悔恨と決意
横になるなり寝入ってしまったルゥナミアを見て、やっぱり疲れが溜まっているんだな、とシャンは感じた。
旅慣れているとはいえ、女連れ、しかも病人ということで、夜はできるだけ宿に泊まるようにしてきた。
もちろん高い宿には泊まれないけれど、寝台で寝られるだけで翌日の体調がだいぶん変わってくる。
シャンは能力を使ってルゥナミアの体を少しだけ浮かせると、体の下に敷かれていた布団を引き抜き、寝台に寝かせた上からかけてやった。
休めるものなら、少しでも長く休んだほうがいいのだ。
チロロが、チィチィと鳴きながらルゥナミアが寝ている布団の中にもぐりこむ。
その様子を微笑ましく眺めながらも、あとどのくらいこうしていられるのだろう、とシャルは考えてしまうのだった。
最近では、ルゥナミアが寝ているあいだでも、傍を離れるのが怖くなってきていた。
以前なら、この時間を使って携帯食や薬などを調達しに出かけることもあったのだ。
一緒に出かければそれだけルゥナミアを歩かせることになり、負担をかけるとわかっているのだけれど、ひとりにして、もしそのあいだに発作でも起こしたらと思うと、不安でどうしようもなくなる。
(我ながらこの心配性は重症だよな)
シャルはルゥナミアの寝顔を見ながら自嘲する。
一時は、自分の存在する意味を見失い、もうどうなってもいいと思っていた。
どうすればいいのかわからず、どうする気も起きなかった。
自分が持っている不思議な能力は万能ではなく、それどころかいざというときになんの役にも立たなかった。
(なにかできるはずだと、思っていたのに――)
苦いものがこみ上げ、シャンは眉をしかめる。
悔恨の念は深い。
だからこそ、なのだ。
(今度こそ、必ずやり遂げてみせる。なんとしてでも、ルゥナミアをファフティリヤの丘まで連れて行く)
その想いだけが、今のシャンをシャンであらしめているものだった。




