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苦戦必至の異世界巡り  作者: ゆずポン酢
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新しい旅仲間と報告

 少し耳を疑う発言を聞いた。

 冗談だろうと思いながらもう一度聞き返してみる。


「俺達と一緒に旅をする、ですか?」

「ええ、闘司さんたちと一緒に旅をする、ですわ」


 どうやら聞き間違いではなかったようだ。

 いや、え? 一緒に? リュリーティアさんが?


「いやいや一緒にって、リュリーティアさん騎士はどうするんですか?」

「ウィガー団長がいらっしゃるので問題ないですわ。それに昨日お話致しましたら快く承諾してくれましたの、楽しんでこいと」

「いや、リュリーティアさん自身はいいんですか? 俺達と旅なんかしても」

「いいですし(ワタクシ)自身が闘司さん達と旅をしたいと思っているのですわ。本当に嫌なら、お断りしてもいいですのよ……?」


 ここ数日で初めて見るリュリーティアさんの悲しげな顔を見せられてしまった。

 弱った、拒否なんて出来そうもない。

 別に一緒に旅をするのは嫌じゃないし、この町で少しの間共に行動したけどとても楽しかった。

 だから本当にこの提案は嬉しい、嬉しいけど……。


「一緒にいこうよ! ねっトージ?」

「うん、そうしよう」

「……」


 脊髄反射でOKサインが出た。

 ああリュリーティアさんが頬を膨らませて怒っている、可愛い。


「はぁ……まぁ良いと仰るなら喜んでおきましょう。では、改めて。リュリーティア・アルチュセール、貴方達と共に旅をさせていただきます、宜しくお願いしますわ」

「「よろしくおねがいします!」」







「ごちそうさまでしたー」

「はーい、また食べに来てねー」

「ばいばーい!」


 リズちゃんに手を振りながらお店を後にする。

 お腹も膨れたしもう一つの用事を済ませるとしよう。

 俺達はそのまま教会の方へ歩いていく。

 噴水広場を抜けて教会に向かおうとするとフードを被ったあの商人に呼び止められた。


「あの闘司さん、教会に行くんですか?」

「ミネルちゃん、今日も広場で商売していたの?」

「は、はい、あの今日の分は売り終わったのでわたしも一緒にいいですか?」

「もちろん、じゃないとミネルちゃんが帰れなくなっちゃうしね」

「ふふふ、そうですね」

「毎日広場に行っているのかい? だとしたら凄いね、俺なんかには到底真似出来ないよ」

「そんな凄くなんかないですよ! ただみんなのためって思ったら何だか毎日頑張れるんです」


 よっし、会話が上手く続いてるぞ!

