刀の工房へ
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勇者を連れて、町の外れにある工房へ向かった。
こじんまりとして寂れたような工房で、若干不安が勝る。
しかし、領主が直々に指名した工房だ。意を決して中に入る。
「失礼する。ここに『折れず、曲がらず、よく切れる』剣を打てる親方がいると伺ったのだが。」
工房の中には、腰の曲がった老人が、キセルをふかしながら胡坐をかいていた。
年老いてはいるが、その腕はたくましく、力強い瞳をしていた。
「うちは一見さんはお断りだよ。」
親方がシッシッと手を払う。
私は、懐に忍ばせていた紹介状をまさぐって、相手に渡す。
「領主のザラード殿から紹介状を書いていただいた。これで問題ないだろうか。」
親方が驚いた表情をして、紹介状の中身を読み始める。
表情がみるみる変わって、最後にはカカカと笑い始めた。
「ザラードの坊ちゃんから紹介を受けるたぁ、珍しいこともあるもんだと思ったが、まさか勇者様の剣を作ることになるとはねぇ。生きてると何があるか分からないもんだ。」
手をたたく親方を見るに、どうやら引き受けてもらえるようだ。
「『折れず、曲がらず、よく切れる』だったか。確かに、理外の獣が現れる前までは、よくその刀をここの工房で打っていたようだよ。製法は残ってる。ワシで良ければ作ってやろう。材料はあるそうだが?」
勇者が、光り輝く鉱石を親方に渡す。
見慣れない鉱石に、親方の目が険しくなる。
慌てて、勇者が説明をし始めた。
「女神様の加護を使って鉱石を掘ってたんだけど、いつの間にかこんな感じになってたんだよ。ガンズロッドの鉱山で取ってきたのは間違いない。」
親方が、じっと鉱石を見つめる。
無言の時間が続く中、親方が静かに口を開いた。
「驚いたな。勝手に光り輝いてやがる。俺の経験が、間違いなく鉄だって言ってるのに、こんな珍妙な光を出してやがって、ついにボケちまったかと思ったわい。女神様の加護なら、悪いようにはならんじゃろう。質もいい。こいつを使うとしよう。」
親方が、工房の奥へと手招きをする。
私たちは、導かれるように、奥へと足を踏み入れた。




