第三話 世界一可愛い妹(天使)が休日に出かける 3
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「大丈夫なのかなぁ……」
「恭くん? 別に茜音ちゃんは兄妹だしね。基本的には平気なんじゃないかな?」
試着室へ飛び込んで言った恭吾を見送った二人は、店の中でそんな風に話していた。こうして二人で並んでいると、玲二と晶子は、ただ服を選びに来ているだけに見える。周りの客も、だから二人には特に注意を払っている様子はない。
玲二は試着室のほうへ目を遣りながら、考える。
(しかし、御堂の『茜音が好き』はどういうことなのだろうか)
店員が、一度近寄ってから離れた辺り、恭吾は大丈夫そうだ。そう結論づけた玲二は、彼ら三人の関係について考える。
(ただ、あれだけ男がよってきてすべて断ってきている御堂だからな。何考えてるのか僕には想像つかないや)
親友の茶番はともかく。
玲二は、隣の晶子に視線を移した。
「ん?」
晶子はすぐ、視線に気づいて首をかしげた。
(お互い様かな、それは)
「何でも無いよ。あとナチュラルに腕くむのはやめようね」
引きはがしながら試着室の方へ視線を戻す。随分と遅いようだが……。
「……ん?」
気づくと明日葉だけ外にいた。二人はまだ中、か? と玲二が思っていると、
「ねえねえ玲二、恭くん達、まだ出てこないし、乃羽も何か着てみよっか?」
「何故だ……」
玲二は頭を抱える。
「だいたい、晶子はああいう、『幼く見えるかも知れない』服、あまり好きじゃないだろ?」
「うん。基本的にはね、でも、玲二はロリコンだって恭くん言ってたし、どうなんだろうね? 別にいいよ?」
「晶子、今から言うことをよく聞けよ?」
「うん」
「二次元ロリと張り合えるなどと思い上がるな、小娘」
「……うん」
「わかればいい」
引いているように見える晶子に、玲二はドヤ顔をつくりながら頷いた。
「……臆病者……」
「ん? 晶子、何かいったか?」
「別に? 何でも無いんだよ」
聞き取れずに聞き返した玲二に、晶子は何事もなかったかのように笑いかけた。
などと言い合っている内に、試着室から茜音が出てくるのが見えた。そしてその後ろに、――女の子?
「あれ?」
恭吾じゃない? と玲二は首をかしげた。
そこに居たのは、肩にとどくかどうか、という髪をした、細身の、女の子、に見えた。
服は少女趣味で、少し派手だ。肌は白く、腕は細い。茜音に手を引かれて、恥ずかしそうに少しうつむいているのが、なんだか似合う。きっと普段はあんな服ではなく、もっと大人しいものを着ているのだろう。短いスカートにも慣れていないようで、しきりに裾を気にしていた。その様子に、かえって視線を惹かれる。
そうだ、服は少し小さいのか、本来なら身体のラインがだいぶ出にくく、スカートも長めだろうに、あの子はそんなタイプの服をきつめに着ているから、余計に視線を集めるんだ。
そして本来の着方に反して細く縛ってあるウエストは、折れそうなほどに細い。
胸はあまり大きくないみたいだが……。
「玲二?」
「ん? どうしうぎゃぅぁくるぅ!」
折れる折れる折れる! と悲鳴を上げる。組まれていた腕が、後ろ側にねじり上げられて、傾けられた首が脇腹の辺りに抱え込まれる。
「曲がらない曲がらないそっちはむりだからぁぁぁぁ!」
「何を、見ているんだろうね?」
「何も見てませんていうか見えてません首はやばいって腕で勘弁してくださいぃぃぃぃ!」
こうして二人でいちゃついていると、玲二と晶子は、ただ服を選びに来ているだけに……は見えないようだった。周りの客も、何事かと二人の方を見て。
「リア充爆発しろ」
「いちゃつくなら家でやれ」
「家でも有罪」
「バカップル反対」
と暖かな視線を送っていた。
「これのどこがいちゃついてひぎぃぃぃ! 誰か助け、ぐぎゅぅぅぅ!」
三人はとっくにどこかに行っていたが、玲二に気づける余裕はなかった。
家州玲二、脱落。GAME OVER




