《嵐刀》カイル・アキリー
ギルガルドをZAのバトルシステムでは使いづらいと感じた為、泣く泣くリリースしました。
デトクリ蠍との戦闘中のカイルの動きは僕の目で追えない。
魔法を至近距離で放つが、デトクリ蠍の鋏で防がれる。
刀での斬撃も、鋏で防がれる。
デトクリ蠍は四つある鋏の内、一つを常にカイルの攻撃からの盾として、他の二つは攻撃に、残りの一つは攻守に使っている。
「あれ結構硬そうね」
「至近距離からのカイルの魔法をあれだけ耐えられるのは中々居ないよね」
「理由、岩、食べた、多分」
中々崩さずに苦戦するカイルを横目に他の三人が冷静(?)に分析している。
「カイル、大丈夫ですか?苦戦しているみたいですが」
「まぁ〜大丈夫でしょ。少し相性が悪いだけだから」
「危なかったら私達も行くし」
*
「クソッ、硬ぇ」
戦闘の最中、独り言の様に呟いた言葉は轟音でかき消されていく。
デトクリ蠍の顔を目掛けて放った岩の弾が即座に鋏で弾かれる。弾が鋏に当たった音と同時に大きい鋏が上から振り下ろされ、尾から毒が後方に噴射される。
毒で逃げ道を塞いだのか。中々賢い脳みそ持ってんのか、煩わしい。
距離を詰め、懐に入り、刀を払うも硬い装甲に弾かれる。
こいつ、俺との相性悪ぃな。
《嵐刀》カイル・アキリーは嵐の如き激しい戦闘スタイルから名付けられた。
嘗て、後衛で魔術師をしていた俺は魔法のコントロール能力が皆無だ。
威力を落とす、速度を落とす、詠唱をする。全てを試したが、ノーコンの強い魔法がノーコンで弱い魔法になるだけだった。
だから、コントロールを捨て、構築速度、魔法威力、魔法速度を伸ばした。
高い魔力量を活かし、魔法範囲を大きくする。標的との距離を縮める事でコントロールの問題を解決させた。
前線で刀を払いながら魔法を放つスタイルは、元々後衛ながら動くことはできた為、直ぐに才覚を表し、二つ名を貰った。
しかし、コイツはウザイ。
攻撃自体は大したことは無い。負ける事もない。
毒もこの程度ならリリスの毒よりは大丈夫だろう。
只々硬い。その一言に尽きる。
俺は黄蛇の蟻穴の様な狭いダンジョン、硬いモンスターには決定打に欠ける。
もし、広いダンジョンや屋外での魔物との戦闘ならば取れる策は幾らでもある。
狭い為、範囲が小さく、強い魔法を撃つ必要があるが、範囲を小さくすると威力も全力よりは劣る。
俺はエンリカの様に何でも斬れる訳では無い、ランディみたいに確実に弱点に強い魔法をコントロールできる訳でも無い。
確実に耐久は削れてはいるが、削り切るのにどれだけ掛かるか。
そして、少し戦闘から離れた影響か、腕も少し落ちてる。
「畜生!交代!頼む!」
しょうがねぇ、譲るか。面倒くせぇし。
エンリカは動き足りて無いから嬉々として斬りかかるだろう。エンリカとは相性良さそうだし。
でもやっぱ悔しいな。
これはまた集中して訓練しないとな。
「えっ?良いの?ランディも良いわよね!」
「良いよ、その代わり蛇側にいるボスは僕優先ね」
入れ替わりでエンリカが戦闘を始めた。
明日はほぼ100%投稿できます。




