第五話 シスコン(俺)が彼女(偽)に不意を突かれる 2
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試合を終えた明日菜の元へ行く。
「明日葉はサッカー好きなのか?」
「え? いえ、特には」
「ふうん、まあいいや、ところで桜井って――」
「ねえ、恭吾君? 『まあいいや』は無いんじゃないかしら?」
明日葉は呆れたような視線を俺に向ける。確かにふっといてそれは少し失礼だったかも知れない。
「私が何故、フットサルを選んだのか、その理由を聞いてくれても良いと思わない?」
「ああ。明日葉はどうしてフットサルを選んだんだ?」
「よく聞いてくれたわね」
そう言って明日葉は、何故か遠くを見た。少し視線をあげ気味で、まるで空を視ているようだが、その先には校舎しかないぞ。
「校舎でいいのよ」
と明日葉が指さす、そこは――
茜音の教室!?
「私の活躍をみせるにはこの競技。どう? この完璧な作戦は?」
「なん、だと……」
こいつ……できる!
俺はその窓を凝視する。そこには茜音が……って。
「黒板向いてるじゃねえか……」
「まあ、授業中だしね?」
がっかりだ。感心しかけた俺が間違っていた。
いや、待てよ……?
確かに今は黒板をみている。しかし、どうだろう。ずっと黒板を見ているわけでは無いはずだ。
ということは。
「明日葉!」
「きゃっ! なに」
俺は明日葉の肩をがっちりと押さえる。
「よくやった。君は天才だ」
「そ、そう、ありがとう。……あの、肩、離してくれる?」
「あ、ああ、すまん」
俺が手を離すと、捕まれていた肩をなでながら、明日葉がちらちらと俺の方を見る。そんなに強かっただろうか?
「おーい、矢代ー」
と、向こうから鴨下が俺をよぶ。
「そろそろ試合だぞー」
「わかった!」
俺は返事をしてから、明日葉に向き直る。
「グッジョブだ、明日葉」
そして俺は、鴨下の方へ移動しがてら、茜音にメールを打つ。
『お兄ちゃん、これから校庭で試合します』
すぐに返信が来る。
『そう。頑張ってね』
うん、お兄ちゃん頑張っちゃうよ!




