『頭セレブレーション』 その2:主役2人を掘り下げる
2022年4月
前回の続きでマンガ「頭ン中セレブレーション」についてつらつらと語りたいと思います。
【ラブコメってこれでいいのか】
キラキラした美男美女がキャッキャウフフして、読者が胸トゥンクさせるのがラブコメだと思います。
そのトキメキ要素のひとつに『じれったさ』っていうのがあると思うんですよね。
「恋愛の過程で一番楽しいのはお付き合いするまで」という通説があるじゃないですか。
2人はちゃんと結ばれるんか? みたいなハラハラドキドキ感が上乗せされてめっちゃ興奮するじゃないですか。
それにならって、僕のお話でも2人は簡単にくっつかないようにしたいなあ~。
というので色々考えて思いついたのが「性癖異常」というパワーワードだったんです。
詳しくは後述しますが、物語の主人公・結衣子と拓司は恋人を作りたいわけではなく、色欲対象を遠くからウォッチングするだけで事足りる! というタイプのこじらせ男女です。
「この設定なら友達以上恋人未満の関係をいつまでも引っ張れるじゃん!」
「話を進展させずに胸キュン要素詰めれるだけ詰め込めんじゃん!」
って思いました。
代わりにハッピーエンドもないのですが。
たぶんこれがちゃんとしたラブストーリーなら障害を乗り越えたり重めの展開に移行したりするんでしょうけど、
コメディだし、まあこれでいっか!(いいのか?)
【ヒロイン・結衣子】
結衣子の設定は重度の腐女子です。
男同士の絡みでしか興奮できないタチなので、拓司に対しても女である自分が何かしらのアクションをしようとは考えてすらいない感覚です。
これはすごくシンプルでわかりやすいですよね。
ただ問題があって、僕自身があまりBLってジャンルに詳しくなくてですね。
ボーイズのラブに関して女性の抱く萌えポイントはどんなものなのか、勉強しなければと思っています。
なんかもう致命的な話になっちゃうんですけど、作者自身が感情移入できてないものを描いても読者が移入できるはずないじゃないですか。
これに関しては、真剣にやべえなと思っています。
(BLシーン描こうとしてもネタ方向のアッー! に行ってしまうんですよね…)
結衣子というキャラクターを成立させるためにも、少しでも多くのBL作品に触れてキュンキュンできる境地に達せねばと、急き立てられる想いです(僕はどこへ向かっているのか……?)
【ヒロインの相手役・拓司】
話ちょっと逸れるんですけど、物語におけるメインの女性キャラはヒロインって呼ぶじゃないですか。
それに対する男性キャラの呼び名って無くないですか?
ヒーローって呼ぶのもおかしいですもんね。
僕は割と主人公が女性の話を書くことが多いんですけど、その恋人役のことを呼ぶのにいつも困っています。
……それで、拓司の話しますね。
拓司は2つの性指向を持ってます。
ひとつはバイで、いわゆる両性愛ですね。
もうひとつが聞き慣れないと思うのですが、リスセクシャルというものです。
マンガ内で端的に説明してるんですが、「恋愛感情自体は抱くけど、自分は恋愛したくない。恋愛してる人たちを見てニマニマしてたい」というタイプのことです。
僕もこれ検索して出てきた言葉を使っちゃってるんですけど、こういう解釈で合ってるのでしょうか……?(間違ってたらごめんなさい)
この説明だとリスセクシャルに至る原因(過程)が結構多岐に渡りそうなんですよね。
拓司の場合は先天的にバイというのがあって、それに自己肯定感の低さが相まって発現した、みたいな、後天的なパターンです。
セクシャルマイノリティって生まれ持ったものを呼ぶイメージだったんですけど、後天的なものも含めちゃっていいのかな。
なんだか小難しい話になってきた感がありますけど、簡単に言っちゃえば
「もう恋なんてしない症候群」、「どうせ俺が恋したところで症候群」が最果てまでいって開き直りからの悟り開いちゃってる系です。
いろいろ吹っ切れて傍観する立場に落ち着いてるんですね。
こじれ具合があまりにもひどい!(泣)
でも共感してくれる人割と多いんじゃないかな、と思ったりしています。
Twitterでも
「面白い恋愛観」
「滅多にないはずなのに不思議にリアル」
「分らんでもない説得力」
などなどコメントいただいています。
というか、たぶんこれ、僕もリスセクシャルですね(爆)自己肯定感皆無です。。
そんなこんなで拓司というキャラにはすごく感情移入しています。
なんかもう、拓司というキャラを捻出できただけでこのマンガ描いた意義あったなってくらい満足してます。
~つづく~