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苛烈な修行の数々だった。
師匠に一切の手心は感じられず、師匠の言葉を信じてついていった。
夜の草原、月光の中。閃光のように閃く拳がぶつかり合った。
ドシリと重い音が二つ草原に着地して、片方が膝をついた。
「……やるようになった」
「手合せありがとうございました」
お互い向かい合い、がっちりと握手。
それはつらく厳しい日々の終わりでもある。まだ数日だけだけど。
「うむ! もう君に教えることは何もない!」
「ありがとうございます! 師匠!」
「……うむ。今日から校長先生に戻すように!」
「わかりました校長先生!」
「それと……私との特訓は秘密にしておいた方がよかろう!」
「なぜですか校長!」
「今までの特訓は君の拳を捜すための特訓だ! 強さに君自身の意味を見出さねば君の望みはかなうまい!」
「な、なるほど!」
「それにー―そっちの方がイカしてる!」
「イカ……わかりました校長!」
「それで? 君の拳にふさわしい名前は何かあるかな?」
「名前……あります!」
「よし聞こうじゃないか!」
「山田公平拳!」
「まんまだな!」
「まんまです! でもこれで……僕はきっと怖がられたりしませんよね!」
「……どうかなぁ?」
「なぜです!」
「うーむ……まぁ何とかなる!」
「ハイ! 校長先生!」
首をかしげる校長に僕も首をかしげる。
だがしかし僕に一片の悔いすらありはしない。
確かに僕は、意味のある強さをこの手にしたのだから。




