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メーシア大陸と『火の百年間』

 世界五大陸のひとつ、メーシア大陸。

 創世の時代、最高神ダレイオクによって創られた大陸――ヤノミ、サン=キッテ、レンストラ、シージョと並ぶ大陸である。面積こそ最も小さいものの、温暖な気候に恵まれ、古くから数多くの国家や民族が共存してきた、平和な時代を長く過ごしてきた土地であった。


   ダレイオク創世神話『第五章 メーシア大陸』より抜粋



 大陸暦五一八年―

 メーシアの平和に影が落ち始めた。大陸北西部において幾多の小国がより多くの富を求めて小競り合いをしていた最中、山岳地帯と入り江に挟まれた弱小国に過ぎなかったモノゲア王国の国王が、突如として『神の奇跡を宿した』とされる杖を掲げ挙兵、隣国タスパを一月足らずで制圧すると、破竹の勢いで周辺国家を次々と手中に収めていったのだ。挙兵から十年足らずでモノゲア王国は大陸北西部を完全に我が物とし、国王ハインリッヒ・イグリンカは自ら初代皇帝を名乗り、モノゲアは帝国になった。

 モノゲアが地方の小王国から大帝国にまでのし上がる原動力となった『神の奇跡を宿した杖』は国宝となり、皇帝はそれを守るために一つの騎士団を編成した。後々に大陸全土を巻き込む騒乱の元凶、テンプラー騎士団の誕生である。


 大陸暦五三七年―

 帝国の興りから十年が経った頃、広大な領土、精強な軍隊、忠実な騎士団、そして『神の奇跡を宿した杖』。モノゲア帝国はそれらをもって東征を開始、大陸北東部の雄と称されるカッサーナ皇国との全面戦争に突入した。帝国軍は幾多の戦場で培った戦術や兵器を駆使して優位に立とうとしたが、数で劣るものの各々の強さは大陸一とも云われる皇国軍の兵を前に、一進一退の鍔迫り合いを余儀なくされていた。初代皇帝が斃れた後も侵略は続くがこう着状態に陥り、四代目皇帝の時代になってようやく和平が結ばれる運びとなった。


 大陸暦五九二年―

 モノゲア帝国に和平による撤退を促したのは、カッサーナ軍が強かっただけではない。大陸南東部の大国、ハーム王国が西方の群島自治区を抱き込み、大規模船団を編成して帝国本土に迫っていたからだった。和平締結後、ハーム王国はカッサーナ皇国に対して復興支援を行い、両国間の関係は良好になったという。

 それから十余年、大陸は戦火と無縁の時を過ごしていた。他の大陸から『火の百年間』とまで言われた時代は終わりを告げる……はずだった。


 大陸暦六〇五年―

 戦後保障や恩賞の格差に対する不満から政治不信や暴動が発生、果ては内紛によって南北に分かれつつあるカッサーナ皇国。四代目皇帝の急逝に伴い即位した五代目皇帝を巡り、議会とテンプラー騎士団が暗闘を繰り広げるようになったモノゲア帝国。政治的に中立の立場を守れなかった事で不穏な空気感に包まれた群島自治区。そして、最も争いと遠かったはずのハーム王国においても、争いの火種がくすぶり、燃え上がるその時を静かに待ち続けていた……


   メーシア大陸史『火の百年間』『神の奇跡を宿した杖』より抜粋

【改稿点】

大陸暦を制定しました。

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