イザベリア VS アリア ②
※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。
イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは
作中の描写と多少異なる場合があります。
あらかじめご了承ください。
「アリア。悪いけれど、手加減なしでいかせていただきますわ」
イザベリアはアリアを睨みつけながら言い放った。
対するアリアは何も答えなかった。
剣と大盾を構え、ただ静かにイザベリアを見据えていた。
両者は睨み合ったまま、微動だにしない。
張り詰めた空気の中、時間だけが過ぎていく。
そして――
先に動いたのは、アリアだった。
地面を蹴り、一瞬で駆け出す。
「っ!」
イザベリアも即座に反応した。
牽制するつもりなどない。
銃口をアリアへ向け、限界までチャージした弾丸を撃ち放つ。
――ドォン!!
だが、その瞬間。
イザベリアは違和感を覚えた。
――速い。
高速で迫るアリアの姿を目で追いながら、思わず眉をひそめる。
いつもと違う。
明らかに、速すぎる。
迫る弾丸に対し、アリアは足を止めることなく大盾を僅かに傾けた。
ギャィィン!!
弾丸が盾の表面を滑るように逸らされ、あらぬ方向へ弾け飛ぶ。
それでもアリアの勢いは止まらない。
「くっ!」
だが、イザベリアも予測していた。
右手に握った鞭を大きく振りかぶり、正面から迎え撃つ。
アリアが一気に間合いへ踏み込んだ。
低い姿勢のまま、剣を振り上げる。
同時に、イザベリアも鞭を叩きつけるように振り下ろした。
ギャイィィィン!!
剣と鞭が激突する。
互いの一撃が真正面からぶつかり、甲高い衝撃音が辺りに響き渡った。
こうして、イザベリアとアリア。
二人の決闘が、幕を開けた。
ギャイン! ギャイン!
バン! バン! バン!
激しい剣戟と銃声が、絶え間なく辺りに響き渡る。
アリアが地面を蹴り、高速でイザベリアとの距離を詰める。
間合いに入ると同時に、鋭い斬撃を繰り出した。
イザベリアは迫る剣を紙一重で躱し、魔導銃を連射する。
バン! バン!
銃撃でアリアを牽制しながら距離を取り、すかさず鞭を振るう。
ヒュン!
鋭くしなる鞭が、アリアへ襲いかかる。
だが、アリアは足を止めない。
迫る鞭を躱し、時には大盾で受け流しながら、再びイザベリアとの距離を詰めていく。
そして間合いに入れば、容赦なく剣を振るう。
イザベリアは距離を取る。
アリアは詰める。
銃弾が飛び、鞭が唸り、剣が閃く。
互いに攻守一体となって攻防を繰り返し、二人の戦いはさらに激しさを増していった。
少し離れた場所では、セレナとエレオノーラが二人の決闘を静かに見守っていた。
剣が閃き、銃声が響く。
アリアが距離を詰めれば、イザベリアは銃撃で牽制しながら後退する。
距離が開けば鞭が唸り、それをアリアが大盾で受け流し、再び距離を詰めていく。
一見すれば互角。
むしろ、イザベリアを絶えず後退させているアリアの方が優勢にすら見える。
そんな戦況を眺めながら、エレオノーラが口を開いた。
「団長。うちの妹は勝てそうですか?」
「十中八九、無理だろうな」
セレナは迷うことなく断言した。
「……ずいぶんとはっきり仰いますね」
「あくまで、このままなら、だがな」
エレオノーラは僅かに眉をひそめる。
「理由をお聞きしても?」
セレナはすぐには答えなかった。
高速で繰り広げられる攻防を目で追いながら、しばらく黙って二人の動きを観察する。
やがて、静かに口を開いた。
「貴様の妹は防御型だ。
大盾による堅牢な守りを軸に、相手の攻撃を受け、流し、そこから反撃へ転じる。
攻守ともによくまとまっている」
「…………」
「実際、相性だけを見ればアリアの方が有利だろう」
セレナの視線の先で、アリアがイザベリアの銃撃を大盾で弾き、そのまま一気に距離を詰める。
イザベリアは鞭を振るって接近を阻もうとするが、それすら盾で受け流される。
「イザベリア殿は近・中距離型。
銃と鞭を使い分けることで間合いを自在に変えられる反面、決定打を与えるには相手の守りを崩さねばならん。
アリアのような防御に秀でた相手は、本来ならばやりづらいはずだ」
「なら、なぜ?」
「攻め切れておらんからな」
セレナは即答した。
「アリアは確かにイザベリア殿を押している。
だが、それだけだ。
距離を詰めて、剣を振るい、離されれば盾で攻撃を凌いで、また距離を詰める。
先ほどから、その繰り返しだ」
エレオノーラの表情から、僅かに笑みが消えた。
「つまり……うちの妹が攻めあぐねている間に、行動を読まれていると?」
