのすぐ後ろについて部屋に入ってくる。
「ああ、こう言うタイプの魔法か……」
小さな声でヤミはつぶやく。ヤミの知っている魔法のようで安心した。それなら、解決策も知っているかもしれない。
「解けるぜ。ちょっと待っててくれ」
今まであまり気にしたことはなかったが、ヤミは主であるアイザにも敬語を使わない主義らしい。それを気にさせないのが、ヤミのすごいところだ。そういう主従関係もありと言うことだろう。
ヤミは丁寧な所作でルイに近づいていく。ルイはなぜか緊張している様子だったが、それは失敗を懸念してのものだろうか。
「じゃあ、じっとしてろよ」
子供を宥めるようにルイの頭を手をかざす。いつもは私たちのことを子供扱いしないヤミも、ルイの緊張を解くためか、優しい声を出していた。
けれど、ヤミのその顔は、どこか疲れているように見えた。




