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ソシャゲ世界のエンディング後から始まる悪役貴族転生記... って、ここから入れる保険があるんですか?  作者: ネゴトハ・ネテェイエ
第一章 保険って入れますか?

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第二話 ここから出して(切実)

ここから入れる保険はありますか?

ブクマをくださると嬉しいです。

まず、今の状況を確認しよう。


今の俺が宿っている身体の名前は『レベリス・アンタレス・マールム』。

いや、貴族としてのマールム家はレベリスが捕まった際に消されているから『レベリス・アンタレス』か?


(……落ち着け、落ち着け…冷静になろう)


俺は国家反逆罪により、国から幽閉されている。


そもそも、レベリスは貴族なのに人間を裏切って魔王軍の傘下に降っているのだから。

そうだ、俺はそんな悪役貴族に転生してしまっている。


生きているだけ…マシだと思うけど…思うけどさァアアア!!!?


「…俺の目標は自由になって、この世界を見て回ること」


ふと、声に出してみる。

誰もいない部屋に俺の声だけが寂しく溶けていった。

声にしたのかは、自分に言い聞かせられるような気がしたからなのだろう。



俺はベッドに座ると、背を預けてゆっくりと倒れ込む。

レベリスの特徴でもある白髪が光を反射してベッドに同化するように淡く輝いていた。

俺は拳をグッと握ると、そのまま手で顔を隠す。



—————————分かっている。



分かっているんだ。


俺のこの身体の元の持ち主はレベリスだ。

なら、この身体にいる限り俺も彼の罪を背負わないといけない。


こんな過酷な現実が、ズンズンと胸にのしかかってくる。

あぁ、分かっているさ。


でも———。


こんな終わり方はあんまりだよ……っ。 


転生して、このまま一人寂しく死ねってか?

自分が何者かも、記憶も見つけることもできずに、世界を見れずに朽ち果てろと?


自由になりたい。

いろんな世界をみて回りたい。


原作知識はある。

だが、原作知識があっても拭えないほどの理不尽が今の俺に存在しているのだ。


涙は、出てこない。

だが代わりに、嗚咽が俺の口からこぼれ落ちる。



—————コンコン。



すると突然、頑丈に閉じられているドアからノックの音が俺の部屋に響き渡った。


誰もいないと思っていたが、間違いだったらしい。

まぁ、レベリスはこの部屋から出れないわけだし…食事とか見張りとかもいるわな…冷静に考えても。


俺はベッドから降りると、何もなかったかのように意味もなく部屋を歩き回る。

泣いても状況は変わるはずもない、ならば自分のことをやるだけしかないのだ。


死んだら死んだで俺はそこまでであって、恨む理由にもならない。

魔術とかはやはり憧れるのだから……!!!


「やっぱり、…貴族は幽閉されても部屋は広いんだな」


そんなことに気づきながらも、目に入った姿鏡に映った俺の姿は、紛れもなく、あの『レベリス』だった。


白髪で、両目とも目が冴えるような緑色。キリッとした整った顔立ちに、はっきりとしている二重瞼、形の良い眉も彼の美しい顔を際立たせている。

本当に、あの性格さえなければなぁ……残念。


少しだけ、俺の胸の中を暴れ回っていた感情も過ぎ去っていく。


…にしても、ノックした割に入るのが遅いな。

すると、外から鍵を外すような音が聞こえ、ゆっくりとドアが開かれる。


「失礼するよ」


そのドアからゆっくりとした歩調で俺の前に現れたのは……軽装騎士の装備を身につけ、手にパンを持っている金髪に紅い目をした美青年だった。


光が差し込んで金髪が揺れており、肩までの軽装に、剣帯が揺れている。


いや、美少女じゃないんかい!?

白馬の王子様…という言葉をそのまま実体化したかのようなやつだよ!!?


そんな突っ込みが口から溢れる瞬間に直後、俺の中に『レベリス』の記憶が流れ込んできた。


「————ぐっ」


針を頭に突き刺したかのような激しい痛み。

その苦痛の声は、目の前の青年に届くことはなかった。


ゆっくりと治っていく頭痛の中に一つの記憶が蘇る。


「…どうしたんだい?大丈夫?」

「あ、あぁ…大丈夫だ…ありがとう『アーサー』」


そう、目の前の青年は…パーフェクトボーイこと『アーサー・リゲル・エアレンデル』。


レベリスと同年代でありながらも、『聖騎士』という神聖な職業についており、その実力も上から数えても片手に入るくらいには指折りの実力…らしい。


そして、魔王軍元『四天王』であるレベリスの監視役でもあり、お世話係だ。


…安心しろ、男だ。


そして、バチクソモテる。


この身体がレベリスだった時に鉄格子の外から見れば、剣の鍛錬をしていた上裸のアーサーに女の子が黄色い声をあげていた…という記憶もある。


なるほど、非リアの敵だな。

末代まで呪ってやる。


そして、今俺の目の前に立っているアーサーは俺の言葉を信じれないという目で見ており体も強張っていた。


…俺が何かしたのか?


