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生物は危機に瀕してやっと全力を出せる

 お久しぶりです。ここ暫く続きを書ける精神状態ではありませんでした。前回軽く伝えておくべきだったかもしれません。

 直前に確認したところ全部出なかった…泣いていいですか?

 モーブが踏み込んで距離を詰める。僕はバックステップで詰められた間合いを管理する。

 モーブの袈裟斬り。難なくナイフを使って受け流して反撃の態勢に移る。


「ラッ!」


 おわっ!


 間髪入れずにやや下からの突きが放たれる。一瞬で攻撃を中止して身を捩って躱す。

 僕は回避行動のままモーブの剣から一番遠い場所、左斜め後ろから蹴り放つ。


 これもダメか。


 体重の乗ってない蹴りはモーブの左腕で受け止められた。

 蹴りの反動を利用して再び大きな距離を置く。






―――――――――――――――――――――






『またもやモーブ選手の攻撃は届かない!』


「フゥー、フゥー」


「ハァ、ハァ」


 一進一退の攻防(ほぼ防)が15分ほど続いた。

 お互い、肩で息をしている。

 熱い2人に対して観客の熱は半ば冷め切っていた。それもその筈、当人達や一流の戦闘職にしか分からないような刹那の世界。観客の多くを占める一般市民からしたら動きの無い小手調べを延々と観ている気分である。


 ハァ、ハァ…観客が……退屈し始めている…。でも…僕の攻撃…効かない…どうしよう。


 観客によるヤジも見られてきた中、奇しくも2人の思考は一致していた。


 ((温存を考えずに倒す!))




 この試合で初めて自分から攻撃を仕掛ける。

 動き出しが遅れた事を認識したモーブは直ぐさまカウンターの構えを取った。


 (カウンターで動き出した所を狩る!)


 剣のリーチの分、僅かに早く僕がモーブの間合いに入る。

 完璧に合わされた剣。僕は咄嗟に地面に身体を寄せる。

 踏み込みのスピードを活かして腹で地面を滑り、モーブの剣を避け、そのまま間合いの外へ滑り出る。


 (あっぶな〜〜〜〜!咄嗟に避けられた!これ僕から仕掛けちゃいけないやつじゃん!)


「クソッ!」


 勝負が決まってもおかしくない斬撃を避けられた悔しさを抑えきれずに地面を蹴るモーブ。


「こっちは金払ってんだぞ!」


「エドワード、逃げんな!」


「モーブはさっさと決めろ!」


 似た光景を何度も見せられ続けて限界に達した観客席から声が一つ、また一つと聞こえる。

 始めは少なかった声はすぐに大きなブーイングへと変わっていった。


『あーっと、観客からブーイング!これはすぐにでも決めるしかないか?』


 そんなこと言われても困ります。僕も勝たないとなんで。


 意識が一瞬観客に向いた瞬間、モーブが目の前に来ていた。


「まずい!」


 下から斬り上げる軌道の剣が見えた時には避ける事は不可能。咄嗟に全力で距離をさらに詰めながらナイフで受けた。


 ゴン!


 額に鈍い痛みが走る。


 気がついた時には僕はモーブの身体の上で倒れていた。


 頭が揺れる感覚がある為、ゆっくりと身体を起こす。


「モーブ・ボーム戦闘不能。エドワード・クレイの勝利!」


『決まった〜!優勝候補対決は新人のエドワード・クレイの勝利〜!』


『ワァァァァ!』


 歓声や指笛がスタジアム内を木霊する。


 なんか勝ったけど何が起こったの!?僕何した?まあ良いや、後で聞こ。

 今は勝者っぽくしておこう。


 僕は両手を高々と突き上げた。

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