創作活動の変遷 その3:パワーポイント紙芝居
2026年3月
【群像劇×ロボット】
前回のお話で、多視点の物語を同時進行させていく群像劇という手法にのめり込んだという話をしました。
大学生に上がる頃、この群像劇を取り入れた形で元来好きだったロボットものの作品を作り始めました。
「アネクメーネ」というタイトルで、結局未完で終わっちゃったんですが、
自分の懸けるロボット愛をすべて詰め込もう、をコンセプトにしていまして、構想・製作期間が大学時代を丸々含んで5~6年くらい。
イメージ換算ですがテレビアニメ50話分くらいのボリュームで、現時点で人生最大規模の超大作です。
あらすじとしては、圧政を敷く帝国軍に各地で抵抗運動するゲリラたちとの諍いの中で、6機の同型機とそれに乗る6人のパイロットたちの辿る運命を描く群像劇になります。
とあるゲリラが秘密裏に開発していた新型ロボットは6つの同型機からなり、各々が特別なシンクロ機構で繋がっていて、戦場で感覚を通じた連携を取ることができました。
でも手違いがあり、内の3機が帝国軍に奪われてしまいます。
主人公はそれぞれの機体に乗る6人の男女で、戦いの中で信念が揺らいだり、世界情勢が変化したり、その過程で時に寝返ったり、時に一線から退いたり、目まぐるしく立ち位置が変化していきます。
本来は6機で連携を取るはずだったシステムが、敵味方に分かれることで互いを認知し、殺し合うためのシステムに変わってしまったという皮肉。
そうしたすれ違いを経て佳境では6人が和解し、最終決戦で同型機たちの持つ潜在力を発揮させようと奮闘します。
大まかな構想は頭の中に出来上がっていたんですが、これを媒体に書き出すのに苦労しました。
マンガや小説にチャレンジしましたが、あまりにも話が膨大なため挫折を繰り返しました。
そんな折、ノートパソコンを買い替えたことで転機が訪れます。
パワーポイントというプレゼン用ソフトが標準搭載されてたんですよね。
大学の授業でもちらっと触ったことがあったんですけど、
「これ上手く使えばノベルゲームふうの紙芝居アニメーションを作れるんじゃね……?」
と気付いたんです。
やってみたらそれらしいのが作れました。
革命でした。
後述しますが、その後僕は自称パワポ職人として自らの創作活動の形態を大きく変えていくことになります。
ちなみに本作「アネクメーネ」はパワポによる紙芝居作品として全構想の2/3くらいまでは視覚化できました。
でも製作期間が長期にわたった弊害か、後付け設定やらなんやらで整合性が取れなくなっていき、最終的には完結にまで行き着くことができませんでした。
ボリュームもさることながら、大学時代という青春真っ盛りの時期に一心に愛を注ぎ続けた作品というのもあり、未完成のものの僕の半生における代表作的な位置づけにあります。
【自称(笑)パワポ職人】
パワーポイント知ってますか?
エクセルなどでお馴染みのOffice製アプリのひとつで、プレゼンテーションに使う資料作りに特化したソフトです。
四角い枠に文字やイラスト、図表などを配置して簡単に資料を作れるほか、それをスライドショーとしてパソコン画面に投影すればそのままプレゼンできます。
これを良い感じに工夫すると、なんちゃってノベルゲームみたいなものが作成できるんです。
背景、キャラ絵、吹き出し、セリフ文字の順に重ねて置いたものをテンプレとして、キャラ絵とセリフを差し替えたページを複数用意してスライドショーにすると、クリックするたびに会話が進行するような演出になります。
効果音やBGMを付けたり、絵にちょっとした動きを加えることも可能です。
脳内のイメージをほぼそのまま再現でき、素材さえ揃っていればサクサク物語を書き進められる。
マンガを描くなら必要になるコマ割りやら背景描画やら吹き出し位置の調整やらの辛い作業を大幅カットできるので、劇的に負担減りましたよ。
お絵かきは好きでもマンガを描くほどの根性は無い、という半端者だった僕にとって、この手軽さで作品を視覚化できるというのは本当に革新でした。
↑この作品は大学時代に作ったもので、完結させたパワポ紙芝居作品として記念すべき1作目になります。
タイトルは「Highway50」といいまして、登場人物は2人のみ。
全編がドライブ中の車内の会話で成り立つというワンシチュエーションものです。
ジャンルはサイコサスペンス。
男が大嵐の夜に車を運転中、峠道で女を轢きかけるという出だしで始まり、2人は約2日間にわたるアメリカ中部横断の旅を共にすることになります。
男女は各々が秘めたる過去を背負っており、そのエピソードを少しずつ語り合っていくのですが、やがて予想もしなかった共通点を見出すことになり……。みたいな感じ。
紙芝居アニメとして連続再生すると小一時間くらいで終わる短編作品です。
製作期間はストーリーの構想も含めてわずか2週間。
もうほんと勢いだけで作ったので粗削りもいいとこなんですが、本作は雰囲気が抜群に良いんですよね。
男女が小出しに秘密を打ち明け合い、次第に点どうしが結びついていく、みたいな展開は僕の好みドンピシャです。
洋画でよく見かけるダイナー(アメリカンな喫茶)やモーテル(アメリカンな安宿)なんかもシーンに取り入れたり、好きな懐メロ洋楽もたくさんBGMに使っています。
好きが詰め込まれた思い出の一作です。
冒頭こそホラーチックですが後半は傷ついた男女の再生の物語になっていて、めっちゃキモい話ですけど僕はこの作品を見返すたびにラストで涙流してます。
話変わりますが、以前までは僕の描く主人公って爽やかな青少年系が定番だったんですけど、本作くらいを境にして渋めの中年男性系に変わっていきました。
洋画や海外ドラマの影響だったり、自分の年齢が上がったことによる嗜好の変化なんかが読み取れて面白いですね。
【続きます】
僕の創作活動の場として長きに渡り基盤となるパワポ紙芝居製作の黎明期について語りました。
次回以降も手掛けたパワポ作品を中心に紹介しながら、作品に対する趣向の変遷についてお話したいと思います。




