EP15 何よりも大切な・・・・だから
・・・・の部分には平仮名で四文字、漢字なら二文字が入ります。
おおよそ検討はつくかと思いますが、まぁ楽しんでみてください。
ではどうぞ!!
「・・・・まったく、お主という奴は。」
そう言って、家から出てきたエリスは苦笑しながら軽く頭をかいた。
「エ・・・・エリス様。なんで?」
エリスを見たアイリスは、肩を震わせながら小さく呟いた
「ったく。今はエリスでも構わんと部屋でも話したじゃろう。それと、お主が持ってきた水に睡眠薬が入っていたのはわかっておる。」
その言葉に、アイリスのが驚愕の表情になるのを俺は見た。
「大方、玲音殿を亡き者にする為に、わらわがいては支障をきたすと判断したが故の行動だろうが、伊達にお主と12年共にしてきたわらわを見くびるでないわ。」
エリスはアイリスに近づいていきながら論じていく。
「確かに、玲音殿の力はわらわにも興味があるし、出来る事なら力になってほしいと思う事はある。」
アイリスの顔は既に青ざめており、何かに脅えているようにも見えた。
その姿を見て、俺には何となく想像する事が出来た。
多分、アイリスはエリスから見捨てられる事に脅えている。
彼女の過去を覗いたからこそわかる、彼女は人に見放される事や捨てられる事には極度に反応してしまうのだと。
「じゃが・・・」
エリスはそこで一端言葉を切って、静かにアイリスを見つめる。
「それがどうした?わらわがいつ、お主を見捨てるなどと言った?そんな事、はなからするつもりはない!」
まるで宣言するかのように、エリスは言い放った。
その言葉にアイリスの表情が幾分か生気を取り戻したように感じた。
エリスの語りはまだ続く。
「それにじゃ。玲音殿の力を借りるなどわらわの我儘じゃ。それにクーデターの問題はわらわの問題。父を亡き者にした奴らは許しておくなど言語道断!!必ずこの手で断罪せねばならん!故にこの問題はわらわ自身でケリをつけねばならんとおもっておる。」
そこまで聞いたアイリスは慌てて反論する。
「そんな!エリスだけにさせるわけには!」
自国の民に手をかける。
アイリスはそれだけはさせたくなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
それを聞いたエリスは、無言でアイリスのもとへと近づくと・・・・
ペシッ!!
「痛ッ!!」
アイリスのおでこにデコピンをした。
「は?」
その行動に俺は少し呆気にとられた声を出した。
まさか、王女さんが部下にデコピンなど誰が想像出来るだろうか?
「ッ――――――!!」
しかもそのデコピンは、結構威力があった様で、アイリスは涙目になりながらおでこを抑えている。
エリスはそれを見ながら、フンと言ってアイリスを見据える。
「アイリス・・・・・お前はアホか。誰がわらわ一人でやると言った?」
「え?」
その言葉に今度はアイリスが呆気にとられた表情になる。
「これはもう、わらわ一人でどうこう出来ぬ問題ではない。多くの助けがなければ出来ない事じゃ。現にわらわ達にはクーデターの首謀者が誰かさえ分かっておらぬし、今の王都がどうなっているかもわからぬ状況じゃ。」
エリスの言葉に俺はもっともだと思った。
戦いにしろ何にしろ、まず最も大事なのは情報だ。
それがなければ、対抗策も、準備も何も出来ない。
現在王都がどうなっているかもわからぬこの状況を打開する術は、今の彼女たちにはない。
まぁ、俺には幻想創造があるから、多少の事はどうにかしてやれるのだが。
「故にわらわは、これからの事を考えてゆかねばならぬ。だがその前に・・・・」
そこまで言って、エリスは眼を細めるともう一度アイリスに近づく。
またデコピンをされるのかと思ったのか、アイリスは眼を瞑った。
