画像生成AIへの所感 その1:創作の焦点
2026年9月
今回は少しセンシティブな話題ですが、一応僕も属している創作イラスト界隈において、延々と騒動を起こしまくっている画像生成AIについて思うところを書きます。
【阿鼻叫喚なんすよ】
イラストを描かない人はピンと来ないと思うので、画像生成AIとは何か、どんな問題が起きているのか、騒動の概要をさらっと説明したいと思います。
画像生成AIとはパソコンに向かって「こんな感じの絵描いて」と言ったらそんな感じの絵を出力してくれる魔法のツールです。
しかもこれが場合によっては何時間も丹精込めて手描きしたもののクオリティーを軽々越えてくるような見栄えだったりしてて、激震が走りまくっています。
もう絵を描くのをやめてそっちに転向する人もいれば、逆にAI使用を頑なに否定して糾弾活動に勤しむ方や、その狭間で揺れ動く人たちで大荒れです。
僕はTwitterをやってるんですけど、イラストを描いて載せる関係で相互フォロワーさんも絵描きの方が多いです。
もうかれこれ数年はタイムラインがAI関係で燃え続けています。
【承認欲求と過剰正義と誹謗中傷のるつぼ】
炎上の内容は絵描きの方々のプライドに関わることだったり、イラストレーターへの案件依頼の減少だったり、著作権侵害関係だったりと様々なんですが、中には本当にしょうもないものもあります。
例えば、AIで出力した絵を「私が手描きしました!」と偽って賞賛を得ようとする承認欲求モンスターが不定期で出没したりします。
AIって一見すると煌びやかで緻密でとても完成度の高いイラストを作るので、パッと目に留まりやすいんですよね。
でもその手のものを見慣れてる人や実際に絵を描く人から見ると、なんとなくAIっぽいな……という特徴や描画の破綻に気付けるようになるんです。
それで嘘を見破ってモンスターを追い詰める人とかが現れたりして、燃えるんですね。
ただ、それが行き過ぎると今度は本物の手描き絵をAIだと疑い始めて、そこから泥沼の潔白証明合戦が勃発します(死)。
その絵が手描きだと証明する方法にタイムラプスというものがあります。
お絵かきソフトの画面を映して、描き始めから完成までの工程をすべて録画した動画をアップするんです。
最近の僕のタイムラインはこの手の動画まみれですよ。
ただこれについても、近年タイムラプスふうの動画をAIが生成できるようになってしまって、さらに混沌を極めています。
そういうイタチごっこを見てると、我々はどこへ向かっているんだろうと思いますよね。
【冷めて見てる】
上述した例と比べるとちょっと笑えないくらい深刻な話になっちゃうんですけど、AIは著作権的な範疇でも重大な問題を抱えています。
法整備とかの諸々が追いついてないために、モラルの無い利用方法によってとんでもない事件が多発してるんですね。
例えば誰かの描いた既存絵を無断でAIに取り込んでアレンジしてもらって、それを自分の作品だと称して世に出してしまったり。
誰でも気軽に使えるが故、悪気なくやってしまうケースもあるのでしょうが、悪用された側にとってはとても悲しいし悔しいでしょうね。
ということを他人事みたいに言ってみたんですけど、正直なところこの手の炎上騒動において、僕は完全に蚊帳の外でドン引きしながら眺めてるという立ち位置にいます。
当事者意識はないです。
他のイラストレーターさんが見せる狂気じみた怒りや焦燥を感じることはほぼありません。
この熱量の差ってなんなんだろうと前々から思ってたんですが、今回ちょっと真面目に考察してみることにしました。
まず思いついたのが、僕の絵はクセがありすぎて万人受けしないので、第三者にAI利用されるリスクも低いだろうという点です。
なんというか、AIに使われる絵柄って(現時点では)かなり限定的なんですよね。
だから、言ってしまえば平和ボケしてるんです。
実際に被害受けなさそうなので怖くもないということ。
と思ったんですけど、単にそれだけでもない気がしてさらに考えてみました。
それで行き着いたのが、各々が創作活動に求めるものとそれによる意識の違いというものでした。
【何のために絵を描くのか】
イラストレーターさんたちは、彼らの描いた1枚の絵自体が完結した作品になるわけで、そこにアイデンティティーのすべてが詰められてます。
だからパクられたりAI疑惑を掛けられると根本が揺らぐことになるんです。
黙っていられるはずがないですよね。
じゃあ僕は違うんかというと、違うんです。
僕は小説もマンガもゲーム製作もどきもするんですけど、そのどれにも共通して「物語を創りたい」というのが根本にあるんです。
物語を表現する媒体にいろいろなものがあって、その素材に使う目的で絵を描いてるだけなんです。
例えば小説の登場人物の絵をひとつ描いたとして、僕はそれを挿絵として要所ごとに何度でも挿入します。
場合によっては背景や文字を入れ替えてアレンジもします。
まさしく素材として使い回してるわけです。
↑キャラ紹介に使用
↑エピソードの紹介に使用
↑読者からいただいた感想の紹介に使用
物語に使うことを前提にしてるので、描いて終わりではなく、むしろ描いてからが始まりという感覚。
そして物語が続く限りはそのイラストとの付き合いも続いていくし、完結しても読み返すたびに再会できます。
ここが世のイラストレーターさんたちとの決定的な違い。
仮にAIにイラストを侵されたとしたら、そりゃ悲しいでしょうけど、その深層にある物語までは侵されないとも思えるんです。
実際に被害がないので机上の空論ですけど、少なくともそれで今は心穏やかに傍観してます。
イラストレーターさんたちの放つギラついたパッションが僕に不足しているわけは、こういうところだったんでしょうね。
※冒頭で僕はイラスト界隈に属してるとかのたまってたんですけど、たぶん違うかもしれないですねこれ。
改めて、僕という存在が創作勢の領域のどこらへんに位置しているのか不明瞭になりました。
【続きます】
僕の周囲ではAIが悪だ! という風潮が強すぎて感覚がマヒしているところもあるんですけど、本来AIって人間が利用する道具じゃないですか。
様々な問題はあれどそれは一旦置いて、もっと強かな視点で、AIを利用することで自分の創作活動をどんなふうに豊かにできるだろうかということも考えて良いんじゃないかと思うんです。
みたいな話を次回に続けていきたいと思います。