「なんだ?アーサー…俺、ゲフンゲフン……ボクの顔に何か?」


危ねぇ…レベリスの一人称は『ボク』だ。

急に『俺』とかに変わったら…中身が変わった?とか勘繰られる可能性もある。


「い、いや、僕はただ…レベリス様に昼食を…」


俺の言葉にやっと動き出したアーサーは、俺の懐疑の目を向けながら、部屋の中にゆっくりと入ってくる。


…しっかりとドアの鍵を閉めている限り、警戒はしているらしいな。


「レベリス様、…お昼ご飯はパンとスープだよ」

「あぁ…ありが、感謝しているぞ。アーサー」


またまた身体が震えているアーサー。


ちなみにだが、『INFINITUs』にアーサーというキャラは存在しない。


ふふ、残念だな…俺の中に思い出されているのは『アーサー』という人物像であり、アーサーとレベリスの会話ではないから手探りだ。


でもまぁ、流石のレベリスもアーサーとこんな感じで話しているのだろう。


この屋敷に住んでいる唯一の人間なわけだし。

そうじゃなかったら俺はレベリスを殴る。

助走をつけてぶん殴る。


「あ〜…その…レベリス様…その口調は…どうしたんだい?」

「…いつもの感じ…じゃないのか?」

「いや、大丈夫だよ。…いつもより優しい感じだから僕は嬉しいよ」


にっこりと太陽のようなスマイルを浮かべるアーサー。


うっ…眩しいッ!!!


これだから非リアの敵は困るよ、男すらも落とそうとしてくるからさぁ。

女性がこの笑みを受けたら、即ぶっ倒れる未来も見える。


…実際、そうだったのかも。


それでも、アーサーとは仲良くしていかないといけない。

例え、非リアの敵としても!!俺は、こいつに生殺与奪の権を握られているんだ!!


「じゃあ、席に着け」

「え?」

「お前もボクと一緒に食卓を囲め」

「え?僕もかい?…あぁっと…じゃあ、一緒に食べてもいい?」


アーサーは俺の言葉に顎に手を当てて迷うような素振りを見せたが、快活な笑顔を浮かべて俺の側に近寄ってくる。


この部屋は、無駄に広い。

大きなテーブルにご飯を置けば、あっという間に食事処に大変身ってな。


誰が何を言うこともなく、俺とアーサーは椅子に座りながら、パンを口に入れる。


「…最近、レベリス様が部屋をノックしても入ってくるなの一点張りだったから…顔を見れて安心したよ」

「心配をかけた。おr…ボクはこの通り元気ピンピンだ」


まぁ、大丈夫ではなかったけどな。

それにしてもレベリスが『入るな』って言っていたのか?…それは俺がレベリスの体に宿ったのと何か関係が?


「悩み事とかはないかい?」

「…ボクを外に出すとかできないのだろうか?」

今は(・・)できるわけないだろう?」


分かってたよコンチクショウッ!!!!

相変わらずの殺人スマイルに台パンしそうになる俺を抑えながら、スープを飲み込む。


アーサーはそんな俺を見ながら、ゆっくりと口を開いた。


「まぁこれは僕の独り言なんだけど…え〜と、…僕は、君の監視役であり、最高責任者でもある」

「……」

「そして、レベリス様は国から『幽閉』されていると思っているけど、少し違うんだ」

「…というと?」

「王様直々に、『アーサーの判断でレベリスの行動範囲を広げていい』って言われているからな〜…ってこと」

「その情報は出してもいいやつ?」

「ダメとは言われていないからね〜」


俺に親指を立てながらウインクを送ってくるアーサーの顔が今は頼もしく見えてくる。


そして、彼の顔が突然真顔に戻ると、指で部屋の外を示す。


「…少し部屋の外に出てみるかい?」

「いいのかっ!?」


…もしかして!!?そのもしかしてがあるのか!?

おいアーサー!!お前いい男じゃねぇか!!


「じゃあ、この屋敷の全ての部屋の掃除と鍛錬…一緒にやろうか!」


前言撤回、土畜生だわ、こいつ。

——誰だよこいつに自由の裁量持たせたやつ、出てこい。


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