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幻想創造(ファンタジー・クリエイション)  作者: ナカゼロ
第一章 願いと異世界と幻想創造
9/18

EP6 戦い終わって・・・


「・・・・・・・・」


あ――・・・・・この状況どうしよう?


今俺の目の前には、傷だらけになった少女、いや正確には先程まで戦っていた銀狼が倒れている。


改めて確認すると、肩まである銀色の髪とお尻に小さい尾が特徴の少女だ。


ただ・・・・・・



「眼のやり場が・・・・・困るな。」



その姿が全裸でなければなおさらよかったのだが・・・


「とはいえ・・・・このままじゃ良くないよな・・・」


そう考えた俺は、少女に近づいて容体を確認した。

見る限り、胸が上下しているのを見ると、生きてはいるようだが結構な重症だった。


というよりかは・・・


「この傷って俺がつけたんだよな・・・・」


そう思うと、なんか罪悪感がわいてきたのだが・・・


とりあえず、このままではいけないと思い、幻想創造で少女の身丈以上のマントを作りかぶせておく。


「さて・・・・・・どうする?」


俺はこの後の事を模索する。







「と言ってみたものの・・・・・」


少女をこのままほっとくわけにはいかなくなってしまったし、日は落ちて夜になってしまった為、夜間に歩くのは危険な状態。


正直手詰まりになってしまった。



「しかたない・・・・今日は此処で野宿するか。」


結局俺は異世界で初の野宿をする事になった。





それから一時間が経って・・・


「ふう・・・野宿って久しぶりだな。」


焚き火に木をくべながら、俺は一人呟いた。


野宿すると決めてから、とりあえず場所を移すことにした俺は、狼の少女を抱きかかえて戦った場所から、少し見晴らしのいい丘に場所を移動した。


戦った場所から離れたのは、戦いの臭いを嗅ぎつげた動物などからの追撃を防ぐためだ。


その後、近くにあった枯れ木などを集めて焚き火を作り、今を過ごしている。


「とはいえ、火すら幻想創造を使わないと使えないのはちょっと辛いな・・」


火を絶やさないようにしながら、俺は近くで横たわっている少女に目を向ける。

少女が何故、俺を襲ったかはわからないが、あのままほっとくわけにもいかず、一応動ける程度までは幻想創造で治しておいた。


もし完全に治してしまって、又襲われたらたまらないので、あくまで一応である。


「まぁ、理由は起きてから聞くか・・・」


そう思って、俺は空を見上げる。


「綺麗な夜空だな・・・」


空に見える夜空を見ながら、俺はそう呟いた。

今の空は雲ひとつ無い綺麗な夜空で、更に街灯すら無い為、小さい星さえ鮮やかに見える。


前の世界なら、余程山奥に行かないか、周りに光の無い場所に行かなければ見れない光景だ。


「あいつが見たら、どう思っているのだろうな・・」


少し考えに拭ける。


もしあいつが、この夜空を見たらなんていうだろうか?


綺麗と言うだろうか・・・

若しくは、なんとも思わないだろうか・・・


「・・・・はぁ。」


そこまできて、俺は考えるのをやめる。


そう思ったって、あいつはもう戻ってこない・・・


そうだろう?



俺は夜空に向かって問いかける。

今は無き、あいつが俺を見ていると思って・・・








そんなの自分で考えなさいよ!







「・・そうだよな。」


偶然か、それとも空耳かはわからなかったが、あいつの声が聞こえた気がした。







「う・・・・・・・ん・・・」


近くにいた少女の呻く声が聞こえてきたので、俺は視線を少女に戻す。


少女の体が微かに動き、瞼が少しずつ開いていく。


「・・・・・あれ?」


目を覚ました少女の口から、疑問が呟き漏れた。


「おう、起きたか?」


「!!!」


俺が一声かけた瞬間、少女は俺に視線を向けると飛び上がり、尾を膨らませて噛み付くような視線を向けてきた。


「うわぁ―――。よっぽど嫌われてるなこれ・・・」


厳しい視線を向けてくる少女を見て、俺は今更になって自分がしたことを反省した。

とはいってもだ・・・


あの銀狼が、こんな少女だったと誰が思うだろうか?


「・・・・・・・・」


少女が着ていたマントで体を隠しながら、俺から視線を離さない。


「・・・・はぁ。」


もう何度目かわからないため息をついた。

このままでも良くないのは、俺でもわかっている。


そう考えると、打開策は一つしかなかった。




「しかたないか・・・・」


そう言うと、俺は右手を彼女に向けってかざす。


刹那、彼女の視線が更に鋭くなる。


無理も無い。

先程、この直後に起こった事が彼女にはわかっているからだ。


しかし今回は違う。


「我望むは・・・」


俺が詠唱を始めると、彼女の表情が青ざめて、彼女は目を瞑る。


だが何度も言うが・・・・


今回のは、攻撃用の詠唱ではない。




「彼女の傷が治る事を望む。」


唱えた瞬間、彼女の傷が一瞬にしてなくなった。

まるで無かったかのように。


「・・・・・・・ふぇ!?」


彼女が驚愕の表情をする。

同時に、どうして?といった顔で俺を見る


「まぁ、こんなもんでいいか?」


俺は少女を見ながら、彼女の容態を確認する。

幻想創造のおかげで傷自体も完全に治療されており、傷跡すらない。


「さてと、とりあえず・・・・・話そうか?」


驚く少女を見ながら、俺はそう切り出した。





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