 小さくガッツポーズをしておく。

 しかしいい子だなミネルちゃんは、涙が出そうなほど健気だ。

 ドランのことはもう心配ないよと早く伝えてあげたい。

 でも話すならオグマさんと一緒の時の方が良いだろう。

 そう思っていると教会へと辿り着いた。

 中に入ると今度は無人ではなくオグマさんがいた。

 祈りの最中だったらしく話せる雰囲気ではないので、俺達も同じように長椅子に座り祈ることにした。



『ほっほっほ、ワシに祈りを捧げるとはチミも信心深いのぉ』



 帰れ神様。



『ちょっとチミが暇そうだから相手してやってるんじゃぞ?ほれほれ、本物の神様が話しかけているんじゃ、神の啓示じゃぞ神の啓示』



 主張が激しいんですよ神様。



『ほいほい、じゃあワシは去るとするわい。またの』



 祈りを通じて神と対話をしてしまったけど全く無意味な対話であった……。

 オグマさんも祈りが終わったようでこちらに振り返った、祈る神様はちゃんと選んだ方がいいですよとアドバイスをしたい気持ちをぐっと呑み込む。


「おやこれは皆さんようこそいらっしゃいました。今日はどういったご要件でしょう、寄付ですか?」

「その寄付芸はあまり良いとは思えませんが……では金貨一枚を」


 チャリーン。


「ぶふっ!? と、闘司さん何をしてるんですか!?」

「へ? 何って寄付ですけど……」

「そうですけど寄付の金額が、金貨って何を考えてるんですか!」

「えぇ……」


 寄付をしてくれと言われたので寄付をしたら怒られた。

 金貨はやりすぎたか、まぁ使う機会少ないし元々フラウさんの件で無くなると思っていたので適当に入れてしまった。


「も、もう返しませんからね? 一度恵んだものはもう戻らないものと思ってくださいね?」

「あー大丈夫です金貨はまだあるんで、遠慮なく経営の足しにしちゃってください」


 オグマさんの目が見開いてしまった。


「ほら、そのお金は神様に貰ったモノなのでこれも神の御恵みってやつですよオグマさん!」

「わ、分かりました……ごほん、えっと、ありがとうございます。しっかりとこのお金は役立たせていただきます」

「ええ、ええ。それで、俺達が来た理由はドランの事で報告する事があったんです」


 ドランという言葉にミネルちゃんがビクッと震えた。

 今からその不安を取り除いてあげよう。

 今朝の事をオグマさんとミネルちゃんに全て話す。

 話を聞いた二人は信じられないといった顔をして驚いていた。


「まさか……そういう事でしたとは、なるほど」

「ドランも今度お詫びとして教会に手土産を持って謝罪をしに行くと言っていたので、どうかその時は迎え入れてやってください」

「で、でも……ドランは闘司さんを騙してるんじゃ……」


 ミネルちゃんは話を聞いただけでは信じられないのかそう言ってくる。


「いや、それは大丈夫。話をして分かったけどドランは決してミネルちゃんたちを傷つけない、それは断言するよ。今はそれで信じてくれないか……?」

「えっとその……闘司さんが、そう言うなら……」

「ありがとうミネルちゃん。あ、あとドランが今度ここに来る時はマスクを付けてくるから驚かないようにね? あと、写真を撮られそうになったらオグマさんに言いなよ?」

「マスク? 写真?」


 説明してあげたいけどアレは体験した方がドランの事も理解出来るだろう。

 ドランは決してこんな可愛い子を傷つけることはしないはずだから。


「ふふふ、たった数時間でそこまで信用するようでしたら安心できますね」

「いやオグマさん安心はしないでください。違う、信用はしていいけど決して安心しないでください。子供たちのために」

「んん? 分かりました……?」


 そうだ、やつは俺の盟友ではあるが、HENTAIであるのだから油断はしてはいけないのだ。

 問題は去ったが新たな問題がやってくるかもしれないのだ、頑張れオグマさん。


「とにかくもうその部下の人達が来ないということを住民の方達に知ってもらえればまた教会に来ていただけるかもしれないんですよね。そうと分かれば」

「そ、それは私たちがやるよ!オグマさんは休んでて!」

「いやミネル、しかしだね……」

「たまにはわたし達を頼ってみて、わたし達は家族なんでしょ?」

「っ……! そう、そう……ですね。ええ分かりました。じゃあ、よろしく頼むよミネル」

「……うん!」


 ええ話や……。

 涙を流しているとリュリーティアさんにハンカチを渡された。

 ズビー!  スパーン!!

 つい鼻をかんだら秒で叩かれた。

 ごめんなさい今度弁償致します。

 俺の思いが伝わったようで、許すといった顔をしてこの光景を見つめなおした。

 シャルルは寝ている、流石だね君は。





「本日はありがとうございました。この町にいる間は夜以外何時でもいらっしゃってください。夜は子供達は寝ちゃいますのでね」

「ええ三日後にはこの町を出ようかなと思っているのでそれまでには是非また来ます」

「みなさん今日はありがとうございました!わたし、ちゃんとドランさんを見極めてみます!」

「よしその心構えだミネルちゃん。決して油断はしてはいけないぞ」

「オグマ、ミネル! またねー!」

「御機嫌ようですわ」


 教会から宿屋に向かって落ちかけている夕陽に照らされる道を歩いていく。

 三人で手を繋いで帰るのはもはや恒例と言えよう。

 伸びる影は俺達の歩く所より遠くにいる。


「えへへーボクおっきくなっちゃった」

「俺が一番大きいぞ、ふふん」

「あら、(ワタクシ)の方が若干大きいですわよ」

「いやいや俺の方が」

「イヤイヤ(ワタクシ)の方が」

「今日のゴハンは何かなー?」






 自由気ままな三人組の旅路が良いものであるよう神様に祈りながら帰路へとつく。

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