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さっさと世界を救ってこい ~勇者が魔王を倒すまで、人類防衛戦線~  作者: だごみすと


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人型の何か

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 コウモリ型の理外の獣が、坑道の奥に向かって逃げていった。

 しばらく何も起きないことを確認して、警戒を解いた私は改めて周囲を見渡した。


 あたりには、人のものと思われる骨がいくつか積みあがっている。

 今回の炭鉱夫消失の原因は、理外の獣とみて間違いないだろう。

 そうなると、解決のためには、鉱山内に存在する理外の獣を、すべて排除しなければならない。

 私は、小隊に向けて言葉を放つ。


「今回の件、理外の獣が原因とみて間違いないだろう。原因解決のため、先ほどのコウモリ型の理外の獣も含めて殲滅する必要がある。準備が完了次第、あの一団を追撃するぞ。」


 幸いにも、コウモリ型の理外の獣が小型だったため、奴らにつけられえた傷は小さいものが多かった。

 簡単に止血を済ませると、坑道の奥へと目を向ける。


「炭鉱夫殿。危険な役割で申し訳ないが、この先へ案内してほしい。」


「いえいえ、もともと人が消えちまうおっかない状態だったんだ。覚悟はできてたさ。何より、騎士さんたちと一緒だからな。」


 突然理外の獣に襲われる形になったが、彼は動揺こそすれど、おびえてはいないようだ。

 肝が座った男性だ。

 炭鉱夫に先導されながら、消えてしまっている通路のランタンに明かりをともして先に進む。


 長いことあるいていると、急に広い空間にぶつかった。

 頭上には、不自然に空いた穴から、太陽が顔をのぞかせていた。


 突然明るい空間に出て、眩んでしまった目を慣らしていると、空間の真ん中に、コウモリの翼を持った人型の何かが存在しているのが見えた。

 先ほど追いかけてきたコウモリの一軍が、それの周りを取り囲んでいる。

 すると、人型の何かがこちらを見て牙をぎらつかせた。


「おや、見られてしまいましたか。まぁ、ここでの仕事は既に終わっていますので、構いやしないのですが。」


 人とは思えない存在が、人と同じ言葉を発している。

 その不気味さに、私は寒気がするのを押さえながら剣を構える。


「貴様は何者だ。ここで何をしていた。」


 人型の何かがケタケタと笑いながら、私の質問に反応する。


「何物、ですか。私たちは、あなたたちとは別の理に生きている者、とでも言えばよいですかね。私は、魔王様より特別に名前を与えられた、三死獣が一人、バードラッド。以後、お見知りおきを。」


 邪悪さを隠そうともしない笑顔で、こちらに対して仰々しく会釈をする。

 隙があれば切りかかろうとも思っていたが、周囲のコウモリ型の理外の獣が邪魔をして、なかなか切り込む隙が伺えない。


「もう一度尋ねるぞ。ここで何をしていた。」


 剣を構えながら、警戒を怠らずにゆっくりと近づく。

 その姿を見て、人型の何かはにやりと口を開いた。


「それをあなたたちに教える理由はないでしょう?今日は勇者殿一行にご挨拶させていただいただけでも、十分ではないですか。」


「しゃらくせぇ、切るぜ!」


 話を聞き終わる前に、ジャックが一人剣を抱えて切り込んでいった。


 ブオォォォン!


 その場の空気を両断するかのような一撃が、周囲を飛んでいたコウモリ型の理外の獣を吹き飛ばした。

 人型の何かは、切りかかられるより前に、空へと飛んで回避していたようだ。


「おやおや、随分と好戦的な人間がいたものですね。私は次の仕事がありますので、それに付き合う義理はないでしょう。それでは皆さん、ごきげんよう。」


 人型の何かは、頭上に空いた穴から、空へ向かって飛び立っていった。

 コウモリ型の理外の獣も、それに続いて外へと飛んでいく。

 今までの常識が通じないような相手を目にして、動揺する気持ちを抑え込むように、私は剣を握りしめていた。


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