とある師弟の対決
やる気はあんまりなさげ。
とても広い国土を持つ超大国テロムの、とある広い砂漠のど真ん中。そこで、赤く短い髪を持つ少女と向き合っていた。
「この間言ってたよね、アンズ」
肩まで伸びた白い髪を耳にかけながら、赤髪の少女に言い放つ。
この少女、スミアンズは、私の幼馴染であり、弟子だ。小学校の頃からの仲で、戦闘についての訓練をつけていた。
「あぁ、言った」
「はあ、私の弟子なら、私以外に負けるのは本当に許されない事なの。反省しなさい」
「まあ聞いてくれ」
アンズは、両手を挙げて言い訳をしてくる。その態度に、心底腹が立った。
この少女は、自分以外の人に負けた、その事実が、許せない。
「あれは本当に対策されまくったんだよ。反則級の装備に、あたしが不利になるような状況でな」
「言い訳なんて聞きたくない」
「そうかよ」
言い訳をするようなゆっくりと説明に、怒りが湧いてきた。
この少女はわかっていないのか。不利になるのも含めて戦闘だ。それで負けているのが許せない。
「あなた、たるんでる。だから、また鍛えなおす、来週から夏休みだし」
「チッ、お前は戦った事無ぇからそう言えるんだよ。一旦戦ったらわかるぜ?」
「だから、言い訳は良いの。早く構えなさい」
これ以上言い訳を聞きたくないので、戦闘態勢に入る。その際に、距離を百メートルくらい離した。
アンズの方も、諦めたように自分から離れた。
「……はぁ」
思わずため息をつく。
不意に、砂嵐が起こった。アンズの姿がよく見えない。だが、視界が狭くなっただけなので、問題はあまりない。
集中力を高めるために、目を閉じた。
「……来る」
目を開ける。
既にアンズは目の前にいた。武器であるレーザーソードを両手で一本ずつ、計二本持っている。
焦らず冷静に、私の武器である水晶玉を手に持ち、力を籠める。そうして、シールドを展開した。アンズの攻撃は、シールドによって防がれる。
「やっぱり、たるみすぎよ! 自分より弱い人としか戦ってこなくて、だらけていたのでしょう!?」
相手を挑発するように叫ぶ。
今度はこちらの攻撃、後ろに輪状の光を五つ展開し、それらから光のレーザービームを放つ。太さは一本ずつ変えていて、細ければシールドを貫通し、太ければ相手に大ダメージを食らわせる。
アンズは慌ててシールドを展開するが、細い二本のレーザービームはシールドを貫通し、アンズの身体を狙う。しかし、機敏な動きによりギリギリ避けられた。
「チッ」
思わず舌打ちをする、攻撃を避けたアンズがレーザーソードで斬撃を二発放ってきた。
かろうじて放った斬撃であったので、避けるのは簡単だ。だが、私の位置を変えさせられるので、レーザービームの軌道をもう一度計算しないといけない。
アンズが再度距離を詰めてきた。
「どうしたの! あなたの実力はそんなものだったの!!」
「うるせぇ!!」
タイミングよく相手の腹に向かって蹴り放ち、吐く。
アンズが最小限の動きで避けたので、太目のレーザービームを放つ。
とりあえず放った物であったが、それは運よくアンズに当たった。
「く……」
らしくない声を出して、アンズは怯む。
チャンス、追撃の極太レーザービームを五回放つ。それは全て対象の少女に命中した。
「くそ……」
戦闘不能、私の勝利である。
「また修行よ、覚悟しなさい」
「……わかったよ」
前に戦ったときは、もっと苦戦した。だが今回は違った。
たるんだ戦闘力を戻すために、淡々と言葉を放った。
「ふふ、また楽しくなるね」
「お前、あたしと戦いたいだけじゃねぇか?」
「あなた以外のエクシオ州の人達は弱すぎるの、私の成長が止まってしまう」
「確かに、トリアス州のやつらもあんまり強い奴はいねぇんだよな」
「あなたは負けてるの、理解してる?」
「うるせぇ」
戦闘が終わったので、緊張を解く。アンズからも、威圧感が消える。
私が住んでいる、そしてアンズの故郷であるエクシオ州は、現状あまり強い人がいない。アンズはエクシオ学園ではなくトリアス総合学園に通っており、トリアス州に住んでいるのである。
「しばらくはエクシオに戻って来なさい。修行の旅に出たいの」
「八月になるまで待ってくれ」
「仕方ないね、絶対戻って来なさいよ」
「わかってるって」
そんな約束を取り付け、二人で帰路に着いた。
「ここからなら、トリアスの方が近いわね。そっちで飛行機に乗ってエクシオに帰るわ」
「学割あったか?」
「あるわ。確かに使わなくても生きていけるけど」
「明日は休みか?」
「休みよ」
「なら、ゆっくり駄弁りながら帰ろうぜ」
「良いわ」
アンズは笑顔で提案し、私も笑顔になりながら頷いた。
レーザーソード、イメージは某SF映画に出てくる武器です




