第六話 偽物(俺達)が幸福達(真)につけられる 4
†
夕焼けに染まる公園は、何となくノスタルジックな気分を連れてくる。
公園、といっても、端から端が見える小さいものではなく、散歩したりするのにいいような、半分自然公園みたいなところだ。
だから別に、小さい頃ここで遊んでいたとか言う、直接的な懐かしさというのはないはずなのだが。なんだろうな、この感じ。
人通りの少ない公園を、少し先を歩く明日葉を、追いかけるようにゆっくりと歩く。
色の違うタイルを、とん、とんっ、と跳んで、少し俺から離れた明日葉が、くるり、と振り返る。
「恭吾君」
「なんだ?」
少し離れた位置で立ち止まり、聞き返した。夕陽に背後を照らされた明日葉の姿はまぶしく、俺はすこし目を細くして彼女を見つめた。
「今日一日、恭吾君と過ごして思ったのですが」
そういう明日葉は、いつもよりも少しだけ遠い。それは単なる距離の問題なのかも知れないが。
「私、茜音ちゃんが好きです」
「お、おう」
改めてそう言われて、 俺は頷いた。明日葉は最初から、常にそう繰り返してきた。
「頭をなでて、抱きしめて、いちゃいちゃしたいです」
それはなんだ? 宣戦布告か? と俺は怪訝なまなざしを彼女にそそぐ。
「でも」
風が吹いて、彼女の髪を揺らした。逆光のせいで黒い部分と茜色の部分とが、妙にキラキラとして見える。
「恭吾君と居るのも、嫌いじゃないです。むしろ」
好きですよ、と、風ではためく髪を片手で押さえながら、明日葉は微笑んだ。
「…………」
無言で見つめる俺に、彼女はもう一度巧笑した。
「猫なら二匹と暮らしても、自然ですよね?」
彼女もまっすぐに、俺を見つめた。
「フェアに、宣言しておきます」
俺はただ、そんな彼女から目を離せないでいた。ひたすらまっすぐに向き合う彼女は、いつものテンションをそいだ彼女は、本当に綺麗だったのだ。
「将も馬も、まとめて射っちゃいます」
彼女はゆっくりと俺に近づくと、拳銃を模した手の、指先を俺の胸にぴたり、とあてた。心臓の音が、その指を通して伝わってしまいそうだ。
「だから、覚悟していてくださいね恭吾君?」
ばーん。
と、撃ち抜くまねをして、彼女は笑った。




