新しい世界で振り回される彼女達
新しい世界じゃぁ何が起こっても仕方がないねぇ。
予測不可能。それが普通。
コンビニ武器屋控室にて。
その控室はコンビニの控え室そのものであった。
新築かのように周りは清潔でキレイであったが、
壁にはびっしりとメモが張られており、
そこにはコンビニの商品の情報が書かれていたりした。
創はその部屋の椅子に座っており、
目の前の机の上に置かれている、
綺麗な青色の液体が入っているガラスボトルを凝視していた。
(これ飲んでて待ってて、とは言われたものの……)
「ぶ、ブルー……ハワイ?……」
そんな事をボソッと呟いた直後、
控え室のドアから店主の山田が笑顔で入ってきた。
「いや~すいませんね。」
創は無言で両肘を机につけ手を組み頭を手に付ける。
「? どうしたんです?」
店主は笑顔で隣に座る。
「やっぱりおかしいですよ……」
彼女は悲しそうに言う。
「おかしい、とは?」
「なんで私は今、武器屋に連れ込まれているのかはさておき、
転移の方多くないですか……?
普通転移してくるのってこんなにいないんじゃ……」
創がざっくりと見たいつぞやのマニュアルを思い返すと、
異世界転移、異世界転生を世界を連れ込むことができるのは月に20人まで。
たしかそう書かれていたはず。意図は分からないが。
しょぼくれていたサラリーマンと言い、
この武器屋の客と言い、外にいた大勢の人たち。
そしてさっき店を出ていたほとんどの人。
恐らく全員、転移者のはず。
転生者に至ってはみんな赤ちゃんの状態だから、
出生率が異常に上がっていたら転生者もたくさん来ているはず。
そんな事はいい。なんでこんなに転移者がいるのだろう。
そう思い店主にあることを聞く。
「あの、今日見ただけで何人ぐらい転移してきた人を何人見ましたか……?」
そう言うと笑顔で、
「そうですねぇ。すくなくとも30人ぐらい来店しましたねぇ……」
(まぁオーバーしてますよね。ここは想定内です。)
「ちなみに、さっきのあのスプレーはいったい何なんですか?」
店主は懐から先ほど創に振りかけたスプレーを取り出す。
「これはですね、自分の姿を周りの目から違和感のないように変えられて、
かけられた人はかけられた人同士で元の姿が見えるらしいです。
ある人に言われてここにくるてんせ、いえ転移者に対して
ひたすらスプレーをかけて行けと言われてみなさんにかけてます。」
そうして店主は笑う。
「……聞いてもない情報も言ってくれてありがとうございます。」
創はため息をつく。
「ちなみにそのある人ってロゼさんじゃないですよね。」
すると店主はなにかを思い出したように立ち上がる。
「急にどうしたんですか……?
ロゼさんに何か脅迫でもされてたんですか?」
彼女は店主の方を不安そうに向く。
彼の顔は何故か真っ青であった。
店主は壁にびっしりと貼られていたメモの中を漁り、
ホッチキスで止められた二枚の紙を取り出す。
「ロゼさん!?そう言いましたね!?」
「は、はい……何か知ってそうですね……
ていうかなんですかそれ……」
店主は声を震わせていた。
「つまりあなたは創さんってことですか!?」
「はい……そうですが……」
彼女は冷淡であった。
「で、ではこれを!」
そう言って店主は手に持っていた二枚の紙を創に渡し、
すぐにそっぽを向く。
その様子を見た創は首を傾げる。
そして彼女は渡された紙の表紙を見る。
「なんですかこれ……」
『ロゼさん と言う少女がいたら、
創と言う人物であるかを確認すること。
その人物であればこの二枚の紙を渡すように。
創以外の人物は見てはいけない。
見ようとするものは死ぬ。見るなよ。』
それは荒い鉛筆書きで書かれていた。
(し、死ぬ……?どういうことですか……?)
彼女は恐る恐る表紙の裏をめくり、内容を見る。
『まずこれを見ているのは創だと言う。
ていうかこれを創以外の者が見ると死ぬのだが。
率直に言おう。この世界は君に委ねられた。』
字が読めない。
漢字の字が読めない。『委』っていう字が。
創はそのせいでしょっぱなポカーンとはてなマークが浮かんでしまう。
内容に書かれていた文字を見るにパソコンのワードで打ったようなものであった。
「あ、あのすいません山田さん……この字なんて読みます……?」
彼女は店主の方向を向きそう言うと、
店主はビクつき、目をふさぎながらゆっくりと創の方を向く。
「あ、あの……私がそれを見ると……
し、死んでしまいますので……」
怯えた声でそう喋る。
「死ぬって……これのやつは冗談だとは思いますが……」
焦っていた。彼はとても焦っていた。
「すいません私仕事があるんで失礼します!」
そう言ってその場から離れ、控室のドアから出ていってしまった。
「あぁ……字ぃ……」
創はひと息つき、再び内容を見る。
『お察しの通りこの世界は異世界転生者、転移者だらけだ。
しかしそれはロゼが招き入れたものではない。
それだけは言わせてほしい。』
(転生者も……だらけって言うほどいるんですね……
ていうかロゼさんが招き入れたわけじゃない……?
これロゼさんが用意したものじゃないんですか……?)
