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友達

 黒い髪に黒い瞳をしている、ムーディラ・ユウセイ、と言う名の男がいた。


 今日からユウセイはドゥガビス王国にあるカナルタ剣学校に通うことになった。


 そして今ユウセイは、カナルタ剣学校の黒い制服に身を包み、剣帯の左側に剣を吊るし、茶色のリュックサックを背負い、校門に一歩足を踏み入れた。


 そのまま校内を歩き、指定された教室、1のAの教室に足を踏み入れ、指定されていた後ろから2番目の1番左の窓側の席の前に着いた。


 机の左右には剣を置くことができるような構造になっていた。

 ユウセイはそこの右側に剣を置き、机にリュックサックを置いて席に着いた。


 もう人は結構いた。


 そのまま椅子に座って時を待っていると、右隣の席から音がした。

 ユウセイはその音に反応し、右隣を見た。

 そこには、金髪ボブで、綺麗な水色の瞳をしている制服姿の女子が、机の左側に鞄を掛けていた。


(か、可愛い)


 その女子は机の右側に剣を置き、椅子に座ろうとしていた。

 それを無意識のままに目で追うユウセイ。


 その女子は椅子に座って、ユウセイの方を見た。

 それに反応したユウセイはすぐに窓の方へ顔を向けた。

(やべ、変って思われたかな? てか可愛すぎんだろ。気になるな)

 それから状況が変わる事なく約8分が経った。


「皆さん、席に着いてください」

 前の扉から入ってきた先生らしき人が言った。


 立っていた生徒たちが席に座り始めた。


 その先生らしき人は、青髪で黒い瞳をしていて真っ白なスーツを着ていた。


 その先生らしき人は教壇に立ち、話し始めた。

「皆さん初めまして。私は、このクラスの担任を務める、チケセ・ニシダと申します。どうぞ、これからよろしくお願いいたします」


 ニシダはお辞儀をし、頭を上げた。


「それでは早速ですが、皆さんには自己紹介をしてもらいたいと思っています。ですが、自己紹介をしたくない方もいるでしょう。したくないならそう発言してもらっても構いません。1人約1分の持ち時間を与えるので、自由に自己紹介をしてください。ルニーさんから始まり、後ろに進み、横に進み、前に進む、という感じで、こう進んでやりましょう」

 ニシダは手で窓側の1番前の席に座っているルニーを指し、そのまま手を動かしながら説明した。


「それではルニーさんからどうぞ」

 ルニーは立ち、自己紹介を始めた。


(自己紹介…どうしよう。あの子はなんて言うかな?)

 ユウセイはチラッと右隣の気になっている子を見て、すぐに前を向いた。

(そうだ、ここで自己紹介して、アピールしよっかな。でも、うまくいく気しねぇ。まぁ自己紹介はしよう)


 3人目の自己紹介が終わり、ユウセイの番がきた。

 ユウセイは立った。

「アサチホ王国から来ました。ムーディラ・ユウセイと言います。強くなりたくてここに来ました。…よろしくお願いします」

 ユウセイは座った。

 拍手が起こった。

(やべーえ、なんも言えなかった、クソッ)


 自己紹介が進み、ユウセイの右隣の席の子の番になった。

 その子は立った。

 ユウセイはその子の事を見ていた。

「フーテラハ王国から来ました。シュメラ・スイハです。騎士になりたくて来ました。よろしくお願いします」

(へえー、騎士になりたいんだ。スイハ、可愛い名前。…あれ、俺ちょっときもいか? やべー)


 結局全員自己紹介をし、終わった。

「じゃあ今日は、皆さんの実力を見ますね」

 ニシダはそう言い、学校生活が始まった。




 ユウセイはスイハの事をずっと考えていたら、いつの間にか今日の全ての授業が終わり、今、終わりの会も終わった。

(やべぇ、スイハと喋ってすらいない。どうすればいいんだ……よし、決めた、話しかけてやる! やるぞ、俺は…)


 スイハは鞄に本を入れていた。


「…あ、あの、俺、この学校に友達いなくてよかったら友達になってくれないかな、隣の、席だしさ」

 ユウセイはドキドキしながらスイハを見て言った。


「いいよ、よろしくね。ユウセイくんだよね?」

(え、あ、え、あ、え、あ、え!? 名前覚えられてる…)

「う、うん、そうだよ。スイハって呼んで、いいかな?」

「うん。いいよ」

「あ、ありがとう」

「じゃあ、私帰るね。じゃあね」

 スイハは立ちながら言った。

「あ、じゃあね」

 スイハは鞄と剣を持って後ろの扉に歩いていった。

(ふぅ、緊張したぁー…てかありがとうってなんだよ。あそこでのありがとうは変だった気がする。やべぇ、でも友達になれた。よっしゃ!!これは嬉しい!)




