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7、メルフィスとお話です。



ミーシャが渡してくれた報告書に目を通し呆れます。

貴族は己の醜聞を嫌います。

だから表面を繕ってキラキラ豪華に、裏で醜くドロドロが基本です。


そんな貴族ばかりではありませんが、それが基本です。

なのに少し調べただけで隠し子が6人もいることが判明するって…隠す気があるのか怪しくなってきます。



「これって……………罠って可能性は?」

「ないとは断定できません。現段階その線も含めて調査を行ってるそうです。」


「そっか、ならランズの報告と、その後の調査結果で判断かな?

あ、追加で、ドロロキノコとデンダケ、キリリダケとヤイバダケが近くに生息している場所。

それと、叔父と叔母に育てられてる男の隠し子を中心的に調査して欲しい。」

「男の隠し子ですか…それと見分け難いキノコ、畏まりました。」


ドロロとキリリは毒キノコ、デンとヤイバは珍味とされるキノコですが、これが見分け難いんです。

年に何人か誤って食べて死人が出ます。

ゲームの中で出て来た数少ない主人公が特定できる情報です。




ミーシャに調査の依頼をして、今日と明日は学園がお休みなので、今日か明日で第一王子から第三王子に会えるように手配を、そして明日はマルエヌとメルルの女性陣と会えるようにランズに手配してもらいます。

女性陣は今日は無理です。



「いくら姉弟とはいえ、年頃の女性の下に男が訪れるには、色々準備が必要だからな。

マルエヌが年頃と言ってしまうと違和感があるが…。

それで?用は何だ。これでも忙しいんだがな。」


「今日は突然の訪問にもかかわらず―――」

「よい。その様な面倒な口上はこの場では必要ない。ただ、こいつだけは側に就かせるが問題ないな?」


「はい。メルフィスお兄様。逆に誰も居ない方が俺は怖くて逃げ出したくなりますよ。」

「言うようになったな。」



とういことで、僕は午後から現在第一王子メルフィスの王宮にある執務室にお邪魔しています。


でも良かったです。面倒がなくて済みました。

何が面倒かと言えば、順番です。

順番って面倒なんですよ。

第一王子より先に第二王子に会うと第一王子派から色々疑われます。

その辺を気にしてるのは第一王子派と第二王子派くらいで、第三王子派は気にしてません。

とういか、気にする必要がないと言った方が良いかも知れません。


第一と第二王子派以外は何番目でも大して意味がないからですが、一応第四王子である僕とそれ以外は第三王子をたてますから。

挨拶の順番も最初に第一王子、次に第二王子、そして第三王子の順番でして行きます。

仮に第一王子が忙しく、第二王子の方が早そうでも、第一王子から挨拶して行きます。

ただの時間の浪費のように僕は感じますが、これが普通だとアルフレッドの記憶にありますから、余計な事をしないで、それに従います。



「お兄様も多忙でしょうから手短に本題だけお伝えします。」

「そうだな。俺の方も話したいことがあるから、さっさと済ませて少し話そう。」

「…そうですね。」

嫌だな~なんて口にも表情にも出せません。



「――――――っということを休み明けに学園で告知してから行おうと思ってるのですが、メルフィスお兄様も参加されますか?」

「……ボッフェ。どう思う?」

「今回の件は他国による王族襲撃ということになってますから、メルフィス様が参加されるのはおかしくはありません。」

「そうか。では―――」

「ですが、メルフィス様は多忙です。なので、アルフレッド様が許可を取られた者の内―――」

「ボッフェ!お前は効率を優先し過ぎる!どうせその中で俺に近しい者の時だけに参加しろと言いたいのだろ?」

「左様です。」


「莫迦め!そんなことでは俺が王位についた時にそのことが憂いになるかもしれんのだぞ!」


「………尤もらしい口実で公務をサボりたいだけでしょ?」

「そ、その様なはずがあるか!俺が王位に就く頃には、遅かれ早かれその者達が次代だ。ここでテムディッシュが行くのであれば…学園生徒であり王族である以上テムディッシュは当然参加するだろう。ならば、俺が参加しないでどうする。」


「まあいいです。……………では、アルフレッド様に私の妹のメリルを同行させましょう。今、高等部1年ですから丁度良いでしょう。それでこちらが動き易いように順番を―――」

「失礼ですが、ボルフェンさん。」

「………何でしょうか?アルフレッド様。」


うわ~、物凄く嫌そうな顔してます。僕に話を途中で遮られたことか、僕に名を呼ばれたことか、それとも、そのどちら共ですかね?


