賊との夜戦・後始末
「うっ」
「おう、起きたか。大丈夫か?」
心地良い温もりで目を覚ます。
カイルに治癒魔法を掛けられていた。
体の痛みが殆ど無い。
治癒魔法は素質の面が強い上、難易度な高く使用者が少ない。状況を見る限り短時間でこれほど治療できるカイルは治癒士だけでも十分やって行けるだろう。
カイルって索敵、魔法、近接戦闘に加えて治癒魔法まで使えるって天才肌なんだな。
考え事をしていると返事がない事に心配したのかカイルが再度訊ねてくる。
「おーい、大丈夫か?まだどっか痛むのか?」
「あ、いえ、大丈夫です。お陰様で動けるようになりました」
「そうか、俺は専門の治癒士じゃないから完全に治りきっていねぇ。リリスの回復ポーション飲んで明日は安静にしてろ」
野営場所に戻ると商人と御者達が起きていた。ランディが戦闘が始まった後に起こしたのだろう。既にエンリカとリリス、そして縄で拘束されたボコボコの賊達も居た。
商人達が僕に気づくと、走り寄って来る。
「ありがとうございます。なんとお礼したら良いか」
これどうすれば良いかな?僕は気絶していただけだし。
取り敢えず良い感じに言うか。
「いえいえ、リリスとエンリカがやってくれたので。僕は何も出来ませんでした」
「とんでもない。無事に帰って来て下さって良かったです」
どうしよ、商人も食い下がらない。
困った様子を感じ取ったのか、ランディが話を切ってくれた。
「お疲れ、みんな戻って来たし報告しよっか」
「こっちはあまり手応えがなかったわ。弱すぎてうっかり殺しそうになったわ」
「どっか行った、一人。動けない、すぐ。理由、当てた、ポーション」
いやいや何サラッと嘘付いているんですか。
真実の中に嘘をを散りばめている。この人、人を騙し慣れてる。怖い。
「エドは怪我大丈夫?念の為リリスのポーションも飲んでね」
うんうんと頷いていたランディが聞いてくる。
「分かりました。怪我はカイルのお陰で大丈夫です」
「それは良かったよ、今晩の見張りはずっとカイルで良いよね?どうせ昼は寝てるんでしょ」
「昼寝てて良いんだよな?」
「良いよ」
「なら任せろ」
カイルが見張りをしてくれるならば安心して眠れる。僕より盗賊適性ありそうだもん。
安心したら眠たくなってきた。夜中に起きた上に全力戦闘、更に移動の疲れが残っているから人生で一番眠たいかも。
テントで横になり、目を瞑ると瞬く間に深い眠りに落ちた。
因みにリリスのポーションの味は最悪だった。
嘔吐物の不快感に苦味と渋み、刺激臭が加えられた感じだった。




