第1話水槽
「どうか、母さんを。」
「ヴィアを助けてください・・・」
同刻、北極と南極を拠点に
アイス家が世界を牛耳った瞬間だった。
◇
「せーのっ!」
ドサッ
「ロット、洗濯物ほしといてね!」
母さんがいつも通り、暖炉の前に運んできたようだ。
「分かってるよ!」
「あら、今日はごきげんね。」
「だって、今日は肉の日だ!」
いつも月に一度だけ、肉が食える!
「・・フフそうね。終わったらお布団!」
「げっ、人使いが荒いなぁ。」
雪に覆われた村だから、どこにも行けない。
この家で毎日スープを飲んで、家事を手伝って。
本を読んで、それだけですごく幸せだ!。
「僕も外に出てみたい」
「ダメよ、外は危ないもの。」
「ちぇ。。。」
いつのまにか、日が暮れて夜になった。
「母さん、村には、何があるの?」
「そうね、建物がいっぱいあって、人がいて」
「私たちみたいに、仲良く暮らしてるわ。」
「僕たち以外にも・・・、人がいるんだ」
「えぇ、白い雪が積もっていて、とっても冷たいの。」
「それは、知ってるよ!!!」
いいなぁ、いつか村に行ってみたいけど
母さんがいれば、それでいいや!
「僕、父さんの代わりになるんだ。母さんを守りたい。」
「物語の騎士みたいになりたい!。」
母さんがいつも読んでくれた本。
「・・フフ、ロットならきっと慣れるわ。」
「ねぇ、母さんのこと、ヴィアって呼んでいい?」
「ロットはおませさんなのね。」
◇
次の日、目覚めるとそこに母さんはいなかった。
「おかしいなぁ・・・」
母さんが昼になっても、帰ってこない。
いつも朝ごはんを作って起こし来るのに。
「言いつけ、破っちゃえ!」
ほんの出来心だった、母さんを探す理由にもなるし!
「わぁっ・・・・」
外はこんなにきれいなのか
これが太陽?まぶしくて前が見えなくなる。
「いっけね!、母さんを探さないと!」
「これが木、なんかわかんない物もいっぱいある!」
下に降りてみよう。
「すげー、家がいっぱい立ってる!!!」
初めて見た!めっちゃきれいじゃん!
「なんだろう、人が集まってる。」
何してるんだろう?
がやがや
「おい、どっから来た?ガキ」
「ガキって?僕の事?」
おじさんの後ろで人が
母さんが
「・・・・・・・・・」
今起きてる、光景が理解できない。
「うわぁあああっ・・・」
何か、何をしてるんだっ
母さんを助けないとっ!!!
「おい、まて。小僧」
別の奴に捕まってしまったっ・・・
はなせっ!
「ふんっ」
ゴス・・・
「こりゃ、ふくろだな」
「・・・・・・・・・・ぐっ」
「おい、ガキ。俺たちも悪じゃねえ。お前が謝れば許してやるよ。」
「・・・僕は、どうなってもいい・・・。」
「どうか、母さんを。」
「ヴィアを助けてください・・・」
「邪魔なガキだ、縛って川に捨てろ」
「なん、だよ・・・。」
再び殴られ、僕の意識が深く沈む。
ドボン。
がっ
ああ
あぅあっアガ
あああああああああああああああああああああああああああ
なんだっ!?
口に何か入ってる、石を詰められた。
苦しい、息ができない。
また、何かにぶつかった。
イタイ・・・
上も下もわからない。
苦しい・・・。苦しいよ・・・。
タスケテ・・・
「かっ・・・あさん・・・」
声にならない。
そうだ、もう一度戻るんだ、あきらめるな。
母さんの元へ・・・!
「!!」
足に、何か巻き付いてる・・・!
こいつを外す!!!
ぐっが、硬いっ・・・!!!
「なっ・・・」
生まれて初めて下りた先で見た、地獄が終わらない。
なにかっ、足に。
ヴィアの髪が巻き付いてる。
っうあ
いつからだ。一緒に捨てられたのか!?
水中では、もがくだけ声にならない。
ゴン、と鈍い音が身体中に響いた。
1年後
(ここは...なんて暗い世界なんだ。)
ゴポッ...
(意識が戻ってから、何も見えず。微かに人の声だけが伝わる。)
耳は聞こえない、目も見えない。
しかし水中にもかかわらず、確かに声を聞いていた。
俺は誰だ、ここはどこだ。
3年後
徐々に目が慣れてきた、だが見えないフリをしている。
その理由が・・・俺は、研究所とやらに捕まったらしい。
「ケケケ・・・」
「ついに、完成した!!!まだ、不安定だが人に使える!!!」
男は後ろに控えている部下に目くばせする。
「・・・承知しました。」
また声が増えたようだ。
「ハハハ!!!完成祝いだ、気分がいい。貴様にはそうだな!!!」
一人の男は豪快に答える。
「最高の名前をくれてやろう!!!」
「モルグだ!!!」
「ハハハ!!!どうせ聞こえないだろうがな!!!実験動物に相応しい名だ」
こいつらは、嫌な奴らだ。
5年後
「今日、リカバリーを使え!!!」
リカバリーってのは、こいつらが作った薬のことだ。
「アイツにかい・・・。」
老婆は尋ねる。
「俺にだ」
こいつらは、ずっと俺を使った研究をしてやがった!。
おかげでずいぶん、身体が動くようになった。
もうここには、いたくない。
「ん・・・?なんだ今」
ググッ
背伸びをする。
「おい、動いたぞ!モルグが!!!」
手に力を籠める。初めてなのに、自然と身体が動く。
構えて、そして、弾く!!!
バリン!!!
盛大な音と共に、一気に水槽が壊れる。
「今まで世話になったな」
「お前らは、俺をおもちゃにした。」
「そんな、バカな・・・!!!」
ゴキッ
近くにいた研究員たちが逃げ出したようだ。
「主犯はこいつだ、あとはどうでもいい。」
(そうだ、全て思い出した。俺は...ロット)
____母さんを
「ヴィアを見つけ出す。」




