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性悪姫様は僕の婚約を認めない  作者: ke-go
姫様と僕と…婚約者
12/20

勝ち負け

「ごれ、のどにぎいのよ。」

「あじがどうぼざいがふ。」


二人の言い争いは深夜も続きそして朝が訪れた。廊下からは従者達の仕事の声が聴こえてくる。


僕は、二人について行けなくて途中で椅子に寝てしまいました。


姫様が朝からお茶を入れている。珍しい光景が続いているし、窓に強く雨が当たっていた。


本当に今日は嵐なのだろう。


枯れた喉に癒しを…


二人はお茶を飲んだ後に疲れが一気に押し寄せたのか椅子に互いに肩を寄せ合いながら眠りについてしまいました。


寝起きのジルさんは大きなあくびをしています。

そして僕は二人をおいて朝の稽古に向かったのです。


中庭は大雨で、使えない。

こんな日は廊下で簡単な素振りをします。


…にゃ。…にゃ。


気配察知…得意なんだけどな。

気がつくと僕の背後からジルさんの声が聴こえてきました。どこから持ってきたのかはわかりませんが、木剣を僕の素振りを模して振り回しています。


あの従者達の中を掻き回せた人だ。

僕の真似事をしなくても強いだろうに。


………………………………………


それから…1ヶ月が過ぎました。

僕の婚約者のシルフィさんは、姫様の客人として宮内で過ごしています。勿論、付き人のジルさんも。


仲良くなれた。そう思える1ヶ月であれば良かったのですが、僕とシルフィさんの仲云々ではなく、姫様とシルフィさんが仲良くなりました。


良く喧嘩もしています。王国の王女に、はっきり物を言う彼女は、とても臆病な方だとは思えません。実際、その勇敢な姿を見てシルフィさんに相談する従者達も沢山います。


彼女は、宮内で信頼をたった1ヶ月で勝ち取ったのです。


さすが勇者様と同じ種族です。人を惹きつける力が強いかもしれません。


にゃ!


「はい。残念でした。」


僕はと言うと、姫様の小言は勿論いつも通り受けていますが、何故か理由はわからないのですが、ジルさんに懐かれて一緒に剣術稽古を毎日しています。

実際、ジルさんの短剣術は種族特有の靭やかさもあり僕自身の経験にもなります。


でも、まだ模擬戦ではジルさんに負けていません。理由は彼女が小柄で速さに慣れてしまえば大概は力で伏せる事ができるからです。


「…また、負けたにゃ。」


落ち込まないでください。ジルさんが有利な戦場も必ずあると思うんです。


「…こうなったら、寝込みを襲うにゃ。」


怖いこと言わないでください。それと相手に作戦を簡単に漏らしてはいけません。


はたから見れば師匠と弟子。そう見られてもおかしくはない関係性を…婚約者ではなく、付き人と築いてしまいました。


だから、姫様とシルフィさん達と僕等従者達で、何時もの宮生活を送っていると言いたいのですが、最近は怪しい雰囲気が王都周辺に漂っています。


大雨が止まないんです。


あの二人が朝まで討論した日の嵐から今日まで雨が晴れる事も弱まる兆しもなく、1ヶ月空を暗くしています。


初めは誰も、嵐が来たくらいの気持ちでした。しかし、長引く雨に、王都周辺の交通網は乱れ、物流も停滞気味です。僕達の食事に影響はでていませんが、今後はわかりません。そして、寒さから体調を崩してしまう人達が多くなっていると聴こえてきました。


何か、良からぬことの前触れかもしれないです。


だから、姫様達は王城で話し合いをしています。王様に貴族…そして騎士団に他重役達。話し合いで何か打開策があれば良いのですが…


「湯浴みの準備をしてちょうだい。」


宮の入り口の扉が開くなり雨で濡れたドレス姿で床を汚しながら髪の毛の水滴を払う姫様。


……どうやら、機嫌が悪そうだ。


僕の姿を見るなり、あの雨雲を斬りなさいと無茶を言う始末。これは近づかない方が身のためだ。


宮の奥にある姫様専用の浴場。勿論、男子禁制で一部の従者しか入れない園。


新米従者がは、誰しもが妄想する姫様からの園への誘い。実際そんな事はないのだが、年頃男子は皆妄想する宮仕えの定めがある。


僕もしたけど、直ぐにその妄想は消し去った。あんな姫様の性悪を独り占めしたら腹痛で寝込みそうだから。


「はぁ…生き返るわ。」


浴槽内の壁に描かれた王国の象徴を模した大きなレリーフを姫様は黙って見つめている。


「…この国は剣と共にあるべきなのよ…でも。」


王城での話し合い。主導権を握ったのは、第二王女セシル姫と彼女直属の部隊【王国魔法師団】だった。

そんなに権力がある部隊ではなかったのだが、セシル姫様のお気に入りで、ここ数年で戦力と共に発言力をましてきた軍隊。


「今回は…私の負けね。」


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