「今回は相手の都合と体調を優先したいのです。」


「アルフレッドの言い分の方が俺も正しいように聞こえるのだが?」

「左様ですね…失礼しました。では、なるべく早めに予定を出していただき、その上で調整するようにいたしましょう。」


「よし、決まりだな。アルフレッドの用件はこれで終わりか?」

「はい。」


「それでは…ボッフェ。席を外してくれ。」

「い、いえ、しかしそれは……。」


ボルフェンさん僕の方を見て迷ってますが、この人感情を出し過ぎです。


「頼む。兄弟だけで話したいのだ。ボッフェが出て行かないのであれば、俺が出て行く。」


それ何の意味あるんですか?と思ってたら…。


「………畏まりました。」

そう了承してボルフェンさんは出て行きます。

驚きです。



「さて、体調はどうだ?3日も寝込んでたと聞いたぞ?」

「心配して頂きありがとうございます。ですが、良く寝たお陰か、頗る良好です。」

「そうか、なら聞くが、今回の襲撃をアルはどう見る?」

「これはまた直球ですね。」

「正直、報告をいくら読んでも腑に落ちないんだ。もし今回の件に母上たちが―――」

「それ以上は。いくら兄弟でもそれ以上を聞かされると困りますし、出来れば聞きたくありません。」


「そう…だな。今回の襲撃でお前もだが、マルエヌが巻き込まれてるからな……実の妹が殺されていたかと思うと、どうも逸ってしまって感情を制御できなかった。すまん。」


「いえ、それを聞けただけで良かったと思います。」


「それでどう思う?」

と、再度聞かれたので、僕の考えを伝えます。




「―――そうか、その状況だと余程の莫迦ということになるのか……。

そうか、てっきり俺は母上辺りがマルエヌを餌に仕掛けたのかと考えていた。

良かった…。」


「そう言われるのは良いのですが、あくまで俺の考えであって、違う可能性もあります。」


「いや、アルの意見を聞いて、多少思考が柔らかくなった。

俺の中では犯人は母上たちだと、どうしてもそっちに思考が偏り過ぎてしまってな。

こんなことテムには聞かせられないし、ヨムも同様。

アル以外の弟はまだ幼いし、妹たちもこんな話聞かせられん。」


「そうですね。」

僕になら良いの?一応王位争いに喰い込まされてるんですが?と、少し思いますが、アルフレッド自身王位に興味がないので別に良いんですけど…。



「ぁった。」

頭をポカっと叩かれました。痛くなくても反射的に声が出てしまいます。



「ばっか。そんな顔をするな。」


そんなって、どんな顔をしてたんでしょうか?


「多くは言わんが……肩の力を抜けるときはちゃんとあるのか?

張り詰めた弦はいずれ切れてしまうぞ?俺はそれだけが心配だ。」


「そこは大丈夫です。」

「そうか…なら話はここまでだな。

あ、そうそう。この事は父上には伝えてるのか?」


「いえ、まだですが…伝えた方が良いですか?」


「伝えておいた方が良いな…よし。それは俺の方から伝えておこう。」

「すいません。お願いします。」

「任せとけ。」



僕はメルフィスの執務室を退出して、馬車に乗り込みます。

次は第二王子のテムディッシュの屋敷なのですが…徒歩でもそんなに時間はかかりません。

でも王子が徒歩だと外聞が悪いので、近くても馬車だそうです。


ただ…その前に何かサプライズがあるようです。




「アルフレッド様。これからしばらく揺れます。」

「何かあったの?」

「はい。追跡者が居ます。」

「何処の?」

「捕まえてみないと分かりません。先に第二王子の方には遅れる旨の連絡は入れてます。

そちらはそろそろ到着する頃だと思います。」


「準備良いね。」

「スラウスが前回の失態分を取り返そうと張り切ってました。」

「そっか、別に良いのに。二人で大丈夫なの?」


「問題ありません。イシスとメディアも連れて来てます。」


「あの二人呼んだの⁉」


「はい。」

「その後が大変だ…。」


「そう思ったので、郊外の森を目指してますからそこまで揺れますよ。」

「御者は誰?」

「ヘイシングです。」

「おう…お尻痛くなるね。」

「そう思いましたので、そちらどうぞ。気休めにはなるでしょう。」



ミーシャが用意してくれたのは厚手の布を重ねただけのクッションです。

僕がそのクッションに座ったところで、ミーシャがヘイシングに合図を送るように御者の方を数度叩いたら、馬車が加速しました。





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