『春の定義は』 その1:作品紹介
2023年3月
約1年かけて連載した『春の定義は』という小説が先日無事に完結しました!
めでたい! 嬉しい!
ということで今回はこの作品に関する裏話なんかを僕の自己満足感に従って思うままに書き殴りたいと思います。
※ネタバレあります。
ありますけど未読の方も是非このまま下にスクロールしてみてください!
「いつか読むかもしれないから……」と保留して、そのまま機を逸して埋もれてしまうくらいだったら、ここで概要だけでも知ってもらいたいというのが作者としての本音です。
どうなんでしょうね。
そもそも、このエッセイを読む方と『春の定義は』を読む方の層って必ずしも一致しないんじゃないかな、と僕は疑っています。
なのでエッセイを好んでくださってる方にはそのまま、「この男はこういうこと考えてんだ、こういう活動してんだ」という読み方をしてもらえたらと思います。
(もちろん、これを機に『春の定義は』に興味を持ってくださったらそれ以上に嬉しいことはないです)
そんな視点で、作品紹介というより作者の思考回路紹介という感覚でどうぞ。
【あらすじ】
大学に入学した花帆は同学年の名都と出会い、すぐに意気投合する。
その後なんやかんやあって名都が失踪してしまう。
花帆は傷心し、周囲との関係を閉ざしたまま2年生に進級する。
そこで新入生の眞輔という男子生徒と出会う。
彼との関りの中で徐々に傷を癒し、過去の出来事と向き合おうとする。
という内容です。
わかりやすく時系列で書きましたが、物語自体は主人公・花帆が2年生に進級した直後の春から始まります。
眞輔という男の子と出会って惹かれていくというストーリーの中の端々に、親友・名都との思い出が回想として差し込まれる、といった形で進行します。
ジャンルはモラトリアム系の青春+サスペンスな感じです。
タイトルのイラスト。いつもと雰囲気変えて描いてみました。
この投稿サイトでも公開しています!
【構成】
本作では章構成を少し凝っています。
おおむね1年間の話になるんですが、これを12の月に分けてそれぞれ章にしています。
つまり最初が『4月の章』で、次が『5月の章』、順番に進んで最終章が『3月の章』になります。
我ながらすごく安直ですね!
ちなみに2022年の4月から投稿を初めて、実際にひと月に1章ずつ更新していくという謎なこだわりプレイをしていました。
そんな感じでつい先日(2023年3月)に晴れて完結となりました。
本筋については上でも少し触れましたが、『眞輔と過ごす今年の1年』が進んでいく中で、同時に『名都と過ごした去年の1年』も回想シーンとして段階的に見せていくという形式になっています。
ちょっと言葉で表そうとするとややこしいですね。
具体的にいうと、主人公は物語の初っ端ではドン底の精神状態でスタートします。
頑なに周囲を断絶して、去年の春に名都と大学生活を謳歌していた思い出ばかりを懐かしんでいる。
でも今は隣にその親友がおらず、どうやら何かがあったらしいな? という匂わせがあります。
そんな中で眞輔という男の子と出会い、彼との交流が今はなき親友に代わって心の穴を埋めていく感覚を覚える。
そんな青春劇調が春~夏の前半部分の雰囲気でしょうか。
章(月)が進むにつれて、思い出す名都との記憶に影が差し始めます。
歯車が狂いだし、やがて彼女が失踪するに至る事件の全貌が明らかになっていく。
そんな物苦しい回想に囚われながらも、主人公は現実で付き合っている眞輔や他の人々との関係、そして過去との折り合いにどう向き合っていくのだろうか。
そんなサスペンスっぽい流れが秋~冬の後半部分にあたります。
こうして書いてて改めて思うんですけど、本作はかなり対比構造を意識してますね。
眞輔と名都、今年と去年、そして1年の前半と後半。
2本軸のエピソードをうまく織り交ぜて陰陽のバランスを取るようにと心掛けていました。
大袈裟に書きましたけど、これって普通によくある構成じゃんって感じしますよね。
でも実のところ僕はめちゃくちゃ頭使ってました。
ヒーヒー言いながらプロット組み立ててました。
眞輔・名都の2つ分の話を起承転結で書き出して、場面ごとに細分して、「どの時点でどの伏線を入れなければいけないか」みたいなのをエクセルでまとめながら計算してましたよ。
物語を空想するのが好き、っていうだけじゃなくて、こういう能力もないと作品は書けないんだなってことを痛感した出来事でした。。
【制作歴の中での位置づけ】
冒頭で「無事に完結できました嬉しい」みたいなこと言っといてあれなんですけど、実は本作は3年ほど前に書き終わっていた作品でした。
それを微修正しながら上げてっただけなので、無事もクソもないんですね(めんご)。
以下に詳しい経緯を書いていこうと思います。
僕は物心ついたころから創作が趣味だったんですけど、その表現媒体についてはすごく歪な歴史を積んでいます。
マンガに挑戦して挫折し、小説に挑戦して挫折し、フリーゲームを作ろうとして挫折し、一周してまたマンガに……。
みたいに挫折ループを繰り返してました。
ひとつの物語を始まりから終わりまで作りきるのって、大変。
最終的に10年ほど前にパワーポイントというPCソフトを活用した紙芝居アニメーションの制作方法に行き着きました。
そこからやっと完結作品をいくつか捻出できるようになって、良い意味で転機になりました。
ただいろんな制約があって、パワポで作ったものは公の場に晒すことができません。
やっぱり自分の作品を誰かに見せて感想をもらいたい、みたいな欲は心のどこかにずっとあったんでしょうね。
それで2019年にですね、再び小説にチャレンジすることにしました。
という感じで、本作は久々に小説というジャンルに臨んで、かつ初めてラストまで書ききったお話になります。
1年かけて書き、2020年の公募に応募しました。
当時(今も)小説界隈のこととか全然詳しくなくて、検索して一番有名そうだった集英社の小説すばる新人賞というのに出しました。
結果は1次審査も通りませんでした(惨)。
それで才能が無いのはわかったんですけど、それと同時に、面白いかどうかは別として「俺って書けるんじゃん」という自信を持つことはできたんですね。
小説も趣味にできるじゃん。
それを踏まえて翌年の2021年から『ゴブリンガール』を引っ提げてネット小説界に乗り込んできたというのが一連の流れになります。
そこでさらに手応えを掴んで、じゃあ過去作のこれもネットに上げちゃおうかな、という考えに至ったわけですね。
話が繋がりましたね~!
【終わりに】
まだまだ語り足りないので、その2に続こうと思います。
次回は本作を作ることになった動機とかきっかけとかについて語りたいと思います!
つ・づ・く