第二章 調査
ミランダの通っているという大学に到着する。
その大学は、国内でもそれなりに学力の高い、いわゆる高偏差値校だった。
校舎はレンガの塀に包まれており、肝心の校舎は、まるで城のような、学校というよりは訓練場のような雰囲気があった。
「なかなかお堅いねぇ。こんなところで学が働くのか甚だ疑問だね」
エレナさんに従い、門の中をくぐっていく。すぐそばに、「サークル報せ」という掲示板があった。エレナさんと共にそれを眺める。
「青毛連盟については何も書かれてないねぇ。スポーツとかクイズとかだってさ。お、ミステリとかもあるよ」
エレナさんはミステリ好きでもある。さすが探偵。
「エレナさんは、昔大学で学んでいたんですか?」
「逆だね。教える方。そもそも座学は私に合わないね。ノートに書きかきするよりも、現地での経験を増す方が遥かに重要だよ。
でも座学も間違いなく重要だよ。だから君もモーダスポネンスを勉強するべきだね。君ならポンポン学んでいけるさ。モーダスポネンスだけに」
「......」
「なんだよ」
そんな軽口を叩き合っていると、「総合情報局」と書かれた看板が見えてくる。
「行ってみようか」
総合情報局と書かれた小さな部屋に入ると、中には何人かの職員がいた。
「ねぇ。こういう者なんだけど、ちょっといいかな?」
そう言って名刺を相手に渡す。聞き込みをする時にいつも思うが、敬語も使わず、いきなり高圧的に聞くという姿勢は、少し強引すぎやしないかと思う。
「探偵....」
名刺を渡された職員は、名刺に書かれた《《探偵》》の2文字を見て少し狼狽える。
「いやいや、何か怖いことがあったわけじゃなくてね。単なる人探しだよ」
「は、はぁ」
職員たちの意も介さずたたみかける。
「青毛連盟ってのを調べててね。どこに行けば会えるかな?」
「確か、非公認のサークルだと聞いたことがあります。非公認なので、詳しいことは分かりませんが......ただ、あまりよくない噂なら聞きますね。」
「どんな噂?」
「あくまで噂ですけどね。暴力がどうとか、盗みがどうとかとは聞いたことがあります」
エレナさんと俺は2人で顔を合わせる。面倒くさそうな香りがする。
「具体的な内容は何か聞かれたりするんですか?」
俺もエレナさんに負けじと質問した。
「いえ、本当に噂程度ですね」
「わかりました。いきなりにも関わらずありがとうございます」
そう言って、エレナさんと共に部屋を出る。
「もっと聞き込みをしなきゃだねぇこれは。二手に別れようか」
「二手...ですか?」
「効率的だろう?助手なんだからさ」
そういうと、エレナさんはどこかへ消えた。
仕方なく、聞き込みをする。
「すみませーん!私、探偵のものなんですけど、青毛連盟について...」
——分からないですね...
——なんか暴力とか聞くけどね
——青毛?そんなことよりさ、ウチのサークル入りません?
それなりの組に聞くが、まともな情報は一切入らない。どうなってるんだ青毛連盟とやらは。
——んん、まあ、知りませんね
——んな話どうでもいいよ。てか結構イケメンじゃん!今ちょうど合コン1人余ってて...
——知らんよ。そんなやばそうな連盟なんて
誰もまともに答えない。
疲れてベンチで休んでいると、エレナさんがやってきた。
「おお助手クン。久々の聞き込みで疲れたかい。いい情報は取れた?」
「ああ、エレナさん。何も収穫なしですよ。みんな、ウチのサークル入らない?とか、俺のとこのサークル楽しいよ!とかしか言ってきませんね」
「はぁぁぁぁ、本当に注意力が散漫なんだね助手クンは」
「え、えぇ?というと?」
「違和感を覚えないのかい?《《青毛連盟の話題を露骨に避けすぎている》》って」
「まあ、確かに言われれば...何か情報を掴んだんですか?」
「ああ、それも耳寄りのビッグ情報だね」
聞くところによると、青毛連盟とは、大学から離れた所にあるシェアハウスだそうだ。そもそもサークルですらない。なぜみんなそんな間違いをしているのだろうか。
ミリーさんも、娘さんからは住む場所が決まったとだけ言われ、具体的にどこに住むかは言われていなかったらしい。
だがそれでも、皆が話題を避けたがる理由は分からなかったのだそうだ。
「総務局に行ったら教えてくれたよ。青毛連盟さんの住所はコーデリア地区にあるらしい。ぜひ行ってみよう」
「分かりました...けど、住所なんて聞けるものなんですか?いくら探偵とは言っても...」
「普通は無理だろうねぇ。でも私ならいけるさ。コツは下手にならず、怯まないことだね」
強引なところの良さもあるのだろうか。
青毛連盟とやらに行くことにした。