「あぁ」
セレナは腕を組み、僅かに目を細める。
「出だしは良かった。
普段のアリアを知る者ほど、あの速度で一気に仕掛けてくるとは思わんだろう。
現にイザベリア殿も虚を突かれていた」
そこでセレナは小さく息を吐いた。
「だが、そこで押し切れなかったのが痛い」
再び銃声が響く。
アリアが大盾を傾け、弾丸を逸らす。
その動きを見たセレナの目が細くなる。
「初手で見せた速さ。
盾の使い方。
踏み込む間合い。
剣を振るうタイミング。
攻撃を受けた際の反応……
戦えば戦うほど、アリアは自分の手札を相手に晒している」
「…………」
「対するイザベリア殿は、最初から勝負を急いでおらん」
エレオノーラがイザベリアへ視線を移す。
「相手が何をするのか。
どう動くのか。
何を得意とし、何を嫌うのか。
それを探りながら戦っている。
おそらく、そういう類いの戦い方なのだろうな」
「……つまり、今も?」
「あぁ。押されながら観察している。
いや、既に対応しきっているのか……」
セレナは淡々と言い切った。
「そして十分に見切ったと判断すれば……
一気に仕掛ける」
「…………」
エレオノーラは何も言わず、セレナの横顔を見つめた。
それに気づいたセレナは、僅かに肩をすくめる。
「まあ、アリアが弱いわけではない。
むしろ相性だけなら、先ほど言った通りアリアに分がある」
「……」
「だからこそ、惜しい」
セレナはそこで言葉を切った。
そして、戦い続けるアリアを見つめながら静かに告げる。
「……貴様の妹は、いささか生真面目すぎる」
「生真面目……ですか?」
「あぁ。攻めるなら攻める。守るなら守る。
相手の攻撃には正面から対応し、隙を見つければ確実に反撃する。
実に堅実で、実に教科書通りだ」
セレナは小さく息を吐く。
「だから、読まれる」
その言葉と同時に、再び二人の武器が激突した。
ギャイィィン!!
「戦場では、正しいことだけをして勝てるほど、甘くはない。」
イザベリアはアリアと激しく攻防を繰り広げながら、その動きを冷静に観察し続けていた。
ギャイン!
迫る剣を鞭で弾き、すぐさま後方へ跳ぶ。
着地と同時に魔導銃を構えた。
バン! バン! バン!
放たれた弾丸を、アリアは大盾で受け止めながら距離を詰めてくる。
やはり、速いですわね。
初手こそ、その速度に虚を突かれた。
普段とは明らかに違う身体能力。
それに加えて、迷いのない踏み込みと対応の速さ。
完全に不意を突かれ、一瞬とはいえ取り乱してしまった。
ですが……
落ち着いて対応すれば、どうということはありませんわね。
イザベリアは迫るアリアを見据えながら、再び引き金を絞った。
バン! バン!
アリアが大盾を傾け、弾丸を受け流す。
そのまま地面を蹴り、一気に間合いを詰めてきた。
イザベリアは横へ身を翻して斬撃を躱すと、すれ違いざまに鞭を振るう。
ヒュン!
だが、それも盾に阻まれた。
おそらく、普段は身体強化の類いを使っていなかったのでしょうね。
同じ学園で過ごしてきた中で、イザベリアもアリアの実力はある程度把握していた。
しかし、今の動きは明らかにそれを上回っている。
これまで見てきたアリアは、身体強化に頼らず、生身の身体能力だけで対応していたのだろう。
だとすれば……
これが、本来のアリア・ベルモント。
イザベリアは僅かに目を細めた。
それにしても、いささか防御が堅すぎますわね。
バン! バン! バン!
狙いを変え、角度を変え、立て続けに銃弾を撃ち込む。
しかし、崩れない。
大盾で受ける。
逸らす。
躱す。
僅かに生まれた隙を狙って鞭を振るっても、アリアは即座に反応して距離を詰めてくる。
普段なら、とっくに守りを崩せている頃ですのに……。
イザベリアは内心で、アリアへの評価を一段引き上げていた。
間違いなく強い。
これまで学園で見てきた姿だけで判断していたなら、完全に見誤っていただろう。
だが、強さと、戦い方は別。
ギャイン!!
再び鞭と剣が激突する。
イザベリアはその反動を利用して距離を取りながら、アリアの動きを目で追った。
速くなった。
力も増している。
防御も、普段とは比較にならないほど堅い。
それでも……。
行動そのものは、変わっていませんわね。
距離が開けば、詰める。
銃撃には盾を合わせる。
鞭には回避か受け流し。
間合いに入れば剣を振るう。
一つ一つの動作は速く、正確で、隙も少ない。
しかし、その選択には一貫性がある。
だからこそ徐々に読めてくる。
もう少し何かあるのでは、と警戒しておりましたが……
イザベリアは魔導銃を構え直した。
バン! バン!