創はその文章を見て疑問を抱く。
『まぁそうだろう。君が創造するはずだった世界が、
ロゼと言う人物に勝手に世界を造られたのだから、
彼女のせいで転移者だらけ、という考えは間違っていない。
だがしかしこの状況を起こしたのはロゼではない。
私はこの状況を察知し、
ここに君が来ることを予測しここに記録しているのだから。』
(胡散臭いです。何ですかこれ。
勝手に、って自覚してるんですね……)
創は内容をみながらめんどくさく思えてきた。
『君がどう思おうが勝手だが、
とりあえず簡単に言えばこの世界は危機に瀕している。
この国のどこかに君の冒険を役立てるものを隠しておいた。
もう一枚の紙に宝の地図が載っている。
それを元に君はそれを探し、この世界を冒険するんだ。
とりあえず今はそれでいい。
健闘を祈る。 』
「宝の地図ですか……」
もう一枚の紙には、この国の地図が書かれていた。
が、目印などはなく、ただの地図であった。
その裏は白紙で、紙の内容としては以上であった。
「……どこに隠したっていうんですか。」
創はため息をつき、資料を床に置く。
「ロゼさん……訳の分からないもの作らないでくださいよ……」
そして近くにあったボトルを開け、それを飲みほす。
(あ……勢いで飲んじゃった……)
その飲み物はスポーツ飲料のような味がした。
「あぁ……なんか癒されるぅ……」
創は爽やかな感覚に包まれた。
それと同時に創の中で何かが増えたような気がした。
恐らくその青い飲み物の影響だろう。
しばらく爽やかな感覚が続く。
その感覚が気持ちよく、彼女は机で寝てしまう。
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1時間前。
空を飛び城の方向に向かうロゼ。
もう少しでアトラス山を越える辺り。
(あーあ、なんで瞬間移動しないんだろう。)
飛んでいる最中、そんなことをふと思う。
(テストでやっている内にぼけちゃったんだろうかなぁ……
まぁいいや。ここからでも瞬間移動でぱぱーっと……)
GWEの画面を展開しようとしたその時。
空からドラム缶が降ってきた。
そして彼女の脳天に直撃。クリーンヒット。
ロゼはその衝撃でよろけ、ふらふらしながら地面にゆっくり落ちていく。
そして墜落。ゆっくり落ちたはずなのに大きな音を立てる。
また、墜落時少しばかり大きなクレーターを作ってしまった。
「ゲホッ、ゲホッ……な、なんでドラム缶……せめてタライにしてくれ……」
よろけながら立ち上がり、GWEの画面を展開。自分の居場所を確認。
落下地点は城から東、スチームパンクの世界の端であった。
クレーターの周りは森であり、クレーターには倒木が転がる。
彼女はため息をつき、空に向けて怒りながらこう叫ぶ。
「おい誰だか知らんが地味な攻撃はやめろぉ”!
地味すぎて全然気づかなかったわぁ”!」
「ああすまないなんかむかついたもんで。」
ロゼの声がこだまして帰ってきた。
「はぁ!?妹かぁ?ドラム缶落しやがったのは!?」
彼女はその声を聞きすぐにスディの声であると推測する。
「おい妹!見ているな!?カメラ無事なのか!?」
「あー私が仕掛けたカメラ以外は全部停止してるよー
君らがカイングを作る前に置いた私専用のカメラだけ稼働してるよー」
可愛い声が聞こえてきた。
ロゼはそれを聞き目をピクピクさせる。
彼女は冷静になり、ある事を訊く。
「ちなみに聞こう。バレてるか?いろいろと。」
すると空からドラム缶が降ってきた。
天を見ていたためロゼは落ちてくる場所を予測し
その場から数歩退く。
ドラム缶は地面に落下。
「あの妹さーん?質問をしてるんですがー
ドラム缶のおかわりはいらなぅぐふぉぁあ”!」
最初落ちてきたドラム缶がロゼの背中に向かって飛んできた。
これも直撃。クリーンヒット。
そのまま当たった勢いで吹っ飛んでいく。
「お、おい……キレるぞ妹……
ドメスティックか……ドメスティックバイオレンスなのかぁ!?」
ふらふらしながら立ち上がるロゼ。
その後ろのもう一つのドラム缶がゴロゴロ転がってくる。
「キレるぞ!?私が何をしたってんだ!?」
ロゼは急いで翼を開きその場から離れようとする。
その時、光の速さでドラム缶が動きロゼの後頭部に直撃。
「ア”ァ”!あ”…あぁぁぁ……」
気絶。ノックアウト。
彼女はクレーターの盛り上がっている部分で倒れてしまう。
そして何故かその周りでドラム缶が集まり、
縦方向にゆっくりとぐるぐる回り始めた。
「あははは。悪いねロゼ。やっぱり腹が立ってたもんで。」
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城にいるウェド。彼は会議室で寝ていた。
会議室の扉からカイングが入ってきた。
扉の前に落ちていたメモを持って。
「……うぇど……おきて……」
「っは!?か、カイングちゃん!?」
カイングの絶対服従によりウェドは強制的に目が覚めた。
彼は急に起こされビックリしたが、
カイングを見て安心し、ほっとする。
「はぁ……やっぱりいつものカイングちゃんの方がいいよぉ……
安心するし安定感がある……」
ウェドはカイングに癒されていた。
「うぇど……これ……」
カイングは手に持っていたメモを彼に渡す。
「ん?なんだいこれ。」
彼はそのメモを見る。
字は鉛筆で書かれており、きれいな字をしていた。
『ウェドへ
ロゼの伝言でもう一つ
冒険しないとぶっ殺すぞ★
君よく殺害予告されるね』
ウェドは顔が青ざめる。
「なんで僕は創やロゼに殺害予告されるんだぁ……」
彼は机に伏せ、恐怖の声を上げ泣き始める。
「……どんまい」
カイングはやさしい表情をして彼の頭をなでる。
「なんで……なんでこんなことに……」




