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来るところ間違えました。〜新人探索者、最きょうパーティに入る〜  作者: 海万満
第一章《新人探索者》エドワード・クレイ
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賊との夜戦

 書き溜めはしてないが、頭の中で組み立てていたために1時間ちょいで書けた。

 投稿を始めてから確実にゲーム、アニメ、その他の時間が減った。良いのか悪いのか。

 でも幸せだからOKです。

 リリスに起こされた後、賊に気付かれない様にメンバーの4人とヒソヒソと相談する。

 カイルが地面に石で図を書いて説明する。


「賊は計10人。水辺の方に8、反対側に2だな」


「どうしますか?」


「私が8で良い?今日、全然運動してないから」


「2、狩る」


 前衛のエンリカは兎も角、悪魔の聖騎士(ウチのパーティ)の女性陣は血の気が多すぎませんかね?

 リリスに至ってはハッキリ『狩る』って言っちゃってるし。


「僕とカイルはここを守ってるからエドはリリスと一緒に二人の方を捕まえて」


「分かりました。リリスは大丈夫ですか?」


「グッ。強い。エドより。連れてく、ゴーレム」


 親指を立てて返事をする。

 思わず聞いてしまったが僕よりは強いだろう。個人のランクはDランクまで上げているし、経験も違う。自分の事に集中しよう。

 賊は盗賊(シーフ)の僕が居ると分かった上で神経を研ぎ澄ました索敵でやっと見つけられた。当たり前の様にしていた為スルーしていたが、カイルは難易度が僕より何段階も上の状況で賊に気づいた。

 この任務で僕、必要ある?




 音を立てずに暗闇の森を進み、賊の背中側へ回り込む。ゴーレムは鎧の音が鳴る為、少し離れて待機している。


「指名手配、両方」


 リリスがポツリと語りかける。

 僕は落ち着きながら息を殺し、静かに返事をする。


「気を付けます」


「欲しい。素材、お金。どっちも」


 あれ?なんか意味が分からないこと呟き始めたよこの人。お金は分かる。素材って何?賊が奪った宝とかかな?


 目視で確認したところ、賊は身軽で速さを重視した男と大剣を背負ったデカい男。

 どちらに奇襲するべきかリリスに視線を送る。

 僕の視線に気づいたリリスは速そうな男をやると手で答える。

 したがって僕は大剣の男。


 あの大剣はまともに受けたら致命傷は不可避だ。危険から守ってくれる人もいない為、慎重に戦わなければならない。

 問題はどのタイミングで攻撃するか。可能であるならば相手が何かに気を取られているタイミングが良い。






「グァァァァァァァ!」


 元々いた方向、馬車の先、リリスに切られた賊の声が響く。

 賊達が叫び声に反応し、周辺状況が賊の意識から抜ける。一瞬の事だが、確かに隙ができた。

 僅かな隙を逃さない様にリリスが合図を出す。


 「今」


 合図と同時に全速力で飛び出す。


 賊の頸椎目掛けて貫手を繰り出す。

 違和感を感じたのか、賊は直前で二人に気づき、貫手を右手で払うようにして受け流す。

 上手く凌がれた。最高速のため、無理矢理止まろうとすると却って隙を晒してしまう。それ故に逆らわずにそのまま賊との距離を取る。


「おぅ、速さは悪くねぇ。だがまだまだだな」


 賊が右手で大剣を抜き、僕を間合いに入れて両手で右上から左下へと振り下ろす。

 剣をスレスレで避けると、滑らかな動きで顎を狙い左足の蹴りを繰り出す。


「甘い」


 賊が呟いた途端、僕は遙か後方の木に打ち付けられた。

 後ろへ飛んでいく最中に見た賊の体勢から予想するに、剣のスイングに当たったのだろう。反射的にナイフで防ぐ事が出来たが、暫く動けない。骨も折れているかもしれない。

 視界が揺れ賊の足元しか見れない。何とか周りの状況を確認しようと耳を澄ます。


 おかしい。何だこの感覚は。近くではリリスが戦闘していたはずだ。この短期間で認識範囲外に居るのはあり得ない。また、死んでる感じもしない。

 賊も妙な感覚に気づいたのか、叫ぶ。


「おい!ゾーク!返事しろ!」


「男、答えない。私、眠らせた」


 賊の言葉に反応したのはリリスとゴーレムの鎧の音だった。


 しかし、ゾークと呼ばれた賊は何処だろう。眠らせたなら呼吸音はあるはずだ。

 同じことを思ったのか、大剣の賊が声を荒げる。


「そんな出鱈目信じるか!逃げたわけでもねぇ、死んだわけでもねぇ、じゃあ何処に居るんだ」


 リリスのこの先の発言は理解出来ない。いや、理解したくないような恐ろしい物だった。


 リリスが右耳の赤い宝石が付いたピアスを指差して賊の言葉に答える。


「魔道具。人、入れれる。条件、無意識。打った。麻酔薬」


「何言ってんだ!意味がわからねぇ!」


 うん。僕も同感。今日初めて賊に共感したかも。


 リリスが賊にゆっくりと歩み寄る。

 リリスの顔をハッキリと認識した賊が顔色を変えて震える音がする。


「お、お前は!悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンドの《水色の悪魔(スカイデビル)》!」


 悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンドは王都の外でも有名らしい。その中でリリスは《水色の悪魔(スカイデビル)》と呼ばれている。何をしたんだか。街を切るレベルじゃないと良いけど。


 当の本人のリリスは何か思案している様子だ。


「んー。欲しい。速いの。ゴーレム。あー。盗賊(シーフ)、居る、エド」


 賊の体は身動きが出来ない程震え上がり、両手で持っていた大剣が落ちる。


「決めた。パワーアップ。要らない。速いの」


 リリスが右耳のピアスを弄る。赤い光と共に現れたゾークと言われた男が地面に倒れ落ちる。


「欲しい。お前」


「キェェェェェェェェェ」


 発狂した賊が大剣を拾い、リリスに突撃する。


 しかし、賊はリリスの5m以上手前で止められる。

 2mはあるゴーレム後ろから腕をガッチリ取り押さえられる。

 賊が暴れるが、ゴーレムは微動だにしない。

 ゆっくりと注射器を手にしたリリスが歩み寄り、賊の体に刺して薬を打つ。

 暴れていた賊は忽ち力が抜け、地面に伏せる。


「ふう」


 一息吐いたリリスは再度右のピアスに触る。

 赤い光を発して大剣の賊が跡形も無く消えた。


 その光景を最後に、僕の意識は途絶えた。

本文で書くとテンポが悪くなるからここで裏設定書いちゃおうのコーナー第2弾!!(ドンドンパフパフ!)


 訓練した人達は探索者じゃなくても夜目が利きます。暗闇でも真昼のように見える人から、そこに何かがある位しか分からない人まで個人差(訓練、実践の差)があります。


 魔道具はダンジョンで見つかる事のある様々な効果を持つ道具です。魔力で動きます。


 リリスの言葉遣い、書いてて楽しい。

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