アリアは迷うことなく大盾を前へ出す。
その反応を見た瞬間、イザベリアの目が僅かに細くなった。
どうやら、無さそうですわね。
なら、そろそろ頃合いですわ。
そして静かに呟いた。
「Zeit für die Jagd.」(ツァイト・フュア・ディ・ヤクト)
《狩りの時間ですわ》
イザベリアが反撃に転じた。
アリアとの距離を保ちながら、突然、魔導銃の銃口を足元へ向ける。
バン! バン! バン!
立て続けに三発。
放たれた弾丸が地面へと撃ち込まれる。
その直後、イザベリアは何事もなかったかのように鞭を振るった。
ヒュン!
鋭くしなる鞭が、アリアへ襲いかかる。
アリアは即座に軌道を見切り、大盾で受けることなく身を翻して回避した。
そして、そのまま距離を詰めにくる。
やはり、来ましたわね。
イザベリアはアリアの接近に合わせて後退する。
一歩。
二歩。
先ほど、自らが銃弾を撃ち込んだ地点へアリアが踏み込んだ、その瞬間。
イザベリアの唇が僅かに動いた。
「Explosion」(エクスプロズィオーン)
《爆発》
次の瞬間。
ドォン!!
アリアの足元が爆ぜた。
「っ!?」
続けざまに。
ドォン! ドォン!!
地面に撃ち込まれていた爆裂弾が次々と炸裂する。
完全に虚を突かれたアリアは咄嗟に足を止め、大盾を構えた。
爆炎と衝撃が盾へ叩きつけられる。
「うっ……ぐ!」
視界を塞ぐ爆炎。
連続する衝撃。
アリアはその場で踏ん張り、防御に徹するしかない。
「そこですわ!」
イザベリアは、その瞬間を待っていた。
魔導銃を構え、連射した。
バン! バン! バン! バン! バン!!
間髪入れず、銃弾を叩き込む。
「くっ……!」
アリアは大盾を構えたまま動けない。
爆裂弾の直後に浴びせられる銃撃。
防ぐことはできる。
だが、前へ出られない。
イザベリアは引き金を絞り続けたまま、今度は自ら距離を詰めていく。
これまでとは逆。
逃げ続けていたイザベリアが、初めてアリアの間合いへ踏み込んでいく。
そして……
「Tanz der Klingen」(タンツ・デア・クリンゲン)
《乱舞》
右腕が霞んだ。
ギャイン!
鞭が大盾へ叩きつけられる。
「Zerschneiden」(ツェアシュナイデン)
《切断》
ギャギィン!!
さらに一撃。
「Tanz der Klingen」(タンツ・デア・クリンゲン)
《乱舞》
ギャイン! ギャイン! ギャイン!!
上から。
横から。
斜めから。
間断なく振るわれる鞭が、あらゆる方向からアリアの大盾へ襲いかかる。
「Zerschneiden」(ツェアシュナイデン)
《切断》
ガギィィン!!
「ぐっ……!」
アリアは歯を食いしばり、大盾を構え続ける。
重い。
一撃一撃が重い。
それでも、アリアの守りは崩れない。
「ぐ……うぅっ!」
鞭の軌道を見極める。
次。
その次。
そして……
僅かに生まれた隙。
アリアは逃さなかった。
「はぁっ!」
大盾を強く振るい、迫る鞭を横から弾き飛ばす。
ギャィィン!!
鞭が大きく逸れた。
その瞬間。
「Endlich!」(エントリヒ!)
《待ってましたわ!》
「っ!?」
アリアの目が見開かれる。
目の前には、妖艶な笑みを浮かべるイザベリアの姿。
鞭を弾かれたにもかかわらず、その表情には焦り一つなかった。
むしろ、最初から、そうすることを待っていたかのように。
イザベリアの身体が沈み込む。
そして……
大盾の側面を、渾身の力で蹴り上げた。
ガァン!!
「なっ――!」
鞭を弾くために盾を動かした、ほんの一瞬。
そこへ横から蹴りを叩き込まれ、大盾が大きく外側へ弾かれる。
アリアの正面が開いた。
これまで決して晒すことのなかった、その身体が完全に無防備となる。
そして……
アリアが目にしたのは、すでに眼前まで迫っていたイザベリアの姿だった。
「しまっ……」
遅い。
イザベリアの左手。
そこに握られた魔導銃の銃口が、すでにアリアへと突きつけられていた。
鞭による猛攻の最中。
イザベリアは密かに、その魔導銃へ魔力を注ぎ続けていた。
銃身に蓄積された魔力が、今にも溢れ出さんばかりに脈動する。
逃げられない。
盾も間に合わない。
至近距離。
イザベリアの妖艶な笑みが、僅かに深くなる。
「Entladung」(エントラードゥング)
《放出》
溜め込まれていた膨大な魔力が、一気に解き放たれた。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。
物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、
あくまでイメージや雰囲気を楽しむための要素として見て頂ければ幸いです。
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