だがいつまでたっても、痛みは来ず、代わりに・・・・
ギュ
「ふぇ?!」
伝わったのは、エリスからの抱擁の温もりだった。
「こんな時でなければ、言えぬというのは何とも嫌な事じゃが、いた仕方あるまいな。」
「え・・・・・えっと・・エリス?」
抱きしめられたアイリスは、今の状況に頭がついていけてないようで、オロオロしている。
「・・・・無事でよかった。」
そう呟いたエリスの声は震えていた。
俺は邪魔にならないよう、家の扉の近くに移動して、眼を閉じた。
ここからは、彼女たちの話になる。
だから、俺が聞くのはおかしいと思い、後は二人で解決するだろうと考え、俺は少し考えに耽ることにした。
「無事でよかった。」
声を震わせながら自分を抱きしめてくるエリスに、アイリスはどうしようかと悩んでいた。
さっきまで、勝気で高貴な性格の彼女が、急に泣きそうな表情になりながら自分に縋ってきている。
12年間共に過ごしてきて、アイリスは一度もこんな彼女を見た事がなかった。
「あ・・・・あの・・エリス?」
「グスッ!・・・ヒッグ!!」
徐々にエリスの声が、泣き声に変わりつつあるのを聞いて、アイリスはさらに混乱した。
どうしたらいい?
そう考えても、碌に友達もいなかったアイリスにとって、どう行動したらよいのかわからなかった。
「・・・いい加減に気付け。このバカ者・・・」
「・・・あ・・・・」
泣いているエリスにそう言われて、アイリスはようやく彼女の心情を理解した。
そうだ。
エリスはダイハート様を亡くし、しかもアイリスを除く部下も、先程の戦いで自分の身替わりとなって死んでしまった。
元々、他人との関わりをもたなかったエリスにとって、部下達や世話係は大切な友達以上の存在だった。
その部下が、大切な父親が死んだ。
それがエリスにとって、どれだけ悲しかった事であろうか・・・・
そう思うと、胸が痛かった。
「エリス・・・・」
アイリスは自分の手を彼女の背中にまわし強く抱きしめた。
彼女の悲しみが少しでも癒える様に強く、そして優しく・・・
(そうだった。私も・・・)
自分もかつて、一人で孤独を味わって、この世界に絶望した事がある。
でも、エリスがいてくれたからこそ、いや彼女に出逢ったからこそ今の自分がある。
『・・・・・わらわの・・・・・・友達になってほしいのじゃ!』
あの時、エリスが言ってくれた言葉がアイリスの頭に響き渡る。
同時に、アイリスはある日の執事長とのやり取りを思い出した。
「ねぇ執事長。友達って何ですか?」
『どうしましたアイリス?藪から棒に・・・』
「この前、エリス様が自分と友達になってって言ってたから。でも私、友達の事何も知らなくて・・・」
『なるほど。そう言う事でしたか。ではお教えしましょう。いいですかアイリス。友達と言うのは・・・・・』
かつて、友達とは何なのかを執事長に聞いたら、執事長は微笑んでこう答えてくれた。
『友達とは、自分がピンチ時に自分の助けになってくれる人の事です。でも助けられてばかりではダメです、逆に友達がピンチの時には自分が助けてあげなければなりません。互いに支え合う者、それが友達と言うものなのです。』
自分を支えてくれた友達を、今度は自分が友達を支えてあげる。
それが・・・・
「友達だから・・・・」
そう呟くのと同時に、アイリスは悟った。
友達だからこそ、言えない事がある。
もしかしたらエリスは、自分が知らない場所で、もしくは自分がいないところで悲しんでいたのかもしれない。
幾ら年月を重ねても、エリスはまだ20にも達していない女の子なのだ。
「すいませんエリス。気づいてあげられなくて。」
何時も気丈に振舞っていたエリス。
だからこそ、アイリスや他の者達にも気付けなかった。
「でも、もういいんです。いつものあなたではない本当のあなたを、これから私に見せてください。互いに支え合う。それが・・・・・友達でしょう?」
エリスはその問いを、アイリスは抱きしめている手の力を強くすることで答えた。
互いに抱き合ったまま、その状態が数分間続き・・・
「・・・・まったく、わらわの作り笑いにさえ気づかぬのじゃから、どうしようかと思ったぞ。」
ようやくアイリスから離れたエリスの顔は、涙の跡があるが、普段の気丈な彼女に戻っていた。
「そういうエリスも、泣く姿は初めて見ましたね。」
「う・・・・うるさいのじゃ!!」
プイっとアイリスから後ろへ向くエリス。
「さっきまで、見捨てられる子犬ような表情をしとった癖に・・・・」
「まぁ、あの時の私は少し混乱してましたからね。あと、言っておきますが私の方がエリスより年上なんですからね。」
そう言って、互いに笑う彼女達。
もう心配はなさそうだった。
「というわけじゃから、改めて、よろしくなのじゃ!!」
そう言って、お辞儀してくるエリスを見て、俺は苦笑しながら答える。
「あぁ・・・・別に構わねえって言ったろ。気にすんな。」
あの後、しばらく時間が経ってから、二人が俺のところにやってきた。
まずアイリスが、俺に対し謝罪してきたが、別に咎める気もなかったからあっさりと許しておいた。
そして、エリスからは再度ここに住まうことへの許可がほしいと言ってきたので、俺は軽く了承した。
何度も言うが、元々俺はそのつもりだったし、何よりほっとけないと思っていたからだ。
(でも問題は、クーデターの奴らが二人を放っておくとは考えられないし、いつか仕掛けてくるのは明らかだ。)
そう思いながら、俺は対策を考える。
別に幻想創造を使えば万事解決するのだが、そんな事をしたら後先面倒になるのは明らかだ。
(でもまぁ・・・・それはなるようになるか。)
まずは、現在の王都の状況だが、それはいずれわかる。
なら俺のすべきことは・・・・
「ゆっくりと準備するだけだ・・・」
俺はそう呟いた。
王都 宮殿内のとある一室
そこに、顔を隠した男と、彼の部下と思わしき鎧を着た者が話し合っていた。
「首尾はどうなっている?」
「は!問題なく進行中です。」
部下の返答に、男は満足そうに頷いた。
だが、男にはもう一つ気がかりなことがあった。
「そうか・・・では、奴の娘は?」
男の問いに、部下の顔が僅かに歪む。
「は!それが・・・・手配した賊達により殆どの者は死亡を確認しましたが、王女と彼女の右腕といわれる者の死骸はまだ確認できていません。何処かの森に潜伏しているのではないかと。」
その返事に、男は忌々しいそうに吐き捨てる。
「ふん、流石は奴の娘か。だが、二人だけとなってはそう遠くには行けまい。行けて国境付近までじゃろうが、既に手は打ってある。」
「は!既に国境付近には兵を配置してありますから、問題ないかと。」
そう聞くと、男はうむと頷いて立ち上がった。
「私はしばらくここを離れられん。じゃから娘の件はお前に任せる。」
「は!かしこまりました!!」
そう言うと、部下はそそくさと部屋を出て行った。
それを確認した男は狂気じみた笑みを浮かべた。
「ようやく私の天下となるのだ!その邪魔をする奴は容赦はせぬ!!!」
だが、彼は三つ大きな間違いをしている事に気付かなかった。
まず、彼女たちがいる場所を把握していなかった事。
次に・・・そこに幻想創造を使える者がいる事を知らなかった事を・・・
そして、部屋の扉の付近にいた者を気配を察しなかった事を・・・
夜が明け、やがて朝がくる・・・・
それは、新たな始まりの序章に過ぎないのかもしれない。
最後の王都のやり取りは、ちょっと自信がない。
でもこれから、物語は進んでいきますので
どうかお楽しみに!!
ではまた!!!




