表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/198

魔王の眷属。

「あなたがこの聖都を護るのですよ」


 あたしが大聖女サンドラさまに聞かされ続けていたこの言葉。


 空っぽだったあたしの心に染みついて、今も残っている。


 あたしにできることは聖なる結界をはることだけ。そう思ってたしそれを期待されているのだろうと思っていたからなんの疑問も持たずに受け入れていたその言葉。


 今でも心の奥底にあってあたしの行動指針になってるんだなぁって今にしてそう思う。


 自分の命を削ってもあたしがやらなきゃって強迫観念に囚われて……、って、よく考えてみれば怖いよね。


 結果としてあたしも助かったし聖都も護れたので良かったんだけど、あのひとにももう二度と一人であんな大魔法を使わないようにって念を押されたっけ。でもね。


 また同じような事があったらまた同じような選択をしちゃいそうで怖い。


 それだけあたしの中に残っているこの言葉の呪縛は重いのだ。




 ティアが集めてくれた話によるとやっぱりあたしはもう死んでいるだろうって思われているみたいだった。


 おおむねかわいそうな聖女って感じの扱いであの噂もやっぱりわざと流されたものだって街の人たちも噂してたらしい。


 かわいそうにね、ってティアが言ってくれたから、それでもういいことにした。


 今のあたしはレティシアで、あんな聖女宮とは関係なく生きるんだ!


 そう思ったら少しは心も軽くなったし。



 でも。


 そうすると気になるのがやっぱりあのグリフォンの言葉。


 お前たちも魔王様の眷属だろうと言ったあの言葉はどういう事だろう?


 それを知る事がもしかしたら結界をはるだけでなく今の現状を打開するきっかけにもなるかもしれない?


 なんて事も考えてしまう。



 だから。


 レヴィアさんに会いに行こう。


 そのためにまず、龍人族が住むという北の果て。


 帝国領のノーザランドに行ってみようと思うのだ。




 龍神族の始祖はその昔魔王から分かれた分身、しもべであったという伝説がある。


 それがほんとうなのであればあの魔王様の眷属っていう言葉もわからないでもないけど、だったらだったでね。



 ティアは……、置いていこう。


 流石にあたしのわがままで彼女の人生を狂わす訳にもいかない。


 聖王国を出て帝国領に入るのだ。どんな危険があるのかもわからないし。


 あたしは彼女の枕元に置き手紙とある程度のお金を残して。一人でこのまま出発する事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