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サンタイルさんはそう言うと、裏側が羊の毛で出来た様な白いロングコートを着て出掛けてしまった。僕はクリスマスプレゼントの仕分け作業を進める。程なくしてカランカランと玄関のベルが鳴った。
「サンタイルさんかクリストフくんは居るかーい?」
ジョージおじさんかな!?
「はーい」
急いでお風呂場の横の狭い廊下を歩いてから玄関に向かう。赤い髪の無精髭を生やした30歳くらいに見える男の人が立っていた。想像よりもぐんと若い。この島は平均年齢が低いぞ。苦笑いをしてしまう。
「君はもしかして今度セントジョーンズ島に来てくれたクリストフくんかい?」
「そうです」
もう、その名前にも慣れた。
「今日はね、サンタイルさんに頼まれた食材を持って来たんだ。トラックに入っているよ。今持って来る」
「あ、手伝いましょうか?」
「いいや、少ない量だから大丈夫だよ」
僕は戸棚からお金を持って来ようと思った。その時ジョージおじさんの後ろに小さい影が見えた。
「あれっ、アンジェリーナちゃん!」
僕は目を丸くして言った。
「うふふ、心配だったから来てみたの」
ジョージおじさんが振り返る。
「アンジェリーナ、学校はどうした?」
「今日は日曜日だよー」
日曜日なんだ!じゃあ、今日は8日かな。それにしても学校なんてあるんだ。僕は高校の勉強をしなくていいのだろうか。まあ、義務教育じゃないし、クリスマスプレゼントの仕分けの方が大事だ。