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交渉とは言葉の闘いなのである

 街の城壁へと近づき、街へと入るために門番へギルド証を見せる。


悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンドの方々ですか」


 僕は見逃さなかった。門番の顔が少しだが引き攣ったのを。


 悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンドの名はこの離れたウオプの街まで轟いているようだ。

 どっちの意味でかは知らないが。というか知りたくない。


 ランディも門番が顔を引き攣っている事に気付いているだろうが微塵も気にせず尋ねた。


「指名手配を捕まえたからトップと話したいけど大丈夫?」


 僕は大丈夫じゃないです。そもそもトップとなんか話したく無いのですけど…






―――――――――――――――――――――






「《一切操造(いっさいそうぞう)》ランディ殿、《剣姫(けんき)》エンリカ殿、《嵐刀(らんとう)》カイル殿、《水色の悪魔(スカイデビル)》リリス殿、そして……………エドワード殿、この度は盗賊グループ『ゾーク・トーウ』の捕縛、感謝する」


 (すいません。僕だけ二つ名無くて微妙な雰囲気にして。まだまだ新人なんですよ)


 警備隊の制服をきちっと着こなした中年の男性に頭を下げられる。


 やはりというか、悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンドの力量は新人の目でも一流探索者だと感じていたが、全員が二つ名持ちの実力者だったのか。


 二つ名とは、実力のある探索者のみに付けられる。高ランクパーティでも全員が持っているパーティは王都でもなかなかいないだろう。


「言葉の御礼(おれい)はいいですよ、それで指名手配確保の報酬の話なんだけどね」


 ランディが素早く本題へと進める。


「はい、手配書通りあの者十人の懸賞金合わせて1億ネイお出しします」


「いや、10億ネイ欲しいな」


 ランディが圧を纏った笑顔で返す。


「えっ、何と…」


「報奨金、10億ネイ頂戴って言ったよ」


 警備隊の男は瞠目し、唖然としている。


 うん、僕でもそうなる。もう既になっているかもしれない。

 だって10倍ですよ。いくら何でもふっかけすぎると思う。僕としては貰えるのは嬉しいが、適正の10倍の額を貰う勇気はない。


「一つ目、僕達は危険を冒して拘束した。二つ目、相手はCランクでも厳しい戦いになる相手だった。三つ目、もし、僕達が拘束出来なかった場合、間違いなく被害が大きくなっていただろう。四つ目、これほどの盗賊団を相手する場合、費用は大きくなるだろう。

 以上の四つの事から僕達、悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンドは10億ネイ要求する」


 ランディが10億ネイを要求する根拠を真っ直ぐな目で語り始めた。


 ちょっと一つ言いたいけど10億ネイを要求する一員に僕を勝手に入れないでほしい。


「確かに、一理ある。しかし、10億ネイは些か多いのではないか」


 男性が絞り出すように返答する。


 あ、この人、交渉で負けたな。悪魔の聖騎士パラディンオブフィーンド相手(特にランディとリリス)に隙を見せるとどんどん突いてくる。こういう人達相手では隙を見せずに強い態度を取らないと。


 僕だったら最初のランディの笑顔で譲っていたけど。


「それなら8億はどう?これ以上は譲れないね」


 厳しさと呆れが半分づつの表情を見せるランディ。

 男性は要求に対して少しの間顎に手を当てた後に悔しさを交えながら重々しく口を開く。


「…よし分かった。報奨金は8億にしよう」


 ランディは一度高い金額を提示、受け入れられたらそれで良し。拒否されても少し安い金額を提示する事で承諾しやすくなる譲歩的要請法を使っていた。

 ランディ達、これは交渉に慣れてる。聞いた感じギルドの偉い人にしょっちゅう呼び出せれていそうだし話し合いが上手くなるのかな?


 複雑な表情の男性とは対照的に、満足げな表情の四人と一緒に僕は部屋を去った。

 多分明日は遂に14話ですよ!

 14は海万(うみよろず)が一番好きな数字です!

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