第8話 幸せが怖くなる日
幸せは、時々怖い。
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手に入らない時は、
ただ欲しいと思うだけだった。
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でも少しずつ手の届く場所に来ると、
今度は失うことが怖くなる。
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それが恋なのかもしれない。
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花火大会から数日後。
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あすかは仕事をしながら、
何度もあの夜を思い出していた。
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夜空に咲く花火。
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人混みの中。
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一瞬だけ繋がった手。
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そして。
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「俺も」
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悠真の言葉。
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たった三文字。
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それなのに何度も思い出してしまう。
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嬉しかった。
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本当に。
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だからこそ怖かった。
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もし今の関係が終わったら。
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もし距離ができたら。
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もし会えなくなったら。
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そう考えるだけで胸が苦しくなる。
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以前の自分なら、
こんな悩みはなかった。
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誰かを失う怖さもなかった。
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最初から近づかなければいいと思っていたから。
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でも今は違う。
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大切な人がいる。
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それが幸せであり、
同時に不安でもあった。
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夜。
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「人生の交差点」
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扉を開ける。
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カラン。
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マスターがいつものように笑う。
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「いらっしゃい」
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あすかは席に座る。
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最近はここへ来ると落ち着く。
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第二の居場所のようになっていた。
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グラスが置かれる。
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静かな音楽。
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柔らかな照明。
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春から変わらない風景。
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でも自分だけは大きく変わった。
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「考え事?」
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マスターが聞く。
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「そんな顔してますか」
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「してる」
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即答だった。
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あすかは苦笑する。
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隠せているつもりなのに、
この人にはいつも見抜かれる。
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「幸せそうな顔と不安そうな顔を同時にしてる」
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その言葉に、
思わず笑ってしまう。
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あまりにも正確だった。
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「そんな顔あります?」
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「恋してる人の顔」
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また図星だった。
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返す言葉がない。
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扉が開く。
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カラン。
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悠真だった。
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「こんばんは」
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「こんばんは」
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自然に笑顔になる。
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その瞬間、
マスターが小さく笑った気がした。
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気づかないふりをする。
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悠真は席に座る。
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いつも通り。
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何も変わらない。
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でも、
あすかの心は以前とは違う。
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少し会えないだけで寂しい。
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少し疲れた顔をしているだけで気になる。
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それが当たり前になっている。
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会話をする。
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仕事の話。
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最近のニュース。
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休日の予定。
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穏やかな時間。
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その途中で、
悠真のスマートフォンが震えた。
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画面を見る。
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そして少しだけ表情が変わる。
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「ごめん」
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そう言って返信を打つ。
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ほんの数秒。
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それだけのこと。
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なのに。
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あすかの心がざわつく。
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誰だろう。
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仕事関係だろうか。
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友人だろうか。
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女性だろうか。
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そんなことを考えてしまう。
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嫌になる。
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自分が。
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悠真は何も悪くない。
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それなのに勝手に不安になる。
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恋とは少し面倒な感情だ。
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「どうした?」
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悠真が聞く。
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「何でもないです」
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反射的に答える。
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嘘だった。
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でも本当のことも言えない。
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少しだけ沈黙が流れる。
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悠真は何かを考えているようだった。
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そして突然言った。
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「俺さ」
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あすかは顔を上げる。
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「最近、毎日楽しいんだ」
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その言葉に胸が止まりそうになる。
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悠真は続ける。
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「前は仕事して帰って寝るだけだった」
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「でも最近は違う」
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少し笑う。
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「楽しみが増えた」
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その言葉を聞いた瞬間、
胸が熱くなる。
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期待してしまう。
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自分のことかもしれないと。
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でも確信は持てない。
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だから苦しい。
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恋はいつも曖昧だ。
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帰り道。
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二人は駅へ向かって歩く。
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夏の夜風。
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少しだけ涼しくなってきていた。
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季節はゆっくり進んでいる。
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「花火、楽しかったな」
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悠真が言う。
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「そうですね」
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あすかは笑う。
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本当に楽しかった。
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たぶん今年一番。
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「また来年も行きたい」
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その言葉に、
胸の奥が強く揺れる。
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来年。
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その未来の中に、
自分がいる。
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そう思っていいのだろうか。
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嬉しい。
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でも怖い。
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幸せだから。
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期待してしまうから。
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駅が見えてくる。
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別れ際。
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悠真が言う。
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「また連絡する」
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「はい」
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いつもの言葉。
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でも今日は少し違って聞こえた。
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改札へ向かう背中を見送りながら、
あすかは思う。
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幸せは、
手に入れる瞬間よりも、
失うかもしれないと思った瞬間に価値を知るのかもしれない。
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そして今、
自分はその幸せを失うことが怖いほど、
悠真を大切に思っていた。
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夏の夜はまだ終わらない。
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けれど、
二人の関係は確実に次の場所へ向かっていた。
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第3章 第9話「伝えられない言葉」へ続く




