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主人公ってなぁに。 10:12~


ハロタム山 10:12~



「はぁ、はぁ、はぁ……!」


「私たちから逃げれると思はないでください……!」


もっふもっふ! 絶対いい感触が!

ってそうじゃないそうじゃない……いやそうなんですけど、

急にあの人が逃げ出したので私たちは今追いかけている状況なんですが、

もうどこ走っているのか分かりません!

道じゃない道も走ってますし、川の橋も渡りました!

確実に言えるとすればコテージからは遠ざかっています!


「愁ちゃん! どこまであの人を追いかけます!?」


「そりゃあ創さん決まっているでしょう。

 アレに追いつくまで、私たちの体力が限界突破するまでですよ!」


そうでした。愁ちゃん一度決めた道は戻らないんでした。

ていうか今、体力が限界突破って言いました?

じゃぁもう止まらないじゃないですか。

愁ちゃんの限界を見たことがないのに限界突破だなんて。

町内マラソンで一位かつ、なんの疲れも見せなかったのに限界突破って。


「一応聞いておきますけど、来た道って憶えてます!?

 変な道も通ってますし、迷子になってませんよね!?」


とりあえず、愁ちゃんを一旦止めないとずっと走り続ける羽目になります。

もふもふとか言ってる場合、はぁー! 尻尾可愛い! 


「迷子……? 確かになっているかもしれませんね。

 ですがそれはあの方も同じです。

 あの方はなにか誘い出すため逃げている、という様子ではありません。

 ただひたすら逃げているだけのようですから。」


「元の道に戻れる保証はありますか!?」


「なくはないです。0%ではないので安心してください。」


保証ありませんね! ならもうやけです!

あのモフモフの人をひたすら追いかけてモフモフした後、

道を探しましょうかね!


「愁ちゃん! なんとしてでもあの人をモフりますよ!」


「おい創ども、何を追いかけてるんだ?」


ろ、ロゼさん……


「っは!? なぜあなたがここに!?」


「それはこっちのセリフだ! 

 君たちが道行く先でずっと待ってたんだぞ!?

 遠くで観察してたら急に森の中に入っていくからどうしたとぅおぶっ”……」


……モフモフの人のドロップキックが決まりました……

あの人、ロゼさんが話してた間に急に方向転換してこっちに向かって来たと思ったら、

まさかキックをするだなんて…… かなり吹っ飛びましたし……

キックで倒れたロゼさんの上にモフモフの人が乗っかって胸元をつかんでいます。

あっ、尻尾でロゼさんの足をぺしぺししてます。かわいいです。


「だ、大丈夫ですかロゼさん……?」


「おい、尾張をどこへやったんだ!!!」


おわり……え? 尾張さん?


「ね、ねぇ創、今何が起きてるの……?

 なんで唐突に首が痛くなって若干おなかが浮いているの……?

 しかもなんか大きな声が聞こえたんだけど……」


「あんたの所に行くって言ってから、あれっきり帰ってこないんだぞ!

 あんたが尾張に何かしたんだろ!!」


「ま、待ってください!! ロゼさん何かしたんですか!?」


「落ち着いてください創さん。ほら、そこにモフモフがあるでしょう?」


!! も、モフモフ……ロゼさんに気を取られている今なら、

後ろからモフっとできるかもしれません……!


そーっと、そーっと……


「うーん、いま私は透明の人に乗られてるっぽいね。

 しかも尾張と言う。なるほどなるほど、怒られるのも無理もないな。」


「!! やっぱり尾張に何かしたのか!!」


「ああ、彼自身が望んだことをしてあげた。

 彼が言うには世界を救いに行くって言ってたもんでね。

 私があげた武器で北の国へ行ったさ。」


「あいつが……私を置いて……?」


「いって!? 急に離すなっての! 背中ごふぁあなったじゃないか!」


「……なんで……ずっと一緒にいたじゃないか……」



……今触れたらだめですよね、さすがに。

耳も尻尾もしょげて若干かわいいと思った私! しばらく黙ってください!


どうやらこの人は、尾張さんの知り合いみたいですね。

しかもかなり仲がよさそうみたいですね、ずっと一緒ってことは。

でも尾張さんはこの人を置いて北の国へ行ってしまった……


……


……なんて接したらいいんでしょう……

なぐさめるっていっても『大丈夫?』ぐらいしか言えません……

ずっと一緒にいた人が行ってしまった心の傷はかなり深いと言います……

私が接したところでどうすることもできないでしょう……


「お取込み中のところすいません。

 あなたは一体どちら様なのでしょう。」


愁ちゃん……!?


「……君は私が見えるんだったね。」


「ええ、ある人からは透明に見えるようですが私は普通に見えます。

 なんてったって私は特別な存在ですからね。」


……特別な存在って、なんなんですかね……


「特別な存在、か。君は自分を主人公だと思っているのか?」


「ええ、思っています。私が主人公です。」


「こいつ、きっぱりと言いやがった……!」


いつの間に横にロゼさんが……


「黙っててくださいロゼ。誰が何と言おうが私が主人公です。

 創さんも主人公ですし、尺ですがロゼも主人公です。」


「おっ、うれしいぞ神堕 愁。」


「愁ちゃん、それだと三つ巴になっちゃいますけど……?」


「人生という物語の主人公ですよ、創さん。

 私だけが人生を謳歌しているというわけではないんです。

 人の数だけ物語があるんですよ。」


さっきまで主人公に成り上がるって言ってたのに……?

 

「……君も、そう思っているのか。」


「周りが言う主人公は活躍した人、何かを超越した能力を持っている人です。

 ひたすら活躍して、ひたすら頑張って、ひたすら努力して、

 だれもが私を主人公と言える主人公になれるようになる。

 というのが私の人生、物語ですから。」


「う、ううん。みんなして主人公にこだわるんだなぁぁ。」


「なんで声が震えてるんですかロゼさん……」



「で、あなたは誰なんです?」


あっそうでしたね。そういえばそういう話で切り出してましたからね。


「……ああ、私。

 私は『空菜 喪依(からな もい)』。透明な狐娘なのだ!」


「からなさんですか。では行きましょう。」


「へ?」


「……狐。」


「え、ちょ、どこにいくんですか愁ちゃん!?」


「え? 来ないんですか? なら私一人で無双しちゃいますよ?」


……迷子なのに?


「じゃ、私も君についていこうかな。なんか面白そうだし!」


アクロバティックにまた立ち上がりましたね……

とりあえずさっきより元気になってよかったです。

さすが愁ちゃんです。正直何を言っているのか分かりませんでしたけど。


「なぁ創……さっき狐娘っていったよなぁ……

 つまり耳も生えてて尻尾もモフモフってことだよなぁ……

 畜生なんで見えねぇんだ……」


モフモフ……モフモフ!

この状況なら別にモフモフしても問題ないでしょう!


「お、おい創、どうした急にかがんで。」


モフモフモフモフモフモフモフモフ……


「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!!!」


モフモフモフモフモフモフモフモフ……


「お、おいまさか。狐娘のモフモフに……」


モフモフモフモフモフモフモフモフ……


「ふっ、相変わらずですね。創さん。」


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