若返り
二人はお互いを見つめながら、朝食をとっていた。
あまりの不思議さにどうして良いのかわからないので、とりあえず朝食をとろうという事になった。
実は二人ともお腹が空いていたのだ。トーストを4枚と、卵が三つ入った目玉焼き、サラダにトマトジュースを2杯。
お互いモリモリと食べる。やっと一息が付き俊之は話し始める。
「本当に若返ったんだね。朝食をこんなにたくさん食べたのは久しぶりだ」
「私もたくさん食べたわ。だけどお腹は膨らんでないのよ。最近胃下垂気味だったから、少し食べてもお腹が出ていたのに」
「奇跡だな。何が起きたんだろう」
「きっとお稲荷さんが、願いを叶えてくれたのよ」
「なんて祈ったの」
「若く美しくなれますようにって祈ったの」
「ははは、愛子らしいな。しかし現実に若くなったのだから、そうかもしれないな」
二人は、これからの事を話し合った。
俊之と愛子は聡明なほうである。この不思議な現象が何故起きたのかは理解できないが、一時的なものかもしれないし、死にいたる病気なのかもしれないとも思っている。
ネットでも散々調べたが、自分の体だけが突然若返るなんて話は何処にもなかった。
散々考えたが何の結論もでない日々をすごす。
病院に行こうかとも考えたが、いろんな実験道具にされるのも嫌気がさす。
とりあえず、この部屋で様子を見ようという事になった。
しかし一週間経っても、二人は若いままだった。
さすがに仕事には行けず、その日の内に電話で連絡をして辞めた。
昼間は外出も避けマンションに閉じこもりっきりだ。食料は夜コンビニで買い物をする。
それ以外は、二人は抱き合って暮らしていた。なにせ20代の体力だ。精力がつきる事はない。さらに愛子は本当に美しかった。そんな愛子を見るたび、俊之は抱きしめる。
しかし、愛欲におぼれたままでは生活できないので、新しい街へ引っ越す。
そこで新しい仕事を探した。俊之の見た目は20代でも、これまでの経験と知識があり、技術的にも一流なのだ。次第にフリーカメラマンとして仕事が増えていった。
愛子もピアニストとして実力があり、テクニックは一流。その上に輝くほどの美貌だ。街を歩くたびに芸能スカウトがうるさく付きまとってくる。
自分の過去を知らないであろう小さな音楽事務所の扉をたたいた。愛子を見たとたんその事務所の社長は専属契約を哀願した。
しかし、お互い昔とは違い慎重に行動していく。
目立たぬ様に仕事をしていき、お互いの生活を大切にする。そんな控えめな生活を続けていった。