 ユウセイは学校の寮へ入ることになったため、リュックサックを背負い、剣を持ち、教室を出て1年生の寮へと向かった。


 自室の前まで来たユウセイは、扉を開けて中に入った。


 部屋にはベッドと木製の机と椅子、クローゼット、窓にはグレーのカーテンが備え付けられていた。

「おー、いいじゃん」

(部屋確認オッケー、まだこの国全然知らないし、歩いてみるか)


 ユウセイは部屋にリュックサックを置き、リュックの中から財布を取り出し、ポッケに入れて外に出た。


 外には大勢の人々が行き交い、数多くの店やさまざまな施設が立ち並んでいた。

(改めて見てもすげ〜、さすが世界一大きな国だ)


 ユウセイが寮の自室へ戻った頃には日が沈みかけていた。

 ユウセイは財布をリュックの中に入れ、ベッドに飛び込んだ。

「ふっかふか〜、ベッドってこんな最高なんだ〜」


(よし、温泉行こうかな)


 ユウセイはベッドから降り、リュックサックから着替えとバスタオルとタオルを取り出し、寮の一階にある大浴場に向かった。




 更衣室には他の生徒もそこそこいた。服を脱いだユウセイは浴室の扉を開けると、広々とした浴場が広がっていた。


 ユウセイは髪と身体を洗ってから湯船に浸かった。


「お前すげーな!」

「バケモンかよ」


 湯船に浸かっていると、そんな声が聞こえてきた。

 ユウセイは声がする方に目を向けた。


 白髪の短髪で、綺麗な金色の瞳をしており、しっかり鍛えられている身体をしている男と、7人の男が話していた。


(白髪の短髪、この会話、まさかあいつが噂の魔能使い…)


 魔能とは膨大な魔力を使うことで使えると言われている能力だ。


 そんな魔能を使える奴が1のBにいると噂になっていた。


(魔能すげーな。しかもこの歳で。天才ってやつか)


 そんな事を考えていると、1人の男が近づいて来た。

「ねぇ、君アサチホ王国から来たんだって? 俺もなんだよ。友達になろーぜ!」

 その近づいて来た、少し長いオレンジ色の髪に、オレンジ色の瞳をした、もちろん鍛えられている身体をしている男が話しかけて来た。


「え、同じクラスだっけ?」

「そうだよぉお、まぁ俺はアサチホ王国から来たって言ってないんだけどね。話したい事たくさんあってさー、言うの忘れてたんだよー、やらかしたっ! って感じだよなー! でさ友達なろーよ。アサチホ王国から来たって聞いて友達になりたかったんだよ〜。お願い」


(なんだこいつ、めっちゃ喋るじゃん。まぁ友達作ることはいいことっぽいし、友達なるか)


「いいよ」

「マジで?! ありがと〜!! せっかく入学したんだからさ〜、友達作らないと損だよね!!」

「そ、そうだね。名前、何?」

「俺はスルト。ヌスミ・スルトってんだ。お前はユウセイだったよな?」

「うん」

「よろしくな」

「うん、よろしく。あのさ、聞きたいことあるんだけどいい?」

「ん?何?」

「俺、気になってる子がいるんだけど、どうすればいいかなって思って。俺こういうの分かんないんだよ」

「へ〜、それはもう告白でしょ!!」


 スルトの大きな声が浴場に響き渡り、その場にいた生徒たちの視線がスルトたちへと集まった。


「ちょおい、声でかいよ。もうちょい静かに喋って」

「あ、ごめん」

「てか、告白って急すぎない?! まだ関係値浅いんだよ」

「でもすぐ告白しないと取られるかもだぞ? てか付き合って互いを知ってくんじゃないの? 付き合うが始まりなんじゃないの?」

「た、たしかに、でも、急すぎて断られるかもだし、ハードル高いよ」

「そうか、でも動かないと始まらないだろ? 告白が嫌ならどこかに誘えば? 水族館とかさ、それ無理だったら恋は始まんないぜ」

「……そうだよね。分かった。勇気出して誘ってみるよ。ありがとう」

「当たり前だろ。友達なんだからな。また悩み事あったら気軽に相談してくれよな。のってやるからな」

「本当にありがとう」

(めっちゃ優しいじゃん! マジでありがとう。しゃっ、やるぞ